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幻惑森林シリーズ③

翌日は、体がバキバキだったので軽く運動してから幻惑森林へ転移した。

昨夜遅くバラムさんが屋敷に来てサウスさんを許可無く連れ出したことを怒られた。


「被害者は私達何だからお願い聞いてくれてもいいですよね?」


グリグリの刑に処された。

 何でこんなに単純な拷問が良く利くのだろう?


「言い分はよぉ~く、わかった!それはサウス達を奴隷化してることと一緒なんだぞ!覚えておけ!」


「そっか、……間違えました。サウスさん達にはちゃんと謝ります!」


「解ればいい。しかし、洒落た屋敷だな?」


「蝶のお嬢様んちの持ち物だったらしいです。何か召し上がりますか?」


「コック起きてるか?」


「夜勤の人がいるから、平気です。お酒も用意してハッシュ。私は、ガッツリ食べられるメニューでお願い」


「私は酒のつまみ程度でいいぞ」


部屋からハッシュがいなくなったら、バラムさんは眉間にシワを寄せた。


「まだ、元公爵家の使用人達はケイトスにすがってるのか?」


「助かってますよ。父上と私は本来の貴族とはかけ離れた暮らしぶりだったので皆があんまり良くしてくれるので申し訳ないくらいです」


「お人好し!」


「ハハハ、バラムさんに言われちゃった!」


「私はお人好しなんかじゃない。堕とす時には堕とせる」


バラムさんはいっぱい悲しい経験をしたのだろう。伏せた瞼を何とか楽しい気分にさせたくて、幻惑森林のあの美しい草原と湖のことを話したら手で口をふさがれた。


「私以外に話したか?!」


頭を左右に振るとバラムさんは脱力した。


「主だけが行ける聖域だから、メリエレにも父上にも話すなよ?」


「あい!でも、主じゃないのに入れた私はいいの?」


「……お前が主になったんだよ。私もそうだったが、片足を失ってから、聖域には行ってない」


「じゃあ、きっと聖域が寂しがってるね」


「聖域は呼べるから、ホントにヤバい時には躊躇わずに呼べ。私も片足1本で済んだ」


「再生はかけられないの?」


「……ケイトスならいいか。私は、一度死んでいた。今、何の奇跡で生きてるのかわからないが、魔法が全部キャンセルされるから、再生魔法もムダに終わると思う」


「そっか~。バラムさん危ない所行っちゃダメだよ?」


「私はケイトスみたいな戦闘狂じゃないから、安心しろ」


「私は戦闘狂じゃあないもん!」


ノックの音がしてハッシュとヨランが部屋に入ってきた。

バラムさんには、シャンパンとローストビーフのスライスにブルーチーズのカットした物に剥いたマンゴー。

私にはローストビーフ丼とブリの照り焼き!

 ヨラン大好き!

丼片手に箸を使って爆食いしてると、バラムさんに不思議そうな目で見られた。


「今、夕飯か?あんまり蝶々に根を詰めるなよ?」


そういうことにしておこうとしたら、ヨランがポロッとしゃべってしまった。


「ケイトス様はカーメル様と3時間に渡る死闘を繰り広げてたんです!何しろ坊っちゃんはヒュージ流剣術を継ぐ方ですから、稽古も激しいんでさあ」


「フーン?戦闘狂じゃあ無いんじゃ無かったのか?」


「ソレとコレとは別!ハンナお嫁さんに貰うのに必要なの!」


「ああ!あの子可愛いな!今から予約してんのか?このスケベ!」


「ゴフッ?!オフ!オフ!す、スケベじゃあないもん!スケベっていう方がスケベなんだぞ!」


「そうだ!スケベで何が悪い!大人だしな」


「ナニソレ!ズルいよ!」


「坊っちゃん、飯が冷めるから、さっさと食べて下さい。坊っちゃんがドスケベな事は皆が知ってますから。裸で街を歩くそうですね?」


バラムさんに呆れた視線を送られた。


「幻惑森林に遊ばれてるなよ?」


「だって!1人でバースデートーチ採りに行くと裸でいい気がして!」


「私が付いて参りましょうか?」


「ハッシュが死んじゃうよ!」


「ほらほら、坊っちゃん食べる!ハッシュも無謀な事言うなよ。バラム様足りてますか?」


「少しご飯が食べたい」


「はい!少しお待ち下さい!」


ヨランが出て行くとダンから試合の様子を伝え聞いたハッシュが微に入り細に入り試合の様子をバラムさんに話す。

 バラムさんも面白いのか、色々な質問を繰り出す。結局朝方近くまで、話してバラムさんには泊まって行ってもらった。


幻惑森林に入ってブラッディウルフが襲いかかるのを剣で倒して準備運動その2をすると聖域を呼んで見た。


「聖域やーい!」


あっという間にあの美しい草原と湖の空間に来ていた。

 また、ニセ小花蝶を捕まえてビンに入れると聖域から放り出された。入り口付近には一攫千金を夢見る無謀な冒険者達。


「お前ら何採りに来たの?」


「何だ?お前。子供はサッサといなくなれ!ホンモノの強者だけが、この幻惑森林を制することが出来るんだよ!それは俺達【至高の聖者】だ!ガハハハ」


「あ、そ。頑張れば?私は、一応ギルドに報告しておくからね」


死んだって。


「待て!お前そのビンを置いて行け!」


「やだよ!何でそんなことしなきゃならないの?」


6人の小汚い冒険者達が私を囲む。剣を抜いて、脅してるつもりだろうか?

 あんまりうるさいのでヘブンズマンティスがぐるりと周りを囲んでる。

私は、その囲いから転移して外回りからヘブンズマンティスを剣で倒して行く。倒し終わったら、【至高の聖者】とやらの姿は綺麗さっぱり無かった。


それをバラムさんに報告するとコメカミの血管が破れそうなくらい怒ってた。


「逃げたにせよ、食われたにせよ、他人の採取した物を剣で脅しながら盗るようなやからに冒険者をさせておくものか!

 ケイトス、蝶は集まったのか?」


「うーん。小花蝶に似た新種の蝶なんだけど、コレしかなかったから、コレで行く!」


怒りが収まったバラムさんに見せてみろと言われてビンを渡すと1匹だけ、スライムの袋に入れてピンセットで裏表、胴体と詳しく見てたけど問題無かったらしい。


「テレーゼに持って行け!蝶のお嬢様んちの執事にはこちらで説明しておく」


「あ、数合わせで幻惑蝶も26匹入ってるけど同じ値段でいいからって、言っといて!」


「……もったいない!でも、仕方ないか」


「いいの、蝶のお嬢様には恩があるから」


バラムさんは優しい笑顔を見せた。


「お人好し」


テレーゼさんに蝶々の納品に行き、屋敷に帰って夕飯を食べるともう一度、幻惑森林に転移した。

最後の指名依頼。フェアリーウイングの採取だ。夜はキモい虫魔獣がいっぱいで、嫌な反面、綺麗で危険だから楽しい!

 久しぶりの幻惑リスに剣捌きも冴える。フェアリーウイングが木と木の間を飛び回ってるが、何だかメッチャ速い。弓矢で間に合わないから魔法で倒したら幻惑リスのお替わりが来た!

 しかも周り中幻惑リス。木の幹が見えないくらいの殺意。1頭づつお相手いたしました。

半分以上は逃走したのであんまり疲れなくてよかった!アイテムボックスに一切合財入れてカルトラの冒険者ギルドに転移した。

帰ろうとしていたイエールさんが大号泣してたが、頑張れよ!

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