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第1回幻想庭園銀細工職人祭り③

「……そっか、剣術も職人さんの道も変わらないんだ。じゃあ、徒弟制度を設ける必要があるよね」


ハンナは花が開くように笑った。


「師匠がいると随分違うと思うの!私は自分が大変だったから、余計にそう思うな」


「ありがとうハンナ!いろいろ考えてみるね」


「徒弟制度ならありますよ」


イキニシア組合長がいた。お供はナシらしい。


「ただ、どの工房も衣食住全部無償でみるのが難しいので、滅多に使ってる人を見ません」


私たちは作品を観ながら会話した。


「支援金をあげるとか?」


「最初それをやったら弟子には使わず豪遊してたバカばかりいたそうで、直ぐに打ち切りになりました」


「使う側の意識の問題ですね」


「ケイトス様には素晴らしい取り組みを試行錯誤していただき誠にありがとうございます!商業ギルドを立ち上げるのに、大変参考になります!」


「虹証は変わりますか?」


「残念ながら、変わりません。貴方が変えて下さい!実例があると無しとでは、変えられる事もあるのです。よろしくお願いいたします」


私に丸投げされてもね?呆れ半分採取組合はそんな体質だからと頷いておいた。

 その後のハンナとの真夜中のデートは婚約指輪を買うのに大変参考になった。

幅広い指輪の技巧が凝らされた物が好みみたいで、シロッコさんにお願いしようと決意した。


転移でハンナを部屋まで送り、自分の部屋に帰って寝て起きたら夕方だった。

 昨日は大人数であちこち転移したから疲れてたのだろう。1日くらいのロス仕方ない。

夕飯にハンナを誘いに行けば留守だった。

 ルメリーさんと外出したのだろうかと事務所に行けば捕まえられた。

 

「ハンナちゃんは、お店手伝ってたわよ!それより職人村に入る職人達の引っ越しよ!バフォア公爵領って広いでしょう?」


「……迎えに行きますよ!」


「話が速いわね!さすがケイトスくん!伝達である程度集めてるから、よろしく!リオラの市場とバイパスと、ペタル子爵領との境目ね!」


まず、ペタル子爵領との境目から。30人程度の人数を運び、バイパスで拾った18人の職人を職人村まで移動させる。

リオラまで転移して残りの82人を3回に分けて職人村まで移動させる。


ふうー。やり切った!あとは、ナジムさんの部下さんにお任せ!


さて、明日はハンナを連れてリオラの市場に行ってみるか。


翌朝、起きると直ぐにリダル商会の露店に行ったら、店が広がっていた。

 高級品も売っていてそこには帯剣したサイナムがスーツ姿で接客している。

 そういえば虹証が黄証になるんだった!組合長にしてもらえるかな?

 聞くと王都に行かなきゃならないらしい。

私は一人で手続きに行った。

 橙証の窓口に行くと虹証を見せる。

係の女性が虹証をみて微笑む。


「おめでとうございます。緑証にランクアップですね」


「え?!黄証じゃなくて?!」


「はい、公用金貨1000万枚以上の売り上げがありましたから緑証で間違いないです」


「やったあー!……って言う事は店で売らなきゃダメって事!?」


「そうでございますわね」


助けて魔法建築じいさんズ!!

転移して銀細工職人祭りの展示会場にじいさんズの一人アリョーシャさんを訪ねた。


「建てるのは一日で終わるけど、土地が無いぞ。幻想庭園内に貸し部屋を借りればいいじゃろ、坊主」


「もう、2年先まで予約で埋まってるの!」


「やれやれ片手落ちじゃろ?坊主。それにいずれここをでなければならなかったのだから、領都リオラで店を構えれば良いじゃろ?」


「……ソレも有りだね。今日土地を買って来るから明日建ててくれる?」


「そろそろマーズと交代じゃから、少し待て坊主。良い土地を購入しないと客は来ない」


「それもそうだね。アリョーシャさん、私はケイトスですってば!


「ガハハハ、わかった。坊主」


わかってないよね?アリョーシャさん!

 私はマーズさんを探す苦労をせずに、マーズさんと合流し、マーズさんとアリョーシャさんを連れてリオラの市場に転移した。

 リオラの市場はどこか、閑散としていて職人達も仕方なく露店を出している感じだった。

 以前お世話になったヨーグ不動産を訪ねると青証になっていた。


「ケイトス様にはお世話になりました!今日はどんな御用向きで?」


「私の商会が緑証になったので、店舗が欲しくて」


「おめでとうございます!いま、売り出し中の店舗は「潰れそうな良い物件を紹介していただきたいのです」!!……お金がかかるけど、あるには、あります。2軒ほど、今から参りましょう」


「えっとね、お店の人も欲しくて性格の良い人が良い」


ヨーグ青年は引きつり笑いのまま固まった。

 

「近いから歩いて行きますよ?良い性格はしてます」


「それは、くせ者って事だな?」


「アミュレットや聖句の綴られた腰帯などの販売をしてたのですが、正規の品しか扱ってなかったせいで、他の商会に差をつけられてしまって、資金繰りが上手く行かなくなって藍証から橙証まで落ちたんです。最近は市場で売ってたんですけど、まだ、生きてるかな」


ドン引き発言にヨーグ青年から距離を取っているとヨーグ青年の後ろにその巡礼者は転移して来た。


「ヨーグ、良く来た!メシ奢ってくれ!」


「緑食堂で良ければ」


「えぇ~!あそこマズいじゃねぇか!シッシッ!お前ら見世物じゃねぇ!」


ミシミシ

 

 ヨーグ青年の容赦ないアイアンクロウが巡礼者青年の顔面を襲う。


「イタァ?!痛い!痛い!助けて!そこの人達!」


「君の待ってた店舗高額買い取りのお客様だよ?アイル」


「え?」


◆○◆○◆


マズい物食べるのが嫌だったので、皆で幻想庭園の私の部屋で食事することにしたら、メリエレさんもハンナも会議に加わるという。


「何で巡礼者の衣装着てるの?」


「販売促進の為や、ハンナちゃん」


「ハンナは私の婚約者だから、近づいたらコロスよ?」


「へぇ、どうしようかなぁ?」


前髪を剣を一振りして眉の上で揃えてやった。何が起こったかわかってない模様。

髪の毛の切れ端がテーブルに散ってるのを見てサァーッと青くなった。


「近づいたらコロスよ?」


「わかった!落ち着け!近づかない!よし!商談に移ろう!」


「まず、幾らで店を売りたいの?」


「市場に面してるから、公用金貨50億枚は欲しい!あと、当面の俺の宿を何とかしてくれ!」


「何でそこまでしてやらなきゃならない?理由を話せ」


うわあ、メリエレさんも冷たいね。


「……だって、ホントは売りたくねぇんだもん!これぐらいふっかけてもいいだろ?!」


「アホか!いらんわ!後生大事にするんだな!ケイトス!捨ててこい!」


「ヨーグさんごめんね、もう一つの物件紹介して下さい」


ヨーグ青年は立ち上がるとその長い足でアイルの頭を蹴った。


「せっかくの良い話をぶち壊しやがって!お前の顔なんか見たくない!餓死でもしてろ!」


椅子ごと床にひっくり返ったアイルは鼻血をだしたまま、ヨーグ青年の足に縋り付いた。


「おで、お前に見捨でられだら、ダメになる。お願い、見捨でないで」


「だったら、言うことがあるだろう?ああん?!」


「ごめんなさい!おでが悪がっだれず!ちゃんど、言うごど聞ぐがら、話を聞いで下ざい」



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