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惑星守護艦隊

火星を発って5ヶ月。

船内の生活も慣れたものでみな自由に過ごしている。

僕や一部の者は輸送船の司令室にいた。

レーダーの見方や兵装の使用方法など少し教えてもらいある程度の操作が出来るようになったからだ。

全部をアンドロイドに任せてもいいらしいが、積まれているのは戦闘用アンドロイドであり船の操作には向いていないらしい。

その為一部の者はヴァインから教え込まれ司令室にいる。


「ライル、レーダーに反応はあるか?」

「いえ、ありません。あるのは宙に浮いているデブリの反応くらいですかね。」

「アスカ、通信網に異常は?」

「ありません。ノイズの1つもないです。」

「アレン隊長、部下の訓練具合はどうだ?」

「問題はない。ただやはりジェットスラスタを使った訓練はなかなか面白いぞ。加速すればすぐ壁にぶち当たる。より繊細な操作が必要になるからな。」

「……そうか。まあ、輸送船を壊さなければいい。」


ここ最近、毎日するやり取りだ。

アレン隊長だけは船内の操作があまり好きではないらしく部下に訓練をつける役割を貰っていた。

ただ数千人に訓練をつけるのは不可能。

その為訓練をつける役割はゼノン副長とガデッサ教官にも与えられていた。


この主力艦には人類火星連合軍の最大戦力が揃っている。

この船が落ちれば勝ち目はなくなる。

ヴァインのプレッシャーは相当のものだろう。


「輸送船イカロス、そちらは問題ないか?」

「ありませんねぇ、というより退屈ですねこの艦長というものは。」

スピーカーからリクリットの退屈そうな声が聞こえてきた。

数日に一度他の船ともこうやってやり取りを交わすのも大事な事らしい。

でないと緊急事態の際、連携が取れなくなるそうだ。


「輸送船アポロン、そちらはどうだ?」

「こちらも問題ありません。ただ1つ気になることが。」

艦長はハイアさんだ。

大人っぽく真面目そうな印象が強い。

しかし気になる事というのはなんだろうか?


「どうした?問題か?」

「問題というほどではありませんが……食料の消費が想定以上でして。それに人員名簿を確認したところどうやら41名多く乗っているみたいなんです。」

「なんだと?乗った時に確認しなかったのか?」

ヴァイン司令の言うことはもっともだ。

特に食料に関しては生死に関わってくる。

乗組員の人員把握は最重要のはずだが。


「その時は人数に問題はなかったと報告を受けていたのですが……。」

「という事は何者かが手引きした可能性もあるな。洗い出せ。万が一の事もある、逐一報告しろ。」

「畏まりました。」

人数が多いのも気になるが一番はその人数だ。

どうも41名という数字が気になる。


「41……我もなんとなく引っかかる数字だな。」

ゼクトもやはり同じ様に気になっているようだ。

人員把握が出来ていないのは完全なるヒューマンエラー。

どうしても避けられないミスではあるが、乗っている人の命に関わることだ。

もう少ししっかりしてほしかった。


「あのハイアがそんなミスをおかすとはな。恐らくあいつの部下が確認を怠ったのだろう。まあここで考えていても仕方ない。続報を待たざるをえんな。」

艦長は3000人の命を預かる身だ。

今頃アポロンでは犯人探しに躍起になっていることだろう。



――シュラーヴリ帝国――

皇帝の元に1人の男が跪き報告を持ってきていた。

地球外通信室からの連絡らしい。

レイナも隣で不安そうな顔をしている。


「今度は何があった。」

「火星との連絡が途絶えました。」

「何だと!?既にバルバトスが到着したはずだが制圧出来なかったのか?」

「分かりません。ただ1つ言えることがあります。戦艦級輸送船バルバトスが地球に戻ってきています。レーダーで確認も取れましたので間違いないかと。」

それが何を意味するのか、皇帝は即座に立ち上がった。

皇帝の焦りが顔に出ていたのかレイナと傍に居たレイナの護衛ルイも動揺する。


「すぐに厳戒態勢を敷け!!惑星守護艦隊にも連絡しろ!それとバルトステア王国にも伝えろ。」

「どういうことでしょうか?そこまでする必要とは?」

報告に来た男は理解できていないのか、頭の中にクエッションマークが浮かんでいる。


「急げ!!事は一刻を争うぞ!!恐れていたことが起きたのだ……戦艦級輸送船バルバトスは彼らの手に落ちたと考えろ。」

「!!そんなバカな?あれには戦闘用アンドロイドが1000体も積まれています。それに指揮官権限がなければ動かすことなど……。」

「良く考えろ、火星にいる指揮官を。ヴァイン・ノクティスは彼らの側についたと見ていい。防衛機構を起動しろ!いつだ?いつ火星を発ったのだ……もう近くまで来ているはずだぞ!」

走って出ていく男の背中を見ていることしか出来ない皇帝はもどかしくなる。

皇帝の考えが正しければ、地球は戦場になる可能性が高い。

惑星守護艦隊を突破出来ればの話だが、ヴァインが相手についた以上、突破してくる可能性が出てきた。

火星を任される程の指揮官だ。

ヴァイン・ノクティスは優秀であり、知略に優れた指揮官である。

そんな男が彼らの側についたということは、勝てる見込みがあるということだ。


「レイナ……お前にとっては喜ぶべき事なのだろうが彼らが我々帝国を許すかどうかは分からん。外出は禁止だ。この城に留まっておけ。」

「お父様、もし彼らが来たのであれば私が話をします。会ったことのないお父様より少なからず交友関係があった私とルイが話をしたほうが効果的です。」

「……分かった。その時は頼もう。」


レイナとルイは少し顔が綻んでいた。

またライルやアスカに会える。

あの時何も言わず姿を消した事が一番後悔していたのだ。

もう一度会って謝りたかった。そして共に戦えるかもしれない事がとても嬉しかった。



ライル達と惑星守護艦隊が接触するまで後数日。

戦端はもうすぐ開かれる。

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