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25話 あなたの騎士

ヘブンズを出てミテルさんと別れたら、直ぐにアスム冒険者ギルドに転移した。

中には冒険者はあまりいなかった。

昨夜はぎゅーぎゅーだったのに、時間帯一つでこんなに変わるのか!

感心しながら解体受け付け窓口に行くとすぐにガハト様が出て来たが過剰なオシャレをしてる。

羽根つき帽子に貴族の式服。手には魔法使いの綺麗な魔石のついたロッドを持って。


「……えっと、ガハト様。貴族専門のお店で買い物は勘弁してください!」


「ケイトス。細かなことはきにするな!レディを2人待たせているから、大急ぎで行くぞ!」


え?買い物に連れがいるの?…まぁ、いいけど。女の人か。食糧品のお店に入ってくれるようなタイプならいいけどね〜。

ガハト様が待たせてあった辻馬車に乗ると何も言わずとも進み始めた。


「ケイトス!お前には感謝してる!あんなステキなレディと買い物出来るなんて夢物語のようだ!」


「……は?いや、良かったね?」


「何を他人事みたいに言ってる!お前の相手はハンナだぞ!しっかりエスコートしろ!そうしたら俺はアスコット男爵とデート出来る!」


「いやいや、何それ⁉︎どうして2人がいるのですか⁉︎」


「家の物を買うなら買い物が解る者がいた方が良いだろうと言ってアスコット男爵が気を効かせて下さったのだ!ご自身も買い物を学びたいからとご同行なさる。これは独身だった俺に神がくれた最後のチャンス!!!ケイトスも協力してくれるよな⁉︎」


ハァー、女の子達の買い物に巻き込まれるお財布替わりの私達が目に見えるようだ。

でも、そんなに楽しみにしているなら手伝ってあげよう。


「わかりました!ハンナ姉さんから離れません!」


「よしよし!到着したようだな?」


辻馬車を待たせておき、その女性たちでいっぱいの店の中に入って行くガハト様のハートの強さに私は恋って怖いなぁと、ドン引きするのだった。

仕方なくガハト様の後ろからついて行くと重ねたお皿の数が異様なテーブルにお腹いっぱい食べたハンナとアスコット男爵がいた。


「来た!ケイトス!!!遅いわよ!食べ過ぎちゃったじゃないの!!!」


言い返してはいけない。


「ごめんなさい。ハンナ姉さん。ここは私が払うよ」


「いや、ここは俺に任せてくれ。ケイトス!素敵なレディを2人待たせてしまったお詫びです。アスコット男爵様」


「まぁあ!レディだなんて、言われるような歳ではありませんわ!3人も子供がいますし!」


ガラスのハートが壊れた瞬間を見てしまった。


「……ご、御夫君はどんなお仕事で?」


まだ、頑張るの⁉︎痛々しくて見てられない!」


「…主人は医者の不養生で、亡くなってしまいましたの。困った人です」


それを聞いて涙しながらアスコット男爵の足元にひざまづき指輪を差し出し求婚するガハト様。


「貴女を助ける為に神が私を貴女に会わせてくれたのです!私の運命の人よ!貴女がまだ御夫君を愛してようと構いません!どうか、私に貴女の子供たちと貴女を助けるお手伝いをさせてください!私は貴女を守る貴女だけの騎士になりたい!」


アスコット男爵!!!酷い事は言わないでください!

当たり障りなく振って下さい!


アスコット男爵は、微笑んでスゴい事を聞いた。


「あなた、年収はいくらぐらいなの?貯金はあるの?」


そう!女の子は強い!

ガハト様は胸を張って言った。


「年収は公用金貨800枚程で貯金は公用金貨6000枚あります!」


アスコット男爵はうなづき、指輪を受け取って左手の中指にはめた。


「よろしくお願いします。旦那様」


「……は、ハイ!アスコット男爵!私の名前はガハトと言います!」


「私はカーザよ。お互い名前で呼び合いましょうか?ガハト様」


「……ハイ!カーザ様」


なんか、結婚詐欺師の手口を観てるみたいで素直に祝ってあげられない私の背中をハンナがつねり、お祝いの言葉を2人に掛ける。


「おめでとうございます。じゃあ後はお2人で!ご馳走様でした!ガハト様」


「……頑張れ!ガハト様。アスコット男爵いろいろありがとうございました!」


「私の方こそありがとう!褒賞金は諦めてたの!!!ありがたくいただくわ!」


「では、お先に失礼します」


「褒賞金って何よ?」


あ、ヤバい!怒られる。


「後でね!これ、ハンナ姉さんに返すお金」


公用金貨6枚を渡すと嬉しそうだ。

大事にお財布に入れている。


「そのお財布、私も欲しいから作ってください!エイリーン兄上にも赤い感じで。私は茶色がいいです。幾らですか?」


「銀貨2枚でいいわよ!その色なら今あるハギレで作れるから!」


銀貨2枚渡して店を出て辻馬車を探して止めて馭者さんを3時間銀貨3枚で雇うとまずは食糧品店に連れて行ってもらう。

中流階級の人が使うお店らしく、あまり安くはないけど品揃えが豊富だった。

ハンナは小麦粉の大袋を2つとバターやチーズ、ナッツやドライフルーツなどの帝国では珍しいものを購入した。

私も、幻惑森林でお腹が空いたときに食べるドライフルーツを買った。

もちろん荷物はアイテムボックスに入れて運ぶから手ぶらで次の店に移動した。


「次は安くていっぱい野菜が買える所に行ってちょうだい!」


馭者の青年はうなづき青空市場に連れて行ってくれた。

いろんなものがたくさんある!

その中でも裕福な商人たちが集まってる露店があったので並ぶ。

売ってるのが魔石で相場より安く手に入るようで皆、魔石の入った革袋を提げてホクホク顔で帰っていく。

ハンナもアクセサリーを作っているので並々ならぬ、興味がある。

しかし、行列はいきなり散開してそこに見えたのはアンデットの魔石売り切れました。の文字。

ひょっとして私の木箱を持って逃げた奴等だろうかと、声をかけた。


「……すみません!幾らで売ってたか知りたいのですが…」


金髪の青年が振り返る。


「イヤァーー!アンデットの魔石だったの⁉︎売り切れてて良かったわね!って何、声掛けてるのよ!ケイトス!!!さあ、行くわよ!」


「……ちょっとだけ待ってハンナ姉さん。冒険者の仕事するのに、聖魔法の付与されたアミュレットが欲しいんだ!」


「エイリーン様に買って貰いなさいよ!それかお父さんにおねだりしなさいよ?公爵様なんだから幾らでも買ってくれるじゃない!アンタが自分で買う必要あるの⁉︎」


「私は自分の物は自分の稼ぎで買いたいんです。申し訳ありません」


金髪に青い目のイケメン販売員はただ優しい目で私達を見て少しだけなまりのある帝国語で店のチラシを出して言った。


「明日またここで売ってるので、欲しかったら早めにおいでください。いつもはカルトラにあるお店で付与されたアクセサリーも売ってるのですが、アミュレットは、ヘキサゴナルでしか、販売してはいけないのです。申し訳ありません。明日売る魔石の値段は一粒で公用金貨2枚します」


「ホラ!みなさい!高いじゃないの!!!買えないから野菜見に行くわよ!」


「お嬢さん、お願いがあるのですが、聞いていただけませんか?」


いきなりイケメン販売員に声を掛けられて赤くなったハンナに販売員は私に渡されたチラシとは別のチラシを渡した。


「貴女の着ているお召し物を作られた方にアスムに店を出して見ないか聞いてくださって貰いませんか?お話だけでも聞きたいのですが、直ぐに連絡取れませんでしょうか?」


ハンナはチラシを隅から隅まで読んでうなづく。


「いいわ!服は私が作ってるの。今から話をしましょう!」


「野菜はどうするの?姉さん」


「ごめん!ケイトス。仕事の話をするから、アンタは今までの買い物をウチに持って行ってちょうだい!辻馬車には帰ってもらって、依頼に行くなら気をつけるのよ!」


「服屋さんにも付き合ってもらいたかったのに!!!」


「弟さんも一緒でよろしいですよ。予定を邪魔したのはこちらですし」


「すみません!全くワガママ言って!アンタは!大人しくしてなさいよ!!!」


「はい!ハンナ姉さん」


良かった。アスター私に気がついてくれたんだ!

私はハンナの機嫌を取りながらアスターとバランの後ろに付いて歩いた。どうやら、市場の建物のカフェに入るみたいだ。

幌馬車に乗ってアスターとバラン以外は撤収して行った。


「アスター=モンタナと申します。ヘキサゴナル国から送られてくるアンデットの魔石の卸売会社の代表をしています。

その事業で儲けた資金で聖魔法使いや芸術家の活動を援助しています。貴女をその1人に加えさせていただきたいのです」


意外だ!てっきりバランが代表かと思ってた!


「いいけど!この置かせてもらうっていうチラシは、ヤバい物じゃないでしょうね⁉︎」


「……じつは、私達の主人が帝国で誘拐されて行方不明になり、探しているのです。チラシはこちらです」


******

【アレクシード=クロスディア様を探しております】


○明るい茶色の髪にヒスイ色の瞳

○5歳

○身長は1メートルくらい。

○居なくなった時の服装

白地に金糸の刺繍のコートと白い立襟のシャツ。髪と同じ茶色の騎士のズボン。フォレストリザードの編み上げのブーツ。

○帝国語が話せない。チェルキオ語しか話せない。

○当代リトワージュ流剣術剣聖

○茶色の剣帯に本人しか抜けない美麗な剣を付けています。

○誘拐の可能性が一番あるので保護したら下の住所へと連れて来てください。


*王都カルトラ6区1ノ8ノ24番地 クロスディア魔石販売店まで。


お礼は本人だった場合は公用金貨1万枚お支払い致します。よろしくお願いします。


******


「当代リトワージュ流剣聖なら大丈夫じゃないの?」


アスターとバランは顔を見合わせるとバランが答えた。


「…アレク様はアンデットの気配には敏感でしたが、人間の気配となると殺意がないと気付かない方でしたから、そこら辺を狙われたのではないかと。恐らく魔法を封じられて、狭い場所に閉じ込められでもしないからには転移で逃げて来られますから帝国語が出来ない事だけが私達の心配なのです」


さすがバラン!流暢な帝国語と名推理!!!


「…わかったわ!私も人探しに協力する!」


「「ありがとうございます!」」


「私も協力します!」


アスターとバランは私を一瞬睨んでニコニコしながら店のメニュー表からオーダーを私達に選ばせた。

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