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真実は思っていたより残酷で⑧

「くそ!!!奴め!この基地のコントロールは我が握っているというのに!!!」

僕らは何が起きたか分からず、苛立ちを露わにするゼクトをただ見ていた。


するとゼクトは壁に近づき、体毛を触手のように伸ばして基盤のようなものに触れた。

「聞こえるか!!死神のエイレンが裏切った!!!奴を見つけた者は殺せ!!!」


基地内に響くゼクトの声。

恐らく先ほど壁に触れたのは、基地内全てに音を伝える為に必要な動作だったのだろうと推測する。

そして人間の言葉を使ったのは特殊個体のみに聞かせる為だろう。

他のガルオンらが知れば基地内はパニックになると考えたのか。


「すまんな人の子らよ。すぐにここから出よ、ここにいれば我が居ても危険には変わりない!!」

「ゼクト!お前はどうするんだ!!」

「つまらぬことを聞くなライル。我はアーレス星人の頂点に君臨する特殊個体。我が種族の不始末は我が片を付ける!!往け!!!そして自らの目的を忘れるな!軍司令部にある真実を見つけよ!そして決断するがいい、人間とアーレス星人の共存かどちらかが滅ぶまで戦争かを!」


ゼクトに発破をかけられ僕らは全員ジェットスラスタを起動させ最高速でその場を後にした。


「全員車両に飛び乗れ!!!今すぐここを脱出する!」

「ええ!?隊長何があったんですか?それにBBは?」

「これがBBだ!!!」

ゼノンに投げ渡したのは個人の識別に使うネームタグ。


「これしか持って帰らなかったという事は、BBは、」

「BBは殺された。死神にな。その死神が人間と敵対することを選んだ。だから今すぐここを出る。ゼクトが足止めしてくれるそうだがどこまで持つかは分からん。だから急げ!」

その場に待機していた者達は今のやり取りを聞いて即座に行動へと移した。

車両に乗り込みエンジンを回し、地面に置いていた荷物を全て積み込む。


「まずい!!奴らが来た!!!」

誰かが上を指さしそう言う。

釣られて僕も上を見上げると死神に付いたであろうアーレス星人が襲い掛かってくるところであった。


「くそ!まだ車両に乗り込んでいない者はサウズを起動しろ!準備が整うまで死守せよ!!」

「いーや、その必要はない。」

どこからか聞こえてくる聞き覚えのある声。

声がした方へ顔を向けるとそこには赤鬼が立っていた。


「ガルム!」

「さっさと乗り込んで行っちまえ!俺が暴れる時間だからなぁ!!!」

鉄の棍棒を振りかぶり上から襲ってきたガルオンを殴る。

あまりの威力に殴られたガルオンは弾け飛び跡形もなくなった。


「す、すげぇ……。」

「敵じゃなくて良かった……。」

誰が言ったか分からないが激しく同意する。

ガルムが棍棒を振った瞬間、僕らにまで届く凄まじい風圧が威力を物語っていた。


しかしまだ数体こちらへ向かって来ている。

「リー!あんたは戦えないのか!?」

「む!無理ですよ!!ワタクシは擬態のリクリットですよ!?戦闘はからきしダメなんです!!」

ロウに無理やり戦わさせられかけたリーが車両にしがみついて答える。

僕も戦うべきだとサウズを起動しかけるとまたも聞き覚えのある声が聞こえた。


「安心しなさーい!ウチもいるからさー!?」

その言葉を発したのは、僕らの前に背中を向けてガルオンに立ち向かうニアだった。


「ウチがなんで蒼炎のニアって呼ばれてるか知ってる?こういうことよ雑魚共ぉぉお!!!!」

口から咆哮と共に青い炎が噴き出し向かって来ていたガルオンを消し炭に変える。


「あちい!!」

近づいただけでも熱を感じるほどの熱量だ。

ただ、広範囲に炎がまき散らされたおかげかガルオンは全て消し炭となったようだった。


「どうよ?ウチだってやる時はやるってこと!」

「凄いです!ニアさん!ありがとうございます!」

あれほど化け物化け物言っていた彼女がこれほど頼もしいと思う時が来るとは思わなかった。


「あ、ありがとう!」

「助かったぜ!」

皆も口々に感謝を述べる。

化け物と言っていたのに掌返しが凄いのはみんな一緒だった。


「さあ!早く行って!!」

ニアに促され全員が車両に乗る。


「あ、ライル!アスカちゃんは泣かせたら駄目だよ!」

「は!?なんですかいきなり!!」

「女は男に守ってもらえると嬉しいの!!だから大事にしなよ!」

「あ、ああ。分かりました。」

「それと、ついでにウチも貰ってくれてもいいよ!次来た時返事してね!」

「は!?それはちょっと待ってください!!??」

車両が発進し少し進んだくらいで聞こえてきた最後の言葉は勘弁してほしかった。

僕の隣にいるアスカがじとっとした目つきで見てくるからだ。


「やっぱり、部屋に行った時何かあったのね?」

「ないって!これ!このネックレス貰っただけ!」

「アクセサリーのプレゼント、ね。」

意味深な言い方は辞めてほしい。


「そもそもニアさんはあれだぞ!?下半身が!!」

「でも上半身は女性じゃない。それも綺麗な女性。」

「そういう問題じゃない!!」


緊張感のない逃走劇となってしまったが、なんとか無事にアイオリス山を出れて良かったと思う。

BBさんは残念なことになってしまったが、全員ここに来る際覚悟はしている。

ゼクトのように味方になる者もいるかもしれないが死神のように敵対する者だっているだろうと。


後は、トリカゴで真実を見つけるだけだ。

ただそれだけを考えて今は走り続けた。

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