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リダル商会実店舗

遅くなって申し訳ありません!

取り調べを受け、なんら後ろ暗い所が無かった私達は、リオラの元アイルの店へと転移した。

古くて雨漏りしてた店内は、何ということでしょう!石膏で塗り固められ純白の壁と床に!屋根は見事な新しい屋根材に。雨漏りしていた悲しい店は、もうどこにも見当たりません。


「どうだ、坊主。あとは外観だな。メリエレが内装は白かったらいいって言うから、こんな感じにした。白い壁は加工して粉が付かないようになってるからな!」


「ありがとうございます!アリューシャさん、マーズさん。外観は明日ですか?」


「明日はお土産を買うから今夜中に片付ける!」


マーズさんの気合いがハンパない!

 何でも古いのを新しくするだけなら魔力頼みで何とかなるらしい。

看板は下ろして後は任せたら5分もかからず、店は新築同然になった。

 ここでリフォーム代のお支払いをしようとしたら、固辞された。


「金は十分にもらった。明日、お土産買うのに、足になってくれ」


「そんな簡単な事でいいんですか?」


「簡単ではないから、頼んでいるのよ!出来るか?」


「はい!出来ます!今日はありがとうございます!幻想庭園に帰りましょう」


「うむ!」


夜中だが、メリエレさんと私とハンナはリダル商会の実店舗に商品と一緒に何度も転移して店の中を整えた。

 これで明日から営業できる!

朝までの少しの時間眠っていたら、アリューシャさんに起こされた。

 朝ご飯はドラゴンフレーバーの肉まんで済ませてチャトン伯爵領の青証市場に転移した。

 幻想庭園で祭りをやってるからか、いつもより賑わいがない。

ゆっくり見て回れるから、今日来られてラッキーだった。

 アリューシャさんとマーズさんは玄関マットを真剣に吟味している。


「ちょっと仕入れして来るから、好きに見てて下さい!」


「30分後にここで待ち合わせじゃ!」


「はいはい」


見事なチェルキオ語で値段交渉をし始めた魔法建築じいさんズを取り残して、私はビーズアクセサリーの仕入れに露店を転々とした。一番お気に入りの店は実店舗をこの市場の近くに持ったらしい。場所を詳しく聞いて転移したら、賑わってる店を発見!

【マヨルのビーズ屋】に突撃。

高額商品を総ざらえで買い取ると、お店の人に目をつけられた。


「どこで売る?」


「帝国で。綺麗だから、いっぱいお客様ついてるよ!」


「帝国で!ふう~ん。そう。なら、一つオマケしといてやるよ」


色違いの大作のネックレスを渡されて驚いていると、ポツリと店主が呟く。


「店が構えられたのは全部お前のおかげだ。今度はいつ来る?」


「在庫があればいつでも買い付けに来たいです!次は1週間後で」


「2週間後にしてくれ。数が揃わない」


「では、2週間後に参ります!全部でいくらになりますか?」


「公用金貨3枚と大金貨9枚と銀貨7枚だな。払えるか?」


「大丈夫です」


虹証を重ねて支払いをするとビーズアクセサリーを箱詰めしてくれた。商品への愛情が見て取れた。

 木札交換してマヨルさんだと確認すると、急いで待ち合わせ場所に転移した。


そこには玄関マットを積み上げた魔法建築じいさんズがいた。


「すみません!遅くなって!」


「構わん。ワシらは急いで無い。王都に行ってくれるか?」


「はい!喜んで」


師匠がふざけた時に言うこの言葉が何だかすごく私は好きで、何回も言わせて遊んでいた。

 師匠も付き合いがいいものだから、私の気が済むまで付き合ってくれたなぁ。


 王都に転移するとじいさんズは大人の街に繰り出した。むろん私は立ち入れない。

久しぶりに、王都のアイルの銀細工工房へと仕入れに行くと怒られた。


「来るのが遅ぇんだよ!全く、タイミングが悪ぃったらありゃしねぇ!!」


「ごめん!怒ってたから、間空けた方がいいかなって」


するとアイルが謝った。


「わ、悪かったよ!つい、カッとなっちゃって言い過ぎた。…俺、いつもそれで損するのに、やっちゃうんだよな」


「いいえ、約束忘れてた私がいけないんです。今日は売って下さいますか?」


「おう!頼むぜ!俺の友達の作品はどうだった?」


「宝石の質が良かったら、もう少し価値が高いんだけど。銀細工自体は良いと思います!」


「よっしゃあああ!!今日も預かってんだよ!検品頼むな!」


可愛らしい花をモチーフにした銀細工の指輪とネックレスの数々に一通り目を通すと公用金貨3枚で500点を買い取った。

 アイルの分は、得意分野のドラゴンモチーフしか買い取らなかったが100点で公用金貨5枚だから、明らかに格が違う。


「……お前って、容赦ないのな」


「高く売れないから、仕方ないでしょ?友達はいつ来るの?」


「毎日夕方に仕事終わってから来る」


「今日ドラゴンフレーバーでご飯奢るから引き留めといて」


「マジか?!俺も!俺も!」


「わかってる。仲間外れになんかしないから、ちゃんと引き留めといてよ」


「わかった!頑張る!」


銀冠山脈の麓、宝石類の発掘出来るナツメ男爵領へと転移した。


 もちろん発掘の許可は持ってないから原石の仕入れだ。毎日オークションが開かれてるから、潜り込むのだ。

 今日は、メリエレさんをちょっと連れて来た。


「あのなぁ!俺が何でも出来ると思うなよ?!」


「知的な大人に見えたら良いの!…実店舗はどうだった?」


メリエレさんはニヤリと笑う。


「もう、店に飾ってある物しか売り物がねー!明日、帝国に連れて行け!」


「あれ、買って!公用金貨1枚で」


「ハイハイ、加工賃は考えてるか?」


「……それって幾らくらい?」


「ピンキリだ。大体宝石の1割くらいだな。競り落とせたぞ。外れじゃないといいな」


大量の土砂を一括して購入し、それを洗って原石をすくい上げ、カットしてもらうオークションなのだ。

 銀山で採掘したからか、良い物があると探知しやすくなった。多分他の土砂より、たくさんあるはず。

ただ、研磨する職人さんが、橙証の少年しか、捕まらなかった。リッツくん、13才。


「俺は2割もらうよ!」


「良いですよ。良い仕事をお願いします」


「いいのか?!2割だぞ!」


「良いから。10日後以降に来る。食事はまともに取れてる?」


うつむいた。あ~、もう!大金貨1枚分の大銅貨を麻袋に入れて渡す。


「これでちゃんと食べて!この分は先払いだからね!」


泣いた。メリエレさんがギュッと抱きしめてあげてる。


「約束があるだろう?夜中に迎えに来い。ちゃんと食うか見とく!」


「お願い!メリエレさん!じゃ、私は行くね」


王都のアイルの店に行くともう閉まってて、お友達とやらもいなかった。

 ブチ切れたアイルに30分は怒られた。

だって、もう夜だしね。


「で?何の話をするはずだったんだよ!」


「いや、お店出さないかなと思って。物件はあるし、腕もいいからどうかなって?」


デルフィ工房の為に用意した元パン屋の物件が空いてるからいいかな、と思ってたのだが…


「何それ?!早く言えよ!そんな大事なことなら今から行こう!まだ、寝てないはず!」


あっという間に転移させられた。そこは工房の中の住居部分で、皆さんで晩ご飯を食べてる最中だった。


「何だあ?アイルか。ツレは何者だ!」


名刺を出して頭を下げ今までの経緯を伝えると、何だかとってもやばい雰囲気になった。


殴り飛ばされそうになった、青年の前に転移してヒュージ流体術の清流という受け流しの技を使う。


「こんの野郎!オメェは関係ないんだよ!どけ!」


「何が悪いんですか?」


「そんな大事になる前に何で師匠の俺に一言も無い!道理が通ってねえ!」


「だって、知ったの今ですから。言いようが無いでしょ?」


「ホントか?!リグル」


「はい!私も驚いてます!」


「チッ、仕方ねえ!リグルは、まだまだだが、話によっちゃあ出店とやらを考えてやらんでもない」


「お願いします!」

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