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真実は思っていたより残酷で⑥

ライルは一度扉の前で深呼吸する。


「ニアさんは少し離れていて下さい。僕がいいって言うまで動かないで下さいね。」

「ん?いいよ~。」


流石にいきなりニアさんが顔を覗かせればパニックになるのは必至。

なので少しだけ僕から離れてもらう。


扉の横にあるボタンを押すと、カメラがライルを認識する。

すると扉は自動で開く仕組みだ。

扉が開くと中にいた仲間は全員扉へと目を向けた。


「ただいま戻りました。」

「ライルか、遅かったな。ゼノンは居たか?」

「あーはい。いました。」

「ん?一緒にアスカも行っただろ、どうした。」

「それがですね、実は出先でちょっと仲良くなった方がおりまして、紹介できたらなぁと。」


紹介という体でニアさんに顔を出してもらうつもりだ。

どっきりさせたくてなんてバレたら、アレン隊長に殺されてしまう。


「紹介?何があった。」

「えっと、ニアさんです。どうぞ。」

僕が手招きすると、ひょっこり顔を覗かせた。

すると、当たり前の如く悲鳴が上がる。


「う、うわぁぁぁぁ化け物ぉぉ!!」

「む!虫だぁああ!」

「ライルー!!逃げろぉぉ!」


その悲鳴を聞いてニアさんは少しムッとした顔つきになる。


「ちょっとちょっと~レディに失礼じゃなぁい?」

「ラ、ライル……そいつはなんだ……。」

なんとか平静を保つアレンはライルに問いかける。


「この方はニアさんと言います。ちょっといたずら好きの女性です。さっきそこで会いましてアスカとゼノン副長が驚いて気絶したので運んでくれたんです。」

「そ、そうか……ニア……感謝する。」

アレンは何とも言えない顔つきで感謝を述べる。


「いいよぉ気にしなくて。まあウチが驚かせちゃったのが悪いしね!」

ケラケラ笑うニアを不気味なものでも見るかのように殲滅隊の者達は顔が引き攣っていた。


アスカとゼノン副長を静かに床へ寝かせた後帰るのかと思いきや、その場でじっとしたまま殲滅隊の者達を見渡していた。

何をしているのかとライルは問いかける。


「ニアさん、戻らなくていいんですか?」

「んー?いやぁなかなか人間を見る機会もないからさ~今のうちに見ておこうと思って。」

「そ、そうですか……。」

みんな異形の生物に見られているせいで落ち着きがない。

皆、用事がないならさっさと部屋から出てってくれとでも言わんばかりの顔をしている。


「あ、ライル。なんか今から用事あったりする?」

「いえ、ないですけど。」

「良かった良かった!じゃあウチの部屋に行こうか!!」

「えええ!?」

「ちょっと見せたい物があるんだよね~、過去に一度だけウチも人間との戦闘に参加しててさ、その時に落とし物を拾ったんだけどね、それをライルに見せたくて。」

なんだ、そういう事か。

てっきり捕食されるのかと思ってドキッとさせられた。


「なになに~?もしかしてウチに食べられるとか思ったりした!?やだなぁウチはそんなに手が早くないよぉ~。」

「いえ、まあ、その、はい。」

「エッチなやつめ!!!」

なんかニアさんと僕の考えている事がすれ違っているように思えるが気にしないでおこう。


「ライル……お前、守備範囲広いんだな……。」

「どういう意味ですか?BBさん。」

「いや、すげぇよお前。てかアスカはいいのか?」

「アスカがいいとは?」

「まあお前がいいならいいけどよ。知らねぇぞ起きてブチギレられても。」

「ちょっとニアさんに着いていくだけですよ、その程度で怒ったりはしないと思いますよ。」

BBさんとも話が嚙み合わない気がするが、とにかく今はニアさんの見せたい物が早く見たい。



部屋を出たニアとライルは肩を並べて廊下を歩く。

全ての物がアーレス星人仕様になっている為廊下も非常に長い。

ずっとニアはライルに話し掛けており、ニアは話すことが好きなようだった。

好きな食べ物や得意な事とか色々聞かれ、その度にライルが答える、ずっとその調子だった。


「さ、着いたよ。ここがウチの部屋!」

ニアさんに手を引っ張られ、中に入るととても女の子らしい部屋だった。

ピンクの装飾が施されたベットやぬいぐるみらしき物もある。

これだけ見ると人間の女性とほとんど変わらない部屋だった。


「へー結構綺麗にしてるんですね。」

「でしょー?綺麗好きだからねウチは。ちょっとその辺座っててよ、持ってくるから。」

ニアさんに促されベット周辺の床に座り込む。

しばらくすると別室にある物を取りに行っていたニアさんが戻ってきて僕の前に一つの箱を置いた。


「この箱の中に入っている物が見せたかった物。」

中に入っていたのは青い宝石をあしらったネックレスだった。


「あの、これはアクセサリーですよね?」

「そう。これがね、いつだったかなぁ確か100年くらい前かな?人間との戦いから一度帰還しようとした時にね拾ったやつ。凄い綺麗だったから持って帰ってきたんだけどね、ウチが持ってても仕方ないからライルにあげる!」

「え、いいんですか?せっかくニアさんが拾ったのに。」

「まあどのみち落とし物だしね。戦場で拾った物だから既に所有者は死んでると思うけど。それに100年も前の話だし。」

手に取ると100年前の物とは思えないほど綺麗だった。

チェーンの部分は所々錆が付いていたが、宝石部分はニアさんが磨いたであろう輝きが未だに健在だった。


「人間の物だし、ライルにあげるよ。お近づきの印ってことで!でももしそのネックレスの所有者と関わりある人が現れたその人に渡してあげて。」

「分かりました。じゃあその間僕が持っておきますね。ありがとうございます。」

ライルはそのネックレスを自分の首にかける。

意外としっくりきたようで、着けていても違和感は感じなかった。


「じゃあね!また明日!!!」

「おやすみなさいニアさん。」


その後部屋に戻るとアスカが目を覚ましており小一時間ほどニアさんの部屋で何をしていたか問い詰められる事となったのは言うまでもない。

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