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55話 父上と第2夫人

本陣に父上が居なかったので初めて見る細身の背の高い金髪水色の瞳の聖騎士に第2夫人の事を聞いてみた。

アルスティムさんは、情報通で聞くこと全部に答えてくれた。


「グレンシード様が陛下から第2夫人をと強く進められて、じゃあ聖騎士を5~6人連れて来る女性を第2夫人として迎えたいと言ったから聖騎士ばかりのクランを組んでたルティーナ様は駄目で元々で名乗りを上げたら、気にいってもらえてラスター伯爵の養女になって伯爵令嬢としてお嫁入りしたんですけど、ラスター伯爵から魔石はまだか?子作りは上手くいってるかと“伝達”魔法で毎日のように催促されてウンザリしてます」


「ルティーナ様は父上の事お好きかなあ?」


アルスティムさんは、ここぞとばかりに力説した。


「グレンシード様がルティーナ様の初恋の人で聖騎士として尊敬する方なので、すごくお好きですよ!」


「じゃあきっと赤ちゃんもすぐ生まれるよ!」


「どうしてですか?」


「父上もルティーナ様を大事に思ってるし、ルティーナ様も父上を大事に思うならチェルキオ様がきっと赤ちゃんを授けてくれるんだよ!」


「ピュア~♡」


アルスティムさんに抱きしめられた。

アルスティムさんの胸筋も立派だった!

ムム、負けてられない!


腕立て伏せをしていると父上が本陣に帰って来た。


「父上ぇー!」


何故か父上は他の聖騎士達に囲まれてグッタリしている。

「アルスティム、通信を切ってなかったな?全部聞こえていた。その、アレクシードが失礼をした」


「イヤアアアアアアア!」


真っ赤になるアルスティムと父上。

このかん高い声は女の子のもの。

何で叫んでるかは、きっと恥ずかしいからだ。

それにあの立派なお胸様!


「えっと、初めまして。私の義母様。私のことはアレクと呼んで下さい。義母上が二人いるのでルティーナ様とお呼びしてもよろしいですか?」


「はい、アレク様。黙っててすみませんでした」


「いいのです。こんな美しい人を見てわからなかった私がバカなんです。お詫びと言っては何ですが、ルティーナ様に贈り物を持ってきました。受け取って下さいますか?」


「初対面の私に?」


「はい!姿を見たことが無かったので付いてる宝石は父上の瞳の色にしました。無調法をお許し下さい」


父上と私の手に握られている細長い木箱を包んだピンクの布との間を視線で行き来するルティーナ様は幻惑リスより可愛い。

父上が私の贈り物をルティーナ様に渡す。


「父上、お願いがあって詣りました!」


「屋敷に帰ってからにしよう。ルティーナ、君もだ」


「「「「「「アルスティム頑張れよ!」」」」」」


その瞬間ルティーナ様は風になり男の子なら一人残らず痛い攻撃を激励した男の子達にお見舞いした。


「このクズ共が」


わあ、格好いいけどコワイ。

ルティーナ様を怒らせないようにしよう!

私はルティーナ様と父上の手を取り、久しぶりの実家へと転移した。

ルティーナ様に付いて来たのだろうメイドが父上をうっとり見ている。

ルティーナ様は自分でお風呂に入っている。

メイドの事はアテにしてないみたいだ。

おそらくラスター伯爵から付けられた監視なのだろう。


「アレク様も入る?」


「父上に呪われるのでご遠慮申し上げます!」


裏庭の倉庫に行くと小麦粉がすごく減ってる!

買って来てよかった!

小麦粉や父上のお好きなジャム、皆がよく食べる干した果物、ナッツ類にお酒は樽で5つ、香辛料を入れていたら、毎度おなじみの展開に。


「誰だ!」


「アレクだよ、ランタナ。困ったことない?」


「実は、ここ1カ月パンがたくさん食べられて小麦粉が全然足りなかったんです!」


父上め!この前帰ったときにはルティーナ様のこと紹介してもくれなかった!薄情者!

怒っているとランタナが誤解だと慌てて弁解する。


「ルティーナ様はグレンシード様に試されていたんです。確かに1カ月前以上からいましたけど、本陣を家にしていろんな試練を乗り越えて1週間前からやっと第2夫人として認められたのです!つまりこの屋敷には1週間前からいらっしゃるのです」


「な~んで私には教えてくださらなかったのかな?!」


「それは、若いお嫁さんもらっちゃったぜ、へへへ、良いだろう!とは息子に言いづらいでしょう?」


「父上はそんなこと言わない!」


「ホラ、アレク様がそう思ってるからいいづらいのです。グレンシード様だって普通の男の子です。綺麗で優しい女の子に好きになられて嬉しくないはず無いでしょう?それをアレク様に知られるのが恥ずかしかったのですよ」


そうなんだ。父上はそう言えば屋敷の中の使用人全員に手を付けた事もあったね。

悪いことしてたから、ルティーナ様の事も言いづらかったのかなあ?


「それならわからなくもないです」


ランタナは私の肩をバシッと叩くと言った。


「グレンシード様とルティーナ様を見守ってやって下さいよ!頼みましたぜ、アレク様!」


「私の弟妹いつ出来るかな?」


「チェルキオ様が授けて下さいますよ」


「そうだよね!楽しみにしてる!」


ランタナに公用金貨を100枚渡して仕入れの回数を増やして貰うよう言って、倉庫を出たら困~~った顔の父上を発見した。

「父上ひょっとして聞いてたの?」


「すまない。声を掛けたかったのだがどんどん入りづらくなって、な。昼食にするからおいで。話も聞きたいしな」


「はい!父上」


食堂に行くとルティーナ様が席に付いて待っていた。


「待たせたな、ルティーナ。すまなかった。私の息子を紹介する。アレクシードだ。もうすぐ6才になる。キスカ帝国の宮廷騎士学校に籍を置いているが、賢すぎて幼稚舎では教えることがないそうだ。ここ2年は自由にしてる。腕利きのハンターで、帝国語を教えてくれた家庭教師一家に家と道場を贈れるほど甲斐性があるらしい」


昨日のことなのに良く知ってるな。

私はルティーナ様のテーブルを挟んで向かい側に座りレモンスカッシュで乾杯した。

鴨肉のローストは弾力が程よくあって、掛けてあるソースがランタナらしく田舎風で懐かしく美味しかった。


「今の鴨は、ルティーナが捕ったのです。家計も助かっている。ありがとうルティーナ」


「よろしいのです!私もクロスディアの者になったのですから存分にご命令ください!」


「ルティーナ様は、父上のお嫁さん何だからもっと楽にしていいんだよ、ね?父上」


「その通りです。ここが貴女の家なのだから気兼ねなく暮らして欲しい」


「もったいないお言葉です!鋭意努力して頑張ります!」


言えば言うほど気負う人らしい。

パンを3つ食べて食事を終わらせて3人で応接室に移動してメイドも執事のパレットも追い出して父上にお願いをした。


「父上、ルティーナ様、屋敷開きのパーティーに主催者として来てゲストをもてなしてください!お願いします!」


「良いんですが、着るものがないんです」


「少し早めに行って帝国で仕立てましょう。いい工房を知っていますから。パーティーは3日後です!明日の朝日が昇る前に出発します!では、私は休みます」


「待ちなさい!こちらにも準備というものが…」


「26日までは滞在してもらいます!なお、私は銀冠山脈越えするのは私を含めて3人が限界ですから、付き人無しでお願いします」


「それはお願いではなく、命令ではないか!」


父上のお小言を背中で聞き私は自分の部屋に鍵をかけて夜中までグッスリ眠った。

夜中に起きた私は父上とルティーナ様を起こして行くよと声を掛けたら二人はすぐに起きて支度してくれた。

まず本陣に寄って出張を伝えると何故か皆が大歓迎だった。

ネージュは粗方の事情を聞くとチェルキオ様のお祭りまでガツンと休んで下さいといい笑顔を見せた。


「護衛の騎士はチェルキオ様のお祭りに間に合うよう王都のアレク様のお屋敷に送っておきますので、チェルキオ様のお祭りが終わってからお帰り下さい」


「なるべく早く帰って来る!」


「グレン様。まさか、アレク様を見捨てるおつもりですか?」


妙に圧のあるネージュの言葉に言外の意味をくんだ私は父上をうるうるお目々で見つめ頼りない声を出す。


「そうですよね…父上には大切なお仕事があるし、仕方ないですよね」


父上は慌てて私の前にしゃがむと目線を合わせて言った。


「私もアレクと一緒に居るのを楽しみにしてます。チェルキオ様のお祭りも一緒に居てくれますか?」


「父上、大好きです!」


抱きしめると父上がネージュへの怨み言を呟いていたが、私を子供抱っこして立ち上がるとルティーナ様と手をつないだ。

「では、行って来る。留守中頼みます!」


「「「「「「「「「「「「「行ってらっしゃいませ」」」」」」」」」」」」」


私は王都の屋敷まで転移してデルフィ工房の作業所に寄った。

店は開いてないが、商品は作ってるようで大歓迎された。


「アレク様!その人が王都でも話題の第2夫人なの!」


「マリス、言い方ってものがあるよね?」


「祭りの時の舞踏会に合わせてネックレス作った!」


褒めて欲しいようだ。

私はマリスの頭を撫でて、ルティーナ様の瞳の色に合わせたアクアマリンの大きな宝石がついた下弦の月を思わせるネックレスを公用金貨2500枚で買い上げた。

父上は店内で「灯火」の魔法で明るくすると指輪を吟味している。

2つの指輪のどちらにするかで悩んでいるようだ。


「ルティーナ様、どっちが好きですか?」


するとルティーナ様は宝石がついてない、銀細工のこったしかし平べったい指輪を選んだ。

父上は銀細工だけにしては高い公用金貨500枚の指輪をルティーナ様の左手の中指にはめて、ホッと一息つく。

結婚指輪も贈ってなかったんだ?

帝国行く前にここによってよかった!

ルティーナ様は左手を握ったり開いたりして具合を確かめている。

この人討伐中もずっと着けてるつもりだな?

父上からもらった指輪は大切にされるようです!

外に出て銀冠山脈越えの転移をするとサレタ村の宿で寝ているアスターを起こして、帝都カルトラの貴族街の屋敷まで転移してもらった。

ルティーナ様と父上を部屋が無いからと同じ部屋に入れる。

二人寄り添って眠ると赤ちゃんを授かり易いんだから一石二鳥だと父上に言うと「わかった」というよい返事が返って来たのでこれで、私の弟妹は保証された!

頑張れチェルキオ様!

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