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80話 どうにかなりそう!

市場2日目は、ヒュージ流剣術の朝稽古をしてからの市場の露店の用意をした。

今日の会計係はラプナーで、私の役目は商品の補充。

カラルフ商会から仕入れた鞄と布地、ワンピースなどをメリエレさんの仕分け通りに持って来て並べる簡単なお仕事です!


……舐めてました。


服屋さんが布地の仕入れに来ていてメリエレさんと商談になり、在庫の半分以上を売るハメに。

ついでだから、店まで転移で送ってあげたら王都の物凄く大きな工房だった!

チップも貰ったので、王都の中央広場の屋台で挟みパンを露店の従業員分買って幻想庭園に戻ると店には何にも無くなっていた。

慌てて補充して、また営業を始めた。

その後も商談が2~3件あり、メリエレさんは5日後に来てくれと言い、契約を交わして追い返し一般の庶民や橙証の職人相手に布地を切り売りしてましたが、夕方まで在庫が保たなかった!

服飾店の方も帽子しか残って無いような非常事態に。

メリエレさんが仕入れに付いて行くと言うので市場の銀細工職人の宿舎で銀細工を職人から直接仕入れ。

1人、頭抜けた腕の職人さんがいたので、事情を聞くとマルカンからアンデッドの魔石を仕入れていたせいで工房を取り潰され、赤証スタートになったらしい。


「まさか、正規の価格じゃないと知った時には投獄されてね、散々な目にあったよ。職人に戻れてよかったよ。ちょっと高いのも作ってあるけど見るかな?」


「残念ながら、それは貴方が黄証になった時に買わせて下さい」


「ハハハ、ズルは駄目かな。わかりました!また買いに来て下さい!私はナーテと申します。よろしくご贔屓お願いします!」


「ご丁寧にありがとうございます。リダル商会の商会長をしておりますケイトスと申します。10日後までに何点作れますか?」


ナーテさんは、苦笑して作業机の引き出しを開けた。

そこには後宝石を付けるだけにした指輪とペンダントトップがずらっと並んでいる。


「リオラに仕入れに行けたら2~3日で500程出来ます」


「仕入れに行くからお金を持って!」


「はい!」


大きなリュックを背負って支度終了のようだ。

部屋の鍵を掛けるのを待ってリオラに転移すると目を丸くしている。


「あ、ありがとうございます!ここまで来たら後はどうにでもなります!」


「仕入れ、いつ終わる?商品急いで欲しいから仕入れ待ってる」


「船が来ないといけないんで、真夜中過ぎに船着き場に来て下さい」


「私も仕入れてるから、そのくらいの時間になるね。いい仕入れが出来るといいですね」


「幸運が貴方方にも降りますように!」


そんな可愛い事初めておっさんから言われた。


「ありがとう!頑張って来ます!」


王都の工房地区まで、転移してメリエレさんをニカレ工房まで連れて行きニカレさんと面通しさせる。


「リダル商会の副商会長のメリエレです。これから私が来られなかったら、メリエレが仕入れに来ますので、お願いします」


「ちょっと待て!何で俺が副商会長だ?!俺は半年限定の契約だろうが!」


「じゃあ、エメリヒ工房の商品は誰が売るの?」


メリエレさんが大ダメージを喰らっている。

ニカレさんとポートはそれを見て苦笑してる。


「まあまあ、ルーク。いじめるな。事情は解ったから心配ない。メリエレさんどうぞよろしく。ニカレ工房のニカレです。隣にいるのは、なんちゃって職人見習いのポートという野郎です」


「なんちゃって職人見習いって何だよ!銀細工職人見習いの、ポートです!ルーク様には、感謝してます!ルーク様が露付けた方がいいって言ったネックレス!全部売り切れました!ありがとうございます!」


私が仕入れるつもりでアドバイスした物を売っただ~?!

もうコイツからは仕入れない!


「ニカレさん、商品出来てますか?」


「おう!ちょっとばかり頑張って寝不足だ!ガハハ」


取り出したのは、ちょっとお高めの宝石を編み込んだ幅広のチョーカーとブレスレットで、ドレスにも合いそうな高級感にメリエレさんも恐る恐る検品している。

服ならどんな高級品でもケロッとしてるくせにか~わいいの!

特別な品50点、いつも通りの商品400点。

虹証でお支払いして、次はデルフィ工房に寄るとマリスが抱き付いて来た。


「ありがとう!ルーク!黄証になれたのよ!お蔭様で!」


「マリス達が頑張ってるからだよ。今日は、終業したんだ?」


「ルークが来るから今日は、休業した!さあっ、どれでも選んで!」


「え?店の中の物しか商品無いの?!ヤバいでしょ!それ」


「今作ってるから、100個は持って行って!」


「あのね、私が来られなかったら、この人が買い付けに来るから覚えておいて。メリエレさんです」


「アスターさんは?」


「アスターは帝都で、チェルキオ教の教会建ててて忙しいから、半年限定でメリエレさんが私のお目付役何だよ」


「仕方ないか!よろしくおじさん!」


メリエレさんはダメージをまた喰らっていた。


「後で支払いに来るからメリエレさん仕入れといて!」


「コラ!待て!俺を置いてどこに行く!」


「これから会うのは訳アリの職人さんだから、私も仕入れられるか、わからない所に行くから、付いてこないで下さい」


マリスが俄然興味を持った!


「アタシ、付いてく!」


「却下!メリエレさん、仕入れが終わったら、屋敷で夕食食べて休んでて!行ってきます!」


「「待て!!」」


ブラッシュローズ伯爵領の少年の夢とロマンを追い求めた、おじさん銀細工職人の店に転移すると同時に捕まった。


「来ないかと思ってドキドキしたわい!売れ行きはどうだった?!」


「冒険者達にたくさん売れたよ。ありがとうございます。所でお名前は?私の事はケイトスとお呼び下さい」


「……クロウという。ケイトスくんは、帝国の商人か?」


「そうですが、バフォア公爵領でも大口露店を出しております。何かご要望があればお聞きします」


「ほ、ホントかね?!」


「はい、出来るだけフォローしますよ?」


食材足りなかったかな?

しかし、とんでもない事を言い出したのだ。


「帝国のダンジョンで、魔獣を間近に見たいんです!」


「狩りの経験くらい無いと連れて行けません!」


「私は藍証のハンターですから、大丈夫!荷物してきます!」


「くぉら!!ちょっと待てぃ!商品出さなきゃ話は無しだ!」


一瞬メリエレさん調になった口調を元に戻して、咳払いした。


「コホン!クロウさんのお気持ちは良く解りますが商品が無いと困るのです」


「おお!そうですね、普通のをと言われたのでホントに簡単なのしか作って無いのですがどうぞ店に入って見て下さい!」


「わかっていただけて幸いです」


店に入って展示してる商品を見ると、さすが元紫証!デルフィ工房に劣らない腕前だが、この剣と竜系の手のモチーフは病気のままらしい。

後は緻密な蔦模様の銀細工の指輪や、花の指輪などため息が漏れるほど美しい。タダのリングに蔦模様を彫ってるのがめちゃくちゃ綺麗で何で子供用が無いんだと暴れたくなって来る。

そうしたら、ハンナとお揃いでつけられるのに!


「出来ましたぞ!行きましょうか!」


ザッと2000点か。いくらするんだろ?


「全部仕入れます。いくらですか?」


「金貨65枚にしかならないな!」


「……安すぎます!」


「しかしなぁ、そんなもの売るのも気が進まないんだが?」


ヤバい!断られる!


「わかりました!後は帝国へのお世話費ということで安く仕入れさせていただきます!」


クロウさんはすごく喜んで次の無理難題を押し付けて来た。


「実は娘夫婦も行きたいと言い出したんだが。良いかな?」


「いいですよ。明日の朝8時に迎えに来るので用意して待っていて下さい!私はまだ、仕入れがありますので今日は失礼いたします!」


クレイビー男爵領に転移すると背後から声が聞こえて来た。


「すまない!言い忘れた事があって、とっさに掴んでしまったんだが、ここは銀山の麓の村かい?」


「クロウさん…、転移し始めたら危ないから2度と触らないで下さいね?付いて来たなら仕方ないです。大人しくコーヒーを飲んでしばらく待っていて下さい!」


「カフェなんて、久しぶりだね!」


能天気に喜んでいるクロウさんとシロッコさんのカフェに入ると村人達が自分で営業をしてる。


「お!来たか!2階に来いってさ!後ろの人は、コーヒー飲んで待ってな!」


「ありがとうございます!クロウさん1時間程待ってて下さいね?」


「あぁ、わかっているよ。楽しんでる」


2階に転移すると作業机に突っ伏して眠っているシロッコさんがいた。

壁一面に展示された銀細工のアクセサリーを見てると女性物が新しく作られている。

男性向けアクセサリーは何故か全部無い。


シロッコさんが目を薄く開けた。

そして私と目が合うとガバッと上体を起こした。


「……悪い、眠ってたみたいだ。いつ来た?」


「今です。男性向けアクセサリーは、どうしましたか?」


「スマン!義理があって断れなかった!だから、女性物を120点作っておいた」


「綺麗だね。これ。全部仕入れても良いかな?」


「…怒らないのか?」


「一生懸命な人に怒れないし、今回は仕入れが上手く行ったんで不問にします。何か私に要望があれば言って下さい!」


「ケイトスの店を見たい。今から行くんだろ?連れて行けよ」


「えっと、どっちの店の方ですか?」


「帝国の店に決まってるだろう?越境税抜きでアクセサリー代金貨4枚な?」


アクセサリーをアイテムボックスにしまう。

虹証を交わして支払うが、多分勘違いしてる。

越境税は100万ステラじゃなく、金貨100枚なのだが、ま、いいか!

支払ってくれようとした事が尊い。

部屋に鍵を掛けて1階に降りるとクロウさんが村人達と話している。


「帝国行ってくるから、ヒヒジジイ共留守番しろよ」


「「「「「「「「「「お土産買って来いよ!」」」」」」」」」」」


「解ったから、頼んだぞ」


シロッコさん、マイペースだな。

私はあんなお年寄りにそんな上から物を頼めない!

クロウさんがお金を払おうとしたので、慌てて給仕してるおじさんに5000ステラ払って右手にクロウさん、左手にシロッコさんを掴んでクロウさんちまで転移して「明日の朝4刻に!」と言って王都の屋敷に転移してデルフィ工房の裏口から入って行く。

シロッコさんが入り口で躊躇してたので、待ってるように言ってマリスと虹証を交わす。


「金貨20枚ね」


「ありがとう。助かるよ!また、作っておいてマリス頼みますね!」


「ルーク、今度は1ヵ月かかるから、お抱えドンドン増やしなさいよ!アタシ達はここで売ってたら、近いうちそれ以上はムリになる!頑張って!」


引導を渡されてしまった。

どうするの!私?!

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