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56話 大騒ぎ

朝になって部屋でエトレ流剣術の基礎を復習っているとダンが目の前に立ったので稽古を止めた。


「ローザ工房が詣りました」


はい?何ですと?!


「呼んじゃったの?!」


「はい?当然ですが。いけませんでしたか?」


「父上達、起こして来る!」


「もう、起きてお食事中でございますよ」


「私もすぐ行く!」


「後で旦那様達の所に顔を出してローザ工房を労ってくれますか?」


そりゃこんな朝早くに呼び付けたからね!


「わかった!ローザ工房の方達に手で摘まんで食べるものをヨランに作ってもらって!」


「さすが若様!ではその様に采配致します。鍛錬の邪魔をして申し訳ございませんでした!ローザ工房は昼近くまでいますからお手が空いた時でよろしいですよ」


「ありがとう、ダン」


転移して連れて行くつもりだったのに、ローザ工房に迷惑かけるとか

余計な事しやがって!覚えてろよ!


私は鍛錬を終えると、大食堂に転移したら、バランが食事をしながらパウエルさんと打ち合わせ中。

そうだよね。いきなり明後日にパーティーだもの。

忙しいよね。


「バラン、私が手伝えることある?」


「礼服ありがとうございます!アレク様、よろしければヨランが朝食の後お会いしたいと言ってますから厨房に顔を出してくれませんか?」


「わかりました!」


さて?何の用だろう?

朝食は、スクランブルエッグと骨付きソーセージに胚芽パン、スープはコーンクリームスープ。シューのサラダにはトメトとマヨネーズが添えてある。

パンにつけるバターやジャムもたっぷり瓶で置いてある。

ヨランが女の子ならいつでもお嫁さんにしてあげるのに。


朝食後にヨランを訪ねて厨房に行くと広い!デカイ!コックさんが足りない!

ヨランに聞いたらパーティーの時以外要らないとキッパリ言われた。


「パーティーの時はどうするの?」


「本社からコックを派遣して貰うからそんなのは心配ない。ちょっとこっちに来てくれ。アレク様」


厨房の脇にあるシェフの部屋へと案内された私はヨランに土下座してお願いされた。


「ブラッディウルフの肉を大量に、と、バースデイトーチがたくさん欲しい!頼む!アレク様」


「なんだ。そんな相談か!いいよ。採ってくる」


「ありがてぇ!パーティーにはバースデイトーチがないと馬鹿に為るヤツらもいるからな」


「じゃ、今から行って来る!帰りは夕方になるから夕食は美味しいもの作っといて」


と、と、その間にローザ工房の皆様にご挨拶しなきゃ2階まで転移して片っ端から部屋を覗くと大会議室でローザ工房の皆様はサンドイッチを頬張りながら高速で縫い針に魔法を掛けてドレスに緻密な刺繍をしている。

ザトー子爵は、高そうな布を裁断してお針子さんに渡している。

皆、目がマジだ。

ビクビクしながら声を掛けた。


「本日は誠に申し訳ございませんでした!」


ザトー子爵は私に足早に近寄って来ると私の手を取り、額に押し戴くようにした。


「ケイトス、貴方に最大の感謝を申し上げます!明日までに仕上げますから、3度の食事をお願い出来ますか?」


「はい!いくらでも!」


「急ぎですので、今はこれで」


ザトー子爵はそう言うと布の裁断に戻った。

私は邪魔しないように大会議室を出て、再び厨房へ。

ヨランが走って来た。


「どうしたんです?!何かあったんですか?」


「ローザ工房の人質にワンプレートランチで良いからしっかりした食事を3度お願い!」


「はぁ~。ここで作業するのか。わかった!任せとけ!」


良かった。これで肉と木の芽の仕入れだな!

カルトラの冒険者ギルドで公用金貨1億枚を引き出して、窓口で指名依頼が入って無いか聞くと至急で1枚入っていると渡されたのがシルバーウイングの毛皮が欲しいとの依頼。

受けない事を言ってカケイ冒険者用品店へ転移。またメリエレさんに捕まる。


「ヒマなら幻惑森林で狩りしない?依頼料出すから、バースデイトーチがたくさん採りたいんです」


「30分待てるか?」


「うん、買い物してるから、いいよ」


ガラスの大きなビンが増えてる。

ご機嫌で20個買ってアイテムボックスの中に入れる。ガラスビンは大小さまざま買っておく。

すると安そうな装備にいつもの剣を提げたメリエレさん達が来た。

私も試着室を借りて安い服に着がえる。

剣は2つ装備したら、メリエレさんに突っ込まれた。


「お前、双剣使いなのか?!」


「そうだよ。言わなかったっけ?」


無言でコメカミをぐりぐりされた。

変な感じだった。

総勢15名を連れて幻惑森林の入り口へ転移して私が一番最初に入るとヘブンズマンティスが群れで待っていたたから近くにいる奴から剣でクビを落としていると後から入って来たメリエレさんに討伐を手伝って貰った。

ファインさん達はバースデイトーチを採りに行くようで、ヘブンズマンティスがいない奥の方へと入って行く。ちょっとだけ道を作るのを手伝っていると何故かヘブンズマンティスが大群になっている。群れに囲まれたメリエレさんたち6人を慌てて助ける。

あまりにも大群なので魔法無双したらメリエレさんたちが慌ててポーションをあおっていた。

ウインドスラッシュでヘブンズマンティスのクビを飛ばすといつものルーティンで蝶々採りしてパフュームバタフライを採り終わってからメリエレさんにゲンコツとお説教をされた。


「お前は良いかもしれないが!俺達が危ないだろうが?!」


「だってヘブンズマンティスの大群なんて初めてあったよ?何かしたでしょう?」


メリエレさんに言うと皆様苦笑している。


「普通の冒険者はこの森で魔法無双出来ないから討伐が長引いてヘブンズマンティスに仲間を呼ばれるんだよ。それで死ぬ」


知らなかった!サッサと次から片づけよう!


メリエレさんの仲間の青い短髪のお兄さんが、ぼやく。


「これ素材採るのに骨だな、アイツら戻って来ないかな?」


「それなら大丈夫!掃除屋さん達が来てくれてるから、ほら、食べてる音がするでしょう?」


しゃくしゃくしゃくしゃくしゃくしゃくしゃくしゃくしゃくしゃくしゃくしゃくしゃくしゃくしゃくしゃく


「「「「「「「何が来てるんだよ!!!」」」」」」」


「へ?ブラッディウルフに決まってるじゃないですか!」


「帰るぞ!ケイトス」


「あぁ、大丈夫!ヘブンズマンティス食べてヘロヘロだから。すぐ、倒せるよ。それにブラッディウルフも頼まれているから皆頑張れ」


「魔法を使うか?」


「ヘロヘロのブラッディウルフ如きに使わないよ。まあ、誰かさん達が倒せないなら使うかもね」


涙目になっているお兄さん達は、その挑発にまんまと乗り、山になっているヘブンズマンティスを食べてるブラッディウルフにドン引きしながらも、ブラッディウルフがヘロヘロになったらかかって行った。

メリエレさんが獅子奮迅の戦いぶりを見せてる間に私は蝶々採り。

なんか今日は緑色の綺麗なアゲハチョウみたいなの捕っちゃった!いっぱい来たから手袋でバシバシ獲れた!売れるかなあ?ワクワクドキドキだね!

ビンに詰めたらお亡くなりになった蝶々をアイテムボックスに入れているとメリエレさんにゲンコツされた。


「俺達にブラッディウルフを丸投げして自分は冥府蝶採りか?!いい趣味してんなぁ!!」


「どういたしまして!」


「褒めてねー!怒ってんだよ!!」


「では、素材回収しますからね!」


地面に手を付けてヘブンズマンティスの鎌もブラッディウルフの死体も全部まるっと入れて満足してると皆様口を開けて呆然としてる。


「なんか、お前が幻惑森林でやっていけるわけが解った気がする」


「ありがとう!」


「テメェのやる事なす事全部デタラメなんだよ!!!褒めたんじゃねー!」


ディスられた。


「今日はウチで好きなだけ飲み食いしていいよ!」


「出来ればタリスの店が良い」


ボソッと言うメリエレさんの耳が赤い。


「赤ちゃんはいつ出来るの?」


「「「「「「メリエレさん奥手だから無理!」」」」」」


怒ったメリエレさんに若者たちが追いかけまわされている内に、バースデイトーチ班の作業の状況を見に行くと裸の男達9人でバースデイトーチを黙々と採っていた。


「夜になる前に帰るよ!」


ファインさんが仲間たちを平手打ちして正気に返らせると、ようやくビンにコルク栓をして獣道まで戻って来た。

そのビンの数たるや、25個ある。

一人一人のバースデイトーチの数を「計数」魔法で数えて1個につき、公用金貨2枚分渡して、ビンごとアイテムボックスに入れたら皆様正気に戻って自分にクリーンを掛けて討伐組に渡して置いたらしいローブと下着を着けて嬉しそうに幻惑森林を出たら盗賊が襲って来た。

私の出番だ。皆まるっと殺してやった。

そして頭はアイテムボックスに入れて体は幻惑森林の中に捨てた。


「じゃ、帰るよ!」


「「「「「「何にもなかった振りしてんじゃねぇ!」」」」」」


皆様にボコボコにされたけど襲って来た者は襲われるのだ。


カルトラの冒険者ギルドに行くとちょっと早い帰りだったからか、いつもより空いていたが、搬入口にアイテムボックスの中身を全部入れると2重の意味で大騒ぎになった。

一つはたくさんの冥府蝶。

一つは盗賊共の頭部。

私はメリエレさんに公用金貨2枚を渡した。


「タリスさんの店ならこれで大丈夫でしょう?報酬は後日支払うから、今日はごめんね」


「マヌケめ、俺達も呼ばれてるんだよ」


「ご迷惑お掛けします」


ギルマスのバラムは機嫌が悪かった。


「ケイトス。冒険者規約にあっただろう。冒険者同士のいさかいにギルドは関与しないと!何故、証拠隠滅しない?!」


「アイツら盗賊じゃなかったんですか?!」


ファインさんの言葉にバラムさんは短く命じた。


「続けろ」


「こっちはバースデイトーチ採った後で丸腰だったんですぜ。幻惑森林出たら突然襲って来たから、ケイトスが助けてくれたんです!」


「ケイトス本当か?」


「本当です、私だけで討伐したので皆は関係ありません」


バラムさんは秘書のお姉さんを見る。

お姉さんはうなづいて発言する。


「一切嘘はついてません」


「疑って済まなかった!ケイトス。暫くは幻惑森林に行くのを控えてくれないか?馬鹿がいっぱいいるから狩る!ルメリーから頼まれてた件はこちらで処理するから、すまないな。今日のことは賞罰に含まれない。色々処分が終わってから報奨金がわずかばかりだが、出る。ま、冥府蝶は高いからしばらくは遊んで暮らせるぞ!待ち屋が大喜びして買って行ったから報酬も今日受け渡しできるからな半年は我慢してくれないか?」


「ちょうど里帰りしたかったので助かります」


アスターを連れて旧マルカン公爵領に行くか。

バラムさんはメリエレさん達討伐部隊と話し合いしている。

メリエレさんはクビを左右に振る。

青い髪の青年が挙手した。俺が、と口が動いた。

皆が拍手する。

ギルドタグをバラムさんに渡した青い髪の青年は、私の元に来て自己紹介した。


「サイナム、25才です!半年で公用金貨1億枚の護衛契約を結びませんか?」


「アスターとバランはチェルキオ聖教の建設に取り掛かるから、里帰りする時の護衛を出してくれと昨日打診があった。サイナムはわりと使える奴だ。この年でAランカーだし、魔法もケイトスほどじゃないが使えるから、連れて行け。それから生活費は見てやってくれないか?」


私は内緒にしたアスターに対してふてくされていた。


「頭は良いのですか?」


「冒険者だが宮廷騎士学校出身だ。お前の先輩だぞ」


仕方ないか、アスターじゃないと出来ないことがあるものね。


「よろしくお願いします!」


「それでさ、報酬先に貰いたいんだけどいいかな?」


「理由による」


「皆 先にタリスさんの店行っててくれる?」


サイナムが言うと皆部屋を出て行く。

扉が閉まるとサイナムが事情を話し始めた。


「俺の母さん、孤児院を経営してるんだけど、建物が古いのと、とにかく孤児が多いので毎月公用金貨30枚寄付してるんだけど先月床が抜けちゃって大穴が空いた上にアスムからの避難民の子供たち引き受けて食べるものも着る物も足りないのないないづくしなんだよ」


結構深刻な悩みだな。


「ルメリーさん来てる?バラムさん」


「どうするつもりだ?」


「家をもう一軒建ててもらって、今住んでる所はリフォームしてもらってその間は出来た家の方に住んで貰いたいんだけど、家建てる土地ある?サイナム」


「ある…にはあるけど、それを1億枚で?」


「いや、私の寄付でそれを何とかするから、報酬の公用金貨1億枚の使い方はサイナムがキチンと決めておかないと思わぬ使い方をされたりするから気を付けて」


サイナムは私が寄付をしてくれることに驚いていたがしばらく黙っていたと思ったら、ギルマスの部屋へとやって来たルメリーさんに開口一番にこう言った。


「ルカナ孤児院に必要な食料品と衣料品を1カ月に2度に分けて届けていただけませんか!公用金貨1億枚預けて行きますから!」


「では契約しましょう」


バラムさんがサイナムのギルドタグを投げるとルメリーさんは中々の運動神経で受け取り自分の持ってるギルドタグの読み取り機で何回かエラー音を出す結果になり、サイナムを睨む。


「で、公用金貨1億枚の出所は?入金されてないんだけど?」


「ごめんなさい。ルメリーさん。私の口座から引き落として下さい!」


「あら、サイナムさんに決まったの!お互い良かったわねー」


「それで、私からも家一軒建てるのと、今のルカナ孤児院をリフォームするのを冒険者ギルドの依頼にして頂けないでしょうか?」


ルメリーさんはにっこり微笑むと私の頭を撫でた。


「詳しく聞きましょうか?」


私とサイナムはいろんな事情を吐かされ、私は建物の他にベッドと布団を寄付する事になったが、二軒合わせても1億枚いかないだろうと言われた。


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