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幻惑森林シリーズ②

2~3日幻惑森林に通っても小花蝶が採取出来ない。バースデートーチまでコンプリートしたのに、小花蝶がいないのでいつもは行かない区域に入って魔法を使って見たら、ミラージュバタフライの群れが取れたが、これじゃない!どんどん奥に進むと目の前が開けた。

 透明度の高い湖と小花蝶が飛ぶ草原。

メリエレさんが貸してくれた虫取り網で1匹残らず捕まえてビンに入れる。デススパイラルスネークは出て来ない。

安心し過ぎて、モグラの巣に足を突っ込み捻挫した。

 あんまり痛かったので今日は帰ることにした。転移してカルトラの冒険者ギルドまで帰ると、ヒーラーに捻挫を直してもらい、明日は激しい運動は控えるよう言われたので久しぶりの休日を満喫する。

 ……出来ない!退屈だもの!

 バラムさんのとこ、遊びに行こう!


「で?結局小花蝶は何匹獲れたんだ?」


「49匹」


「テレーゼの所に早く持ってけ!見学してヒマを潰してこい!私は、お前構ってるヒマないんだよ!」


「は~い」


栞職人のテレーゼさんちに転移したら、テレーゼさんは出掛けていて奥さんのジュリアさんにお昼ご飯をごちそうになった。

 お礼に南東諸国連合国のストールをあげたらテレーゼさんのひざ掛けにすると言って笑っていた。


2時間後にやっとテレーゼさんが帰って来て、私はホッとした。

 ジュリアさんは何というか、ゴシップ好きのおばさんなのだ。色々聞かれて困っていた。素直にいつも通り話したらウワサになること間違いない!

 幻惑森林に一攫千金を夢見て一般人が行く悪夢を想像して変な汗が出る。


「テレーゼさん、まだ集めてる途中なんですけど数が数なので納品に来ました」


「お茶にしようか。千枚板を買ってきたから」


千枚板とは何ぞや?


苺のミルフィーユでした!

はむ!美味し~い。幸せぇ~。

これ、なかなかヨランも作ってくれないんだよね。メイドさん達に食べカスが汚いからって禁止されてるの。


アトリエに入るとテレーゼさんは、小花蝶の入ったガラス瓶を受け取りジッとランプに透かして見ていたが、困った顔をした。


「コレ、新種だね。小花蝶によく似てるけど、全く別物だよ。でも、栞にするのにはいいから作っちゃうけど、ね」


「私は指名依頼が入るとその蝶がほぼ捕れたことが無いんです。ああ~!せっかく見つけたと思ってたのに!捻挫までして、振り出しかよーーー!」


「小花蝶が採れなかったらコレで行こう!早速作っちゃうね」


「見学しててもいいですか?」


テレーゼさんは声を潜めて「ダメ」といい、その理由も教えてくれた。

ジュリアさんが仕事場に入るのを阻止したいかららしい。……確かに。あの調子でベラベラ話されたら確実に仕事の邪魔だ。

昼ごはんとおやつのお礼を言い、テレーゼさん宅を後にした。


ヒマだから父上の教会に行き、ステンドグラスを見て楽しんだ。ベンチに座ってボウッとしてると父上の帰る時間になったらしい。揺り起こされて寝てたなと、自覚する。

父上は私をオンブして家まで歩いた。

 馬車あった方が良いな。ルメリーさんに相談してみよう!


お家に帰って夜ご飯。小篭包大好き!今日は「チューカ」でした。


翌日、メリエレさんと謹慎処分中のサウスさんのクラン【ドラゴンハント】を連れて幻惑森林に来た。メリエレさん達に小花蝶の採取を任せてデススパイラルスネークは私が討伐する予定だったのだが、出て来たのはポイズンバタフライと森蝶、仕方なく私が採取した。小花蝶を探してあっちこっちで魔法を使って樹液を出して誘って見たけど、全部違う蝶が捕れただけ。


「魔蜜で誘引してみろ」


「メリエレさん!頭良い!」


「ケイトスが1人の時にやるよりマシだろう」


早速あの大きな魔ミツバチの巣に転移して魔蜜を採りつつ誘引するとデススパイラルスネークの幼生や、芋虫、幻惑蝶まで、バラエティ豊かに捕れたのに、何故か小花蝶が捕れない!


「ケイトスにも苦手があるんだな!」


数合わせで幻惑蝶もテレーゼさんに持って行くとテレーゼさんが、欲しがったので好きに取らせた。赤と緑の羽が人気色らしい。そればかり取ってた。100まであと、30匹。

マメに集めるしかあるまい。

 屋敷に帰ったらカーメルさんからの呼び出し状。

※※※※※

お前、無視してるのか?今夜来い!

           カーメル

※※※※※

コワッ!

木剣と騎士服に着替えて、夕飯を食べずに出かける。ダンに試合に行って来る。骨は拾ってくれと、頼むとダンが付いて来た。


「冗談に聞こえませんでしたから!」


「だって、本気だもん!おっかないんだよ!カーメルさんって」


「あの方でしたか。顔からして怖いですし」


思わず大爆笑。ダンに冗談を言わせてしまった。


「こら!他人ひとんちの軒先で漫才してるヒマがあるなら、とっとと入って来い!」


「カーメルさん、ご機嫌ですね?何か良いことありました?」


「久しぶりに手加減無しで試合が出来るからな!」


ドン引き案件でした!逃げて!私。


道場に入ると知ってる顔がチラホラいる。

手を振ると「やっぱ、そうじゃん!白王子だぜ!」と大興奮している。


「白王子何でいるんだよ!」


「婚約者の実家だから。カーメルさん義父おとうさんだし、師匠なの」


「「「「「「「「てめぇ、ハンナ様をいつの間に!」」」」」」」


「文句のある奴は並べ!ケイトスと戦って勝ったらハンナをやろう!」


「白王子!尋常に勝負しろ!」


あ、この人。ヒュージ流剣術長いな!きっと強い。

試合開始位置に向かい合って立ち木剣を構える。


「始め!」


百来で距離を縮めてからの乱れ突き。ああ、存外弱かった。痛くしてごめんなさい!

喀血して倒れた試合相手にカーメルさんが、ポーションを飲ませる。

 ざわめきが収まらない道場にハンナが入ってきた。ポーションの差し入れ。


「あのね、言っとくけど、お父さんと対等に勝負出来るのケイトスだけだから、ムダにポーション使わないで!」


カーメルさんがご機嫌で無茶ブリしてきた。


「準備運動くらいにはなるだろう。5人で倒してみろ」


すると鋼のような体つきの5人のヒュージ流剣術で食ってる本業の方達が立ち向かって来た。


「始め!」


囲まれる前に1人づつ倒したら道場がお通夜の会場みたいになった。

そこで満を持してカーメルさんが、木剣を持って登場。

ダンとハンナだけが私をのんびり応援している。


「負けたら許さないんだから!」


「ケイトス様、死力を尽くして下さい!」


言葉の割には二人とも笑ってる。

 愉しそう!


「始め!」


百来!早い!大丈夫!剣筋は見える!乱れ突き、天牙、振り落とし、初動。流れるような技の連続に背筋がぞくぞくする。

 来い、とカーメルさんの目が言ってる。

初動からの百来、しながら、流星。

さすがカーメルさん合わせてくる!左回転斬り、スキを見せて誘うと乗って来た。

カーメルさんお得意の乱れ突きからの天牙。打ち下ろし、乱れ突きで返す。


1時間ほど死闘が続いて木剣が壊れて体術勝負に移行。騎士服がボロボロになるまで続いた勝負は私の申告負け。

カーメルさんは不機嫌そうに何でだよと私の襟を軽く絞めている。


「明日も幻惑森林で仕事なんですよ!ボロボロにされたらたまりません!」


「仕事が終わってから来い!」


「なかなか、終わらないんですよ。勘弁して下さい!」

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