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防御魔法ってなんなの! と思ったけど、使ってみるといろいろと優秀でした!  作者: ももがぶ
第一章 さようなら日本、こんにちは異世界
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第21話 Gは殲滅すべき

「え~と、実験としてはこんなもんかな~」


 少年はゴブリン(モルモット)を使っての魔法の実験結果をしゃがんで地面に書込ながら纏めていく。


「先ず生き物を『複製(コピー)』で増やすことは出来ない。でも、肉片と化した物なら『複製(コピー)』で増やすことが出来る。それと転移魔法は使えないけど、『結界』を使っての閉じられた空間内なら転移は可能だった。でも、転移先に転移する物が収まる十分な空間がないと、その結界内に無理に出ようとすることで、グッチャグチャになる。けど、これは転移先の結界を柔らかくすることで対策出来た……っと。うん、こんなもんかな」


 さっきまで行っていた実験結果をまとめ終わった少年は自分の足下の惨状を見て顔を顰める。「もう少し場所を考えるベキだったかな」と。


 横穴の近くで実験を繰り返したものだから、そこら中にゴブリンの体液や肉片が散らばっている。


「ん~やっぱり変だよね。僕はどちらかと言えば、スプラッターみたいなグロは苦手だったハズなのに。どうして、今は平気なんだろう」


 そう、少年が思うように今、少年の目の前には猟奇殺人の現場と言っても過言ではないような惨状だが、少年はその中心で平静を保っていられたことに今更ながら気付く。昨夜は襲われたから返り討ちにしただけの気持ちだったけど、考えるとどうしてなのかと不思議に思う。


 まあ、少年がいくら考えても分かる訳がない。実を言えば、あの女神ミルラが少年の体を作る際に少しばかり自分の趣味を交え、顔を整えて、すぐに死なないようにと異世界の子供の平均値以上の体力、筋力を備えた上に何があっても平静でいられるようにと元々高かった精神耐性に加えて、グロ耐性も向上させたのだ。


 この異世界で元の日本の道徳心を持ち出して死なないようにとの女神ミルラの親心であったが、このお陰でゴブリンを気にすることなく返り討ちに出来たのだ。


 だが、少年がこのことを知ることはなく、いつもの様に「ま、いっか」と頭を切り替えるだけだった。


「さてと、ゴブリンがこうやって、またウロついているってことは近くに巣があるのは間違いないみたいだけど……どうやって探せばいいんだろうか。ん~あ! もしかしたら、出来るかも!」


 そういって、少年はポンと手を打つと、「確かラノベでは魔力を薄く広げて感知出来る範囲を広げていたよね、じゃあ、僕は」と少年は結界を足下に薄く広げていく。


「ん~普通に広げていったら、魔力がゴリゴリ削られていく様な感触があるよ。どうしよう、これじゃそれほど広げられないよ。あ、そうだよ。何も面で展開しなくてもいいんだよ。細い線で蜘蛛の巣みたいに広げれば……うん、使う魔力量も減ったみたい。でも」


 そう、少年が消費する魔力量は劇的に減らすことは出来たが、それでもまだ索敵範囲を広げるには心許ない。


「そうだよ、減るのなら増やせばいいじゃない」と、またいいことを思い付いたとばかりにほくそ笑む。


「じゃあ、モノは試しってことで。『魔素吸引(ドレイン)』と唱えると少年は周囲から魔力の素となる魔素を防御魔法を通じて吸収すると、自分の体内に魔力が増えていくのを実感する。


「よし、これで魔力が尽きることはなくなったハズだから、もっと索敵範囲をひろげてみよう。でもな~なんだか索敵する数が多いのか、どれがゴブリンなのか分からないや。もしかしたら、虫や小動物なんかも拾っているのかな。だとしたら、索敵する対象をゴブリンの大きさくらいにすれば……もしかしたら、ビンゴ! いた! 見つけた!」


 少年は索敵範囲を広げた先で数十体ほどが集まっているのを感知した。


「多分、これで間違いないと思うけど、もしかしたら……モノは試しってことで」


 足下に展開した索敵の結界に対し、ゴブリンだと分かる物には色で感じられる様に調整すると、少年の頭の中に広がった索敵範囲の中に赤い光点とそれ以外の緑色の光点が浮かぶ。


 ゴブリンが赤い光点として、それが青い光点を囲っている様にも見える。


「あれ、これってもしかして……もしかする?」


 少年はなんだかヤバいことが起きているのではと索敵した方向を確かめる。


「あ、その前に片付けないとね」


 少年は散らばった肉片や何かを結界を使い拾い集めると、そのまま結界の中に閉じ込め、焼却した後に穴を掘り、そこに埋める。


「これでよし。じゃ、次はゴブリン退治だ!」


 少年はゴブリンの巣があると思われる方向を見据えると、足下に板状の結界を作ると、少年はその上に座り、自分の防御魔法を透過させてからゆっくりと上昇する。


「じゃあ、行くよ! って、どうやれば……」


 結界を使い、高く上がったはいいが、平行移動する手段までは考えていなかったと、少年は座ったままでどうしたものかと考え、ふと思い付く。


「もしかしたら、行けるかも! ま、モノは試しってことで」


 少年は自分の背中の位置に結界を作ると、背中とは反対の面を開け、風魔法を使用すると少年を乗せたまま結界はゆっくりと動き出す。


「向かい風がキツいんだけど……って、カウルっぽいのを作ればいいか。『結界』」


 少年は自分の正面にカウル状に結界を作成すると満足そうにほくそ笑む。


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