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防御魔法ってなんなの! と思ったけど、使ってみるといろいろと優秀でした!  作者: ももがぶ
第一章 さようなら日本、こんにちは異世界
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第22話 結界は優秀でした

 結界を使用した索敵で見付けたのはこと辺りだよなと、少年は風魔法に込める魔力を調整し、徐行レベルまで速度を落とすと少年の下には集落の様に荒ら屋が並んでいる開かれた土地が目に入る。そして、そこにはゴブリンらしきものが徘徊していた。


「うん、当たりだね。じゃあ、見えるヤツから結界に閉じ込めればいいか。『結界』。あ、ん~逃げられないようにこの巣の全体に結界を張った方がいいかも。ま、モノは試しってことで、改めて『結界』と。お~やれば出来るもんだね」


 少年の眼下では最初に結界に閉じ込められたゴブリンを興味深そうになんだなんだという感じに他のゴブリンが寄ってきている。


「他に巣から出ているゴブリンがいるかも知れないけど、これだけ始末出来れば当分は平和になるかな。あ、そう言えば……」


 眼下に見えるゴブリンの巣の全体を結界で閉じ込めた後に「確か他にもいたはず」と少年は思い出すと、もう一度索敵を試してみる。すると、この眼下の巣からはみ出たゴブリンは見つからなかったが、五,六人が一箇所に固まっているのが分かった。


「多分、方向と距離的にあれだよな。じゃあ、あそこも個別に『結界』と」


 少年がある小屋に結界を掛けると、動けなくなった仲間のゴブリンに興味を失った一体のゴブリンが、その小屋に近付き入ろうとするが入れないことに気付く。


『ギャ?』

『グガギャ?』


 そのゴブリンが小屋に入れないのを不思議そうにしていると、他のゴブリンもその様子に気付きだす。すると、アッという間に小屋の周りにゴブリンが集まりだす。


 あるゴブリンは手に持っている棒きれで叩いてみるが、その棒きれは結界に当たり跳ね返される。


『ギャ?』

『グギャギャギャ!』


 するとそれを見た剣を手に持っていたゴブリンが笑いながら『俺に任せろ』といった感じで棒きれを不思議そうに見ているゴブリンをどかせると、その剣を結界に向かって振り下ろすが、『ガキン』と結界に当たった直後に根元からポキリと折れる。


 すると、さっきまで笑われていた棒きれを持つゴブリンが、『偉そうにしてたくせに』とでも言いたいのか、根元から折れた剣を見て呆然としているゴブリンを指差してゲラゲラ笑っている。


 そうなると、まるで腕試しでもするかのように色んな道具を手にしたゴブリン達が結界をどうにかしようと力任せに振り下ろすが、結界が壊れるどころか傷一つ付かない。


「へ~凄いね。ん?」


 結界を壊せないでたくさんのゴブリン達が肩で息をしていると、『情けない』とでも言っているのか、見た目にしわくちゃなローブを着て左手にはロッドみたいな杖を持つゴブリンが前に出て来た。


「もしかして、アレってゴブリンメイジってヤツなのかな? うん、小屋の中の人には悪いけど、もう少しだけ観察させてもらおう。さて、どうなるのかな。うふふ、頑張ってよ」


 ゴブリンメイジは何か『ゴニョゴニョ……』と呟くと左手に持つ杖を高く掲げて『ゴギャ!』と叫べば、杖の先から火球(ファイアボール)が飛び出すと、その勢いのまま結界に当たり、火は結界全体を包み燃え出す。


 その様子に満足したのかゴブリンメイジは『ウシャシャ』と笑っているが、その笑顔は直ぐに引き攣ったものへと変わる。


 何故ならば、勢いよく燃えたのは火球(ファイアボール)が当たった直後の数秒だけで、その火勢は直ぐに治まり、今は結界から湯気が出ているくらいだ。


 そうなると、ゴブリンメイジとしてのプライドが傷付けられたと感じたのか、自分が使えるであろう全ての魔法を使い、結界に当てるが結果は変わらず、魔力を使い果たしたゴブリンメイジは頭を抑えたまま、地面を転げ回っている。


 少年はそれを見て「ゴブリンメイジも魔力切れになると頭痛がするんだ。ふ~ん」と観察していると、今度は大きな小屋から、これまた他のゴブリンより一回りも二回りも大きいゴブリンが出て来た。


「うわぁ、強そう。流石に今度はダメかも……ゴメンね。知らない人達」


 少年はそう言って小屋にいるであろう身も知らぬ人達に上空から手を合わせる。


『ゴガッ!』

『ギャ……』


 その巣のリーダーらしき大きなゴブリンは小屋の周りに集まっているゴブリン達を一声でどかすと、手に持っていた石斧を力ませに結界に向けて振り下ろすが、その石斧は結界に当たった瞬間に『バキッ』と崩れる。そして、力任せに振り下ろしたゴブリンは勢い余って、結界に顔をぶつけてしまう。


『ギャ……』

『『『ギ……ギャギャギャ!』』』


 あれだけ偉そうにしていたゴブリンが結界を壊せないどころか、石斧も失い、剰え顔を結界に打つけ、鼻血を出しながら痛そうにしているゴブリンを回りのゴブリン達が我慢ならないとばかりに、そのゴブリンを指差しながら思いっ切り笑っていた。


「ふ~ん、ああいうのは人もゴブリンも変わらないんだな。まあ、これ以上のことは起きなさそうだし、この辺でいいか。『結界』」


 少年はそう呟くと巣の中にいるそれぞれのゴブリン達を結界に閉じ込めて体の自由を奪ったのを確認してから、自分に掛けていた透過を解き、ゴブリンの巣へと下りていく。


『『『ギャガガギャ!』』』

「相手するのは、もうちょっと待ってね」


 いきなり自分達の前に現れた少年に一瞬戸惑った様子のゴブリン達だったが、直ぐに獲物が来たことに気付き、それぞれが少年を襲おうとするが、自分達の体が動かないことに気付く。


「だから、直ぐに終わるから。もう少しだけ待っててね」

『『『ギャ?』』』


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