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30話 引っ越し

あれからバランにも会えず、ひたすらパフュームバタフライと幻惑森林の愉快な仲間たちを討伐しては、金策を頑張って見たのだが、全額で公用金貨5000枚足らずととても60万枚には届かなかった。


ラムズ公爵家、最後の日を迎えて使用人達に見送られて、お父様とお母様とエイリーン兄上も王都へと向かう事になり、馬を3頭買い、昼間は王都を目指して馬を駆けさせる。

夜になると街の安全な宿に泊まりクリーンで汚れを落として寝る。

4日目。お母様が疲れから発熱してしまったので、宿付きの治癒魔法使いに癒してもらったら公用金貨1000枚請求された。

最初に値段交渉をしなかった私が悪い。

仕方なく支払った。


5〜9日目まで食料を優先したら、宿に泊まるのが金銭的に難しく野営だったがお母様が一番はしゃいでいて、寝かし付けるのが大変だった。

夜番はお父様、私、エイリーン兄上の順で旅は続く。


ブラッディウルフが来ると聞いてたが今のところ1頭も見かけないし、アブナイのは人間だった。


特に私以外の3人は世間知らずで、美味しそうだから見てたら果物を剥いて食べさせてくれたのに、代金を要求するんだよ。と言われて支払いに走ったこと14回。

エイリーン兄上はこの世に親切などない事を覚えたが、お父様とお母様は剥いて口元まで持って来られたら必ず食べた。

しかもやってる方は確信犯で、高い果実ばかり食べさせる。

もう、財布代わりに使っていた革袋から何も出て来ない。

夜には王都に着くとお父様がいい、いなくなったと思ってたら果物の器のジュースを買ってきてお母様と飲んでる。自分の持ってる宝石と交換したと聞いてクラリとした。


エイリーン兄上に2人を見張っているように言って森の中で狩をしてアイテムボックスに入れて3人の所へ戻ったら、3人を商人達が囲んで騒いでいる。

その中には私よりお兄ちゃんがうなだれてお母様に手を出してお金を催促してるのだろう。

お母様を見ると手に野草の花束を持っているが何で責められているのか兄上までわかってない。


「すみません!花束の代金を支払いたいんでホロホロ鳥を買い取ってくれませんか?」


「見せてみろ!」


4羽のホロホロ鳥を見せると銀貨2枚なら買い取ってもいいと言う。

足元見られてんな。

4羽売って検問にかかるお金を稼ぐと少年に花束を支払い、待たせたお詫びにウズラを2羽あげた。


「お母様、花はくれたんじゃありません!売ってたんです!差し出す物を受け取ったら買ったと同じ事なのです!少しは考えてください!」


「あら、でもね!私にくれたのよ?」


エイリーン兄上はやっと理解したらしい。


「……すまなかった。よく、領民が歓迎にそうしてくれてたので、商人達が何故怒ってるかわかってなかった」


「……もう、領民がいない土地まで来たのです。誰かに何か渡されたら非常事態です。お父様もお母様も全部お金がかかると思ってください!」


2人はしょんぼりして馬に乗った。王都まで頑張ればあと2時間って所で盗賊に捕まった。

エイリーン兄上に「まだ、殺さないで」と言われてしまったし、150人くらいいる盗賊の統率された作戦にまんまと引っかかったのは私達親子だけでなく皆見るからに貴族や豪商だった。

皆見るからに人が良さそうで平民の子供のフリをした引き込み役の演技に騙されて護衛を全員殺された挙句汚い牢にぎゅーっと押し込められてるのだ。

クリーンで牢を綺麗にしてあげたら私は目玉商品として、人身売買されることになった。


魔法枷をつけられそうになったので、もう我慢の限界だった!

ただでさえ魔法が使えない部屋に放り込まれているのに、これ以上は私にとって拷問と同じだ。


盗賊から剣を奪って部屋にいた50人あまりをまず血祭りにあげた。

1人だけ生かしておいてこの盗賊団の詳しい情報を自分が過去にやられた拷問で痛かった物から順に話してからやろうとしたら、あっさり、最初から何もかもしゃべった。


お頭と呼ばれる貴族がいて、時々商品を取りに来たり、親切ごかして人質になった貴族や豪商を全うな騎士の格好をした仲間たちと救出に来るらしい。

後ろ手に両手を縛り上げていると、お頭が来てその男ごと私を始末しようとしたので、嫌々人助け。

お頭はそこそこの強さだったが、全力で戦うほどの強さでは無かったので弁がたつ奴ほど面倒なので首を飛ばしておいた。

首は布で包みアイテムボックスに入れた。


騎士が騎士を襲っていたのでエイリーン兄上にお頭の鎧の紋章を見せて今、王都で流行りの義勇団「騎士の誓い」だと言ったので、この紋章をつけてる奴らを魔法使い監禁部屋から出るとウインドスラッシュで皆殺し。襲われてた正当な騎士達を魔法使い監禁部屋に監禁されてた治癒魔法使い達に癒してもらい、首チョンパしたやつらはアイテムボックスに入れて保管。


牢から人質達を出しているとお腹が空いて立ち上がれないらしい。

私は狩ってあったイノシシを解体してエイリーン兄上に料理は任せた。


なかなか、討伐から帰って来ないから援軍が到着。

今度はちゃんとした騎士だった。

捕まった治癒魔法使い達と1人残しておいた盗賊と「騎士の誓い」と共に討伐に来た騎士達の証言から義勇団「騎士の誓い」は末端の人間まで残らず捕縛され、私は安心して300近い生首を責任者の騎士に押し付けた。

騎士様は偉い人みたいで私のギルドタグの殺人記載を盗賊団の討伐に替えてくれた。

ついでにハンナ救出の際の殺人記載も手紙を見せたらちゃちゃっと直してくれた上に私の身元保証人になって貰えた。


悲しい事にラムズ公爵家が乗っ取られてもう10日経ってるので皆、お父様の身元保証人の裏書きが入ったギルドタグなど価値がないとわかってるのだ。

お父様とお母様も、その騎士に身元保証人になって貰っている。

エイリーン兄上も王都警備特殊任務騎士団の団長だと言うもみあげが印象的なガッシュ=アーベルン子爵にヘッドハンティングされて無事就職が決まった。


団長が人質を連れて王都に凱旋すると皆、義勇団「騎士の誓い」を見たくて集まっていたらしい。

ざわめく民衆達。


「おい!まさか、テメェの手柄にしたんじゃないだろうな!」


王都警備特殊任務騎士団に石まで投げる民衆達。

さりげなく私はウインドシールドでガードした。

こんなにたくさんの人が疑問視せずにあの一盗賊団を応援してる。

思わず笑いそうになる。

笑う代わりに私は軽蔑の視線で民衆を見た。

そうしていたのは私だけじゃなかった。

他の人質も怒りに身を震わせながら叫んだ。


「【騎士の誓い】は盗賊団と仲間だっただけじゃなく騎士団の騎士まで殺した!何故、今まで奴らだけが何度も無事に凱旋出来たのかやっとわかった!

盗賊団のお頭は義勇団「騎士の誓い」のリーダー、アレンだった!」


騒めきが戸惑いになり、自分達が盗賊団のお頭を支持していたとわかった民衆は家へとサッサと帰り始める。


「アーベルン子爵様。石を投げた奴らは罰せられるのですよね?」


「……民も騙されていたのだ。それに親切な魔法使いのおかげで石は私達には届いてないよ」


バレてる。


「……治安が良くないから、皆 耳に心地よい話には敏感なのだよ。嫌なことをさせたね。私達を許してくれるかい?」


「マヌケだけど仕方ないよね、アイツら頭だけは良かったみたいだから。弱かったから、私でも討伐出来たんですよ。皆さん助けて下さってありがとうございます!」


「ブラッディウルフを1日に千頭討伐する猛者にそう言われると嬉しいです。ただ、君はまだ小さいから、君のお父さんとお兄ちゃんがやったと言う事にしておくよ?いいかな?」


「……討伐記録でバレますが?」


「王都のギルドの職員は口が硬いから大丈夫だよ」


ホントかなぁ?

とりあえずお母様とお父様に宿を取って食事をさせ、王都カルトラの冒険者ギルドを探して街をうろちょろしてるとカルトラの警備兵に迷い子と勘違いされたのでギルドタグを見せて冒険者ギルドで討伐のお金が貰いたいから探していると言うと冒険者ギルドまで送ってくれた。

手を差し出され、暗闇ではよく見えなかった顔を見て後悔した。

欲に塗れた顔だった。

私は残りの銀貨1枚を渡して悲しみを堪えて笑いお礼を言うと言う演技をした。


「チッ!これだけか!外で待ってるからあと銀貨5枚は払えよ!」


「何言ってるんですかね?また、田舎から出て来た冒険者を食い物にしてらっしゃるんですか?タイタン小隊長様。警備隊に通報しますからね!」


「ははは!するなら、しろよ!無駄だけどな!!!」


タイタンは外に出てホントに待ってる。


「……タチの悪いのに捕まったわね。ようこそ王都カルトラ冒険者ギルド本部へ!

ケイトスくんでしょう?個室でお話があるの」


何で私の名前知ってるんだろう?

思わず警戒してると、茶髪に水色の目をした容姿端麗なお姉さんは私と目を合わせると自己紹介した。


「私はルメリー。このギルドのコンシェルジュをしてます。貴方の事はアスム冒険者ギルドのギルドマスター、ガハト様から粗方事情を聞いていますので、私に出来る全ての事を準備して待ってました!

さあ、個室で換金もしますから行きましょうね」


「……コンシェルジュって何?」


「何でも係かな!ま、仕事で見せてあげるから心配しないでドーンと任せなさい!」


個室は片側の壁が倒れて来たら埋まった人が危険なくらいお金の入った絹の袋が2重壁になり天井まで積まれていた。洪水をせき止める土嚢袋みたいだ。

部屋にいたギルド職員2名が私に一礼して応接室を出て行く。


「まずは後ろのそのお金の明細がこの書類です。ご確認下さい!あ、ギルドタグ預かるね?」


首からギルドタグが付いてるネックレスを外して、ルメリーさんに渡すと換金書を見た。


******

アスム街冒険者ギルド所属

Dランク

冒険者名 ケイトス


☆☆☆☆☆オークション☆☆☆☆☆

【魔獣名/ランク/出品数/落札価格】


○幻惑リス(毛皮)/A/92頭/1頭公用金貨10枚

○フェアリーウイング(毛皮)/S/86頭/1頭公用金貨150枚


【合計*公用金貨12438枚(手数料1382枚引く)】


本日は大変貴重な素材を提供くださりありがとうございます。またの出品をお待ちしております。


******


「……割と普通でしたね」


アンデットの魔石売ってた頃の所持金と比べるからおかしな話になってる。

ルメリーさんがギルドタグをテーブルに落としている。


「普通のDランク冒険者は一生かかってもこんな金額稼げないから!!!」


「……失礼しました。それで、何のお話ですか?」


「屋敷の中にダンスホールがある所を探していると聞いてたんだけど、道場するなら道場に立派な家が付いてる方が良いんじゃないですか?」


「お母様がダンスを教えるんで「そうなの?」そうなんです」


「……一言キツすぎて泣くかもしれないけど現実を教えるから覚悟なさい!」


何だろう?

ルメリーさんは怖い顔をしても美人だった。


「貴族で無くなった人が屋敷を持つのは世間の笑い者になると共にラムズ公爵家の領民達に反感を買うのよ!領地を売ったくせにまだ、屋敷を買う金隠してやがった!!!とね」


「……わかりました。ご忠告ありがとうございます!家と道場でお願いします」


「下流貴族の子女にダンス教えてる人がいないから道場でもいいからお小遣い稼ぎ程度にお金を取って教えたらお母様も喜ぶんじゃないかしら?」


「ルメリーさんって天才なんじゃないですか!」


「よく言われる。物件は6軒あるけど、私はコレを勧めるわ。中町と下流貴族街の間にあるヒュージ流剣術の潰れた道場なんだけど、めちゃくちゃ新しくて綺麗な新古物件!立派な家と合わせてお買い得な公用金貨1万枚!さ、どうだい!お客さん!!!」


「それでいいです!明日からでも住みたいです」


「カァー⁉︎兄さん太っ腹だね!!!損はさせないよ!」


ルメリーさんの言い方が面白くて笑ってしまう。

ルメリーさんはニッコリ笑った。


「じゃ、朝になったら物件見に行ってそのまま引き渡すのと、1日待ってもらって、家具や布団やタオル、一般的な日用品を全部揃えた状態で、住むのとどっちがいい?」


「1日待つ方が良いです!依頼料は幾らですか?」


「買い物と合わせて公用金貨300枚になるけど出せる?」


「たったそれだけですか?」


ルメリーさんが私をジト目で睨む。


「……ケイトスくん、君、金銭感覚おかしいからね!服もドレスも買って来るから一切買い物しないように!」


「ドレスや服のサイズはこれです」


私以外の3人の服のサイズのメモを執事長のケインズに餞別代わりに渡されたのだ。


ルメリーさんはサイズを一般的な服の記号に書き換えると私にそのメモを返して来た。


「それから、ギルドタグ。所属ギルドが王都本部になったのと、Cランクに上がったから、内容を確認してみてちょうだい!」


「はい」


久しぶりに見るな。ちょっとだけ心臓に悪い気がする。

私はギルドタグに魔力をほんのちょっとだけ流した。

******


名前 ケイトス/男/4歳

出身地 キスカ帝国・銀冠山脈

HP 300

MP 15300

LV 11

冒険者ランク C

技能 ルーサス流弓術2段/ヒュージ流剣術見習い

魔法属性 風・アロー/シールド/スラッシュ

火・ウォール

無・アイテムボックス/転移/クリーン/暗視

賞罰 【盗賊・誘拐・殺人団討伐 2件】


******


「これに魔獣討伐数があったら、間違えても誘拐なんかしないのに」


「違う意味で狙われて大変だからこれでいいです!」


「よし!私が宿まで送ってあげる!」


「……いいです!転移するから!!!」


「そう!ケイトスくん、便利なんだ!お金は預金することも出来る「して下さい!」…はい、いくらほどする?」


「……1000枚お願いします!」


お腹すいて倒れそう!あー!


「ルメリーさん!!!お願いします!料理と掃除ができる人を1人か2人!ギルドで紹介してもらえませんか!それと剣に詳しい冒険者さんに1日武器屋を案内して欲しいんです!依頼料幾らですか⁈」


「……んんん⁉︎そう、コックとメイドなら紹介させて。道場で使う木剣は国営工場でしか作ってないから明日お使いされてくるわね。木剣1本で大金貨1枚。とりあえず20本買うから、公用金貨200枚ちょうだい!あと、コックとメイドに1カ月いくら払うつもり?」


「1人大金貨3枚じゃ足りない?」


「……2枚だって多いわよ!1枚と銀貨5枚が相場よ!」


えー?そんなに少なくていいの⁉︎


「じゃ、それで。お金数えなきゃですよね」


「……フフ、もう家と家を生活できるようにする分は数えてあるの!それに500枚と1000枚に分けた袋はいくつかあるから、500枚入り1つと端の438枚入りを持って行ってちょうだい!」


テーブルの上に乗せられた2つの絹袋をアイテムボックスに入れ、小銭で紙を何枚かもらい、インク壺とペンは中古をもらい宿の部屋に転移する。





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