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祭りの前

ローゲンツ公爵閣下の指名依頼を済ませたメリエレさんと私はルメリーさん、リンディー、コリンズを連れてヘキサゴナルの幻想庭園へ転移した。

 北門の素材屋にファインさんちに頼んでいた革の素材を卸し、エメリヒ工房から持って来た布も卸した。銀の延べ棒はカウンター裏に隠されていて衛兵が交替制で24時間見張りに立っている。

 第1回幻想庭園職人祭りは、東門とバイパスとの間に宿場町と職人村が出来たらすぐ始める予定だ。

 職人村が店を開いたので人でごった返している。職人さんもいるが、平民の姿も多い!

やはり、食堂のメニューが安いからだろう。

 その中にナーテとミリスの姿があった。

あちらから手を振って近寄ってくる。そちらばかり見てたから、熱い汁物をわざと掛けられた。クリーンで直ぐ綺麗にしたが、火傷は治らない。リンディーが気付かなかったら、痕になってただろう。

コリンズが汁物を掛けた男を取り押さえた。一発二発良いパンチを男の腹に入れて。

 メリエレさんが観て無くてよかった!その場合、男はられてただろう。


ちなみにロクな事を喋りそうになかったから、私が猿ぐつわさせた。


こんな所で「ルークシード=クロスディア云々」やられたら、たまったもんじゃない。

男は衛兵に引き渡した。

 メリエレさんが私達がいつまで経っても席に来ないので、やってきた。案の定騒ぎを聞いて怒髪衝天している。

 ナーテとミリスも誘ってお昼にした。


「食事中にすみません。リダル商会のケイトス様でしょうか?」


まだ、リゾットをひとさじしか食べてないのに。

 笑顔を作ってそちらを向くと裕福だと解る着物を着た金髪碧眼の青年が、商人が目上の人に対してやる正式礼をしていた。

よく見ると青年は泣いていて何らかの厄介事を持ち込むつもりらしい。面倒だから、青年事、幻想庭園の事務局に転移した。


「リダル商会のケイトスです。何の用でしょうか?」


「ケイトス様!火傷は大丈夫でしたか?!」


ナジムさんが、私の体をクルクル回して火傷が治ってるか確認した。


「あの男、肝心なことを話さないんです」


「申し訳ありませんでした!私が貴方様がルークシード=クロスディア様だと話していたのを聞かれてしまったのです!それが、ここ2~3日でウワサになり、先ほどの騒ぎの元になりました。謝っても謝り足りない失態です」


何て事。じゃあ、私は自ら看板背負って歩いているようなもの?!


「いつバレるか、時間の問題だっただけだから、泣かないの。大丈夫。私は強いから。さあ、帰って下さい」


そうとしか言いようが無い。

 あああ、お祭り楽しみにしてたのに、外出禁止かな?滅入る。

青年を食堂まで転移で送るとナーテとミリスが他の銀細工職人達と小競り合いを起こしていてコリンズとリンディーが必死で押さえている。メリエレさんはメリエレさんで面倒の渦中に巻き込まれ中。


ソレもコレも私がルークシード=クロスディアだからだ。


「はい、はい!私がルークシード=クロスディアです!何か言いたい方はこちらにどうぞ!」


しんと、静まり返る食堂内。先ほどナーテとミリスに対して荒ぶっていた銀細工職人達が目の前に来た。


「何でコソコソしてやがる!何の思惑があって職人達を囲っている!」


「えっとね、コソコソしてるのは、殺されるから。さっきもアツアツの汁物ぶっかけられたし、ホロイ邸に来てすぐ、殺し合いになって、知り合った商人さんに、強いから貴方は良いかもしれないけど周りの人が危険に晒されると言われて、身を隠す努力をしてました。ウソついててごめんなさい」


一礼すると、食堂内がざわざわしている。

メリエレさんがオーガみたいな顔になっている。


「何の思惑があって、は、バフォア公爵へのご恩返しです。

ちなみに、使ってるお金は私が帝国で冒険者として稼いだお金で魔石代ではありません。

 他に聞きたい事はないですか?」


「それなら、金をくれよ!」

「そうだ!そうだ!金を寄越せ!」

「お前のせいで赤証に落とされたんだぞ!」

「金だ!」

「使い切れない程の金を寄越せ!」


威圧を放って黙らせた。


「調子に乗るなよ。赤証に落とされたヤツらは違法行為をしていたからで、私には関係ない!それを助けてやってるのに、金を寄越せだぁあ?!心得違いもいい加減にしてくれますか?メリエレさん、衛兵を呼んで今騒いでた全員、幻想庭園に立ち入り禁止にして下さい!」


すると、食堂から一斉に皆出て行く。私は改めてきつねうどんを注文して食べ始める。

 ナーテさんとミリスが恐る恐る近寄ってくる。


「バフォア公爵と知り合いなのですか?ケイトス」


「帝国に逃げた時いろいろ助けてくれた恩人何だ。そこに住む人間が元気じゃないと、地域が活性化しないでしょう?だから、職人さんの支援をしてるの。私が職人さんが好きなのもあるけどね」


「ケイトス様!!無事ですか!」


「あ!ナジムさんが来る程のことじゃないよ。ほら、元気だよ。何か食べてく?奢るよ」


よく見るとイキニシア組合長もいた。


「つぶらさん!きつねうどん2つ追加で!」


「はい、はい!」


ヒマになったからか、持って来てくれた。


「私ヒマだし、文句聞き係になるよ。今からは帯剣して歩くから心配しないで。で、汁かけ男は何か言った?」


「それが、嫌がらせしてみたかったからケイトス様をターゲットにしたようなのです」


「うんと重い刑にしといて。そんなのにたくさん来られたらたまらないから」


「わかっております。お任せを」


後日、銀山送りになったと聞き目が点になった。確かに重い刑にしてとはいったけど…

 そのおかげか、2度と汁かけされるような事はなかった。


リンディーが、ヒューイットを見廻りに行くと言ったので、東門とバイパスとの真ん中にある、宿場町と職人村に転移して行くともう完成していて、魔法建築師は1人もいない。

 ちょうど警備中のメキス警備長がいたので、魔法建築師達の行方を聞いたら領都リオラの工房地区の工房を直してるらしい。銀貨5枚渡して、領都リオラに転移した。


あれだけ荒れてた工房地区が、ピッカピカになっている。

 エイリーン兄上を見つけて近寄るとぎゅっと抱きしめられた。


「ありがとう!ケイトス。お前のおかげでスラムは無くなったし工房地区は綺麗になったし、荒くれ者は職に就いたし良いこと尽くめだ」


「んー。私は何一つとして動いてないから実感が無いんですが、兄上が褒めてくれるのならやぶさかでもありません!」


「ところで何をしに来たんだい?」


「魔法建築師がサボってないかの見廻りに来た」


「ああ、若い奴らは金でしか動かないって評判悪いよ。ナジムさんが困ってたから」


「どこにクズ共はいるんですか?エイリーンさん」


リンディーがコワイ!

エイリーン兄上が指差す方向へ転移するとマーズ達、魔法建築じいさんズが巨大な建物を建てていた。1人は屋根に上がっていて屋根瓦をふいてるようだ。

足元がフラつき見ていた誰もが悲鳴を上げた。慌てず転移させたら落ちかけてたじいさんフィモさんに号泣しながら、抱きしめられた。


「大丈夫?まだ屋根瓦ふくの?ヒューイットさん達に代わってもらったら?」


「奴らめ、リンディーちゃんがいないとやる気が起きないとか言って王都で遊び呆け取る!公用金貨5億枚はやり過ぎじゃ!」


「これからは、ヒューイットさんにやってもらいましょう。フィモさん達はゆっくり休んで下さい」


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