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43話 借金返済

ずぶ濡れになった物全部乾かした私はお金が載った幌馬車2台と冒険者達、バラムさんと私をカルトラの冒険者ギルド裏口まで転移したら、ゴッソリ魔力が削られた。

バラムさんは石畳みにヒザをついた私を見て「まだまだだな」と呟くとあれだけあったお金を全部何処かに転移した。


「バラムさん、スゴい!」


「ケイトスは魔力に頼り過ぎなんだよ。もう少し、工夫しないと、いつまでもあんな大波みたいなウォーターフォールを出す羽目になる。目眩が収まったら、大会議室に歩いて、来い!他の奴らは酒場で酒でも飲みながら分配を待て。もちろん飲み代はケイトスの奢りだ」


「……いいのか?ケイトス」


「はい、皆さんにはお世話になりましたから、明日の朝まで飲み代は私が持ちます」


冒険者達は酒場へと突撃した。

後で私も何か食べさせて貰おう!

バラムさんは転移して居なくなっている。

裏口からギルドタグを見せて入らせて貰った。

大会議室までドアに打ちつけられた表示を頼りに歩いて進めば、冒険者達が行列を作ってる部屋がそうだった。

私は皆さんに一礼してから室内に入って行ったらギルドの事務員さんが総出でお金を生活魔法の計数と道具を使って数えて冒険者達に渡していた。

私は数えたお金をお礼と一緒に渡す役目。

お小遣い程度からちょっとした大金まで皆私に無償で貸してくれたのだと思うと胸が熱くなった。


ルメリーさんが途中から参戦して今日は酒場で飲めない冒険者達に何かの紙を渡していた。

3時間経つと部屋の中の半分くらいを占めていた金貨が入っている絹の袋が半分くらいになっていた。

冒険者達の行列も無くなったし、私はルメリーさんの渡してた紙を見た。


******

【カフェ&居酒屋 ベルリーナ】


この広告を持ってる方には御同行者4名まで無料で飲食出来ます。

開店は4月10日からです。

11:00〜24:00迄営業しておりますので今後ともご利用下さい。なお、この広告は1回限り有効です。


入学金へのご協力ありがとうございます。ケイトス

******


「……へぇ!可愛い名前だね!」


「エイベルさんがね、家族の名前を入れてって言うから最初はベルリーンにしてたんだけどエイリーン様が激しく嫌がってねー、捩ってベルリーナにした。まあ、つまりはエイベルさんが納得したらいい話だし。何か希望する名前があるなら聞くけど?拘りないでしょう?」


「店さえ建てば、後はどうでもいいよ。あー!!!」


思い出した!コックの募集取り消さないと!


「……何か変更?」


「実はラムズ公爵家から76人も使用人が避難して来てその内14人がコックなんです!ルメリーさん!」


「……ザトー子爵から聞いたけど、工房地区に馬場作るそうね?食事処も作ってもうけましょう!あの辺目立って美味しい店が全くないから、儲かるわよ!」


「……お願いしてもいいですか?」


「ただし、食器類や家具は工房地区の店の物をオーダーメイドでお願いすること!宣伝の一環よ」


私は自分が青い顔をしているのが自覚できた。

ルメリーさんはそんな私を笑い飛ばしている。


「……だってポイズンバタフライ1匹で公用金貨10億枚だもの!ここにあるのはせいぜい5億枚よ?オーダーメイド如きで怯えなくていいの!」


「……じゃあ私は50億持ってるんですか?」


「そう言う事ねー!でも、2億5千枚は入学金に消えたけどね〜〜」


高等科の入学金公用金貨1億枚だったのかよ!!!

そりゃあ、バラムさんが足りないって言うわけだよ!


「えっと、でも、アスム支部で捕まえた時はそんな恐ろしい値段つかなかったですよ?」


「……あそこはおかしな事になってるから、行っちゃダメ!」


「……ガハト様は⁉︎」


「悪いけど責任取らされちゃうね。あの人自体は関わってないけど、故意に安い値段で冒険者から買い取った虫系の魔獣をヘキサゴナルに正規の値段に上乗せして法外な価格で密輸してたのが明るみに出てね、出張でアスム支部のガサ入れしてたの。

悪いけど、今までアスム支部で売った分のお金は帰ってこない」


「いや、それは気にしてないですよ!ガハト様には良くしていただいてたので、それが気になっただけです。…残念です」


「……ま、仕方ないわね。へこむな少年!君には大金があるじゃないか!よ!大富豪!!!」


「それなんですけど、屋敷やっぱり買いたいんです」


「何故に?」


「実はもう部屋が無いんで両親に同じ部屋に住んで貰ってるんですけど、来年には赤ちゃんが生まれてくるんです。それに、私の騎士も後3人ほど増やす予定なのです」


ルメリーさんはちょっと席を外して2軒の屋敷の見取り図を持って来た。何故かバラムさんも移動してる。


「これも、下町なんだけど、使われなくなった下町にしては値段も広さもある屋敷でね、Aランカーなんかの住まいに取って置いた物なんだけど貴方稼ぎだけはAランカーだもの。いいかな、って。でも、使用人が要るわよ?」


「……実は侍従とメイド達もたくさん逃げて来てて好都合なんです」


「……大変ねー!でも5人いたら何とかなりそう。お気の毒様」


「それで、コックがもう1人欲しいんです」


「……そうよねー!食べ盛りの男の子が4人と使用人が6〜7人居たら欲しいわよね!もう1人まともなコックが。わかったわ、ヨランの仲が良かった人を送り込むわ。この2軒なんだけど、この古い方を綺麗に直して使ってくれない?もう1人の購入希望者があんまりお金がないのよ。子供が5人いて、生活費もバカにならないから、お願い!」


「良いですけど、これ、めちゃくちゃ安いんですね!」


「その分古いから直すのに公用金貨1億枚くらいいるのよ!ホントごめんなさい!」


「公用金貨2億枚預けるんで住めるようにして下さい。今の家みたいに。依頼も勝手に出しちゃっていいからお願いします!」


「屋敷直す業者も私に選ばせるの⁉︎」


「……ダメでしたか?」


「任せてちょうだい!血がたぎるね!バラム様!公用金貨2億枚分けといて!」


「ケイトスは思い切りがいいな。そろそろ朝になる。帰って寝ろ!それからこれ、討伐報酬とオークションの落札価格が書いてあるから家族にも見せるなよ?」


バラムさんに突撃して胴に抱きついて子供らしいお礼を言う。


「バラムさんありがとう!」


「……お前、ワザとやってるだろう?泣かすぞ?」


バレたか!

私は報酬の書類を受け取ると家の自分の部屋に転移した。

脱ぎ散らかしていた服は畳まれていて私のベッドにはエイリーン兄上が寝てる。

剣と剣帯を外して、1番いい服に着替えてテーブルに着き報酬の書類を読んだ。


******

帝都カルトラ冒険者ギルド本部所属

Cランク

冒険者名 ケイトス


【魔獣名/ランク/討伐数/換金額】


○パフュームバタフライ/C/326匹/公用金貨6枚/大金貨5枚/銀貨2枚

○ブラッディウルフ/B/571頭/公用金貨5枚/大金貨7枚/銀貨1枚

○ポイズンバタフライ/A/1匹/公用金貨1億枚

【合計*公用金貨1億12枚大金貨2枚銀貨3枚】


☆☆☆☆☆オークション☆☆☆☆☆

【魔獣名/ランク/出品数/落札価格】


☆ヘブンズマンティス/B/120匹/公用金貨3枚大金貨6枚

☆幻惑リス/A/19頭/公用金貨152枚

☆ポイズンバタフライ/A/5匹/公用金貨50億枚


【合計*公用金貨50億155枚大金貨6枚】


大変、貴重な素材をご提供頂きありがとうございます。またのご出品をお願い致します。


******特定危険魔獣討伐報酬******


場所 *薬草樹海

討伐魔獣名 /討伐数*フォレストベア【樹王】/5頭

討伐数/報酬額*4頭/公用金貨600枚


ご協力ありがとうございます。

******


「……50億?ポイズンバタフライ私も捕まえに行こうかな?」


「あー!びっくりした!兄上、起こしてごめんなさい!」


「相談があるんだけど」


「何?お金?」


「……実は特任隊クビになって、ね」


驚いた!


「兄上、何したの⁉︎」


「最初何言ってるかわからないから、はっきり言って欲しいって言うと信じられない理由だったんだよ」


「つまり、兄上のせいじゃないんだ。どこの人のせい?」


「アレクは悪くない!アーベルン大隊長が悪い!あんまり馬鹿馬鹿しい理由だったから未練が無い!!!

アレクがコリンズくんを自分の騎士にして、自分より良い暮らしをさせてるとローゲンツ公爵から聞いたからだそうな!」


あのバカ親、許せない!

エイリーン兄上を攻撃する辺りがエグい!


「……ローゲンツのバカ親子め!いつか、この怨み返してやる!」


「何かあった?」


「……いや、登校したら厄介ごとが待ってるんです。おそらく」


オークション会場での親子漫才を聞かせるとエイリーン兄上は無表情になり、おもむろに自分の剣の手入れをし始めた。コ、コワイよ!兄上!!!


「……あ、兄上の相談は?」


「しばらくこの部屋に居候させてくれるか?」


「……実は私、下町にお屋敷買いました!兄上もそこで暮らそう!」


兄上は、ため息をついた。


「そうか。父上にも、お話したのだが、迷っているんだ。父上と道場を一緒にやるのか、騎士どころか、兵士として、フェンについてヘキサゴナルに行くのか」


そうか。身分がないから兵士からなんだ。

でも、それじゃエイリーン兄上が危ない!

旧マルカン公爵領は力が全ての荒くれ者たちの住処だ。


「兄上、こうしない?まず、騎士になる、それから、バフォア様に仕官する。でないと兵士として行ったら一生兵士で終わるよ。そんな腐ってる領地なんだ。兄上はそれでもバフォア様の為にって思うかもしれないけど、兄上が知らない内に自分のせいで死んじゃうバフォア様の気持ちになって⁈」


「……そうか、ありがとう!アレクに相談して良かった!まず、騎士になる!頑張ってみる!」


エイリーン兄上の背中からの抱きしめ攻撃に私は笑った。

そこにノックの音が聞こえた。

エイリーン兄上が私から離れてドアを開けると私の騎士達が騎士服でお迎えに来ていた。



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