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真実は思っていたより残酷で③

「リクリット、どうだ。軍司令部の情報は集められたか?」

「そうですね、結論から言いますとほぼ手に入れられませんでした。というのも軍司令部の本部は直属の部下以外入れない場所が多すぎて情報は仕入れれませんでしたね。ただ、目的の本は恐らく司令官の私室にあると思われます。」

「リーさ、いやリクリットさん。何故私室にあるって分かったんですか?」

どうしてもリーさんと呼んでしまいそうになり言い直す。


「それはですねぇ、ああこれは言ってもいいのですかねアレの事は。」

「まあそれくらいはヒントとしてくれてやってもいい。」

ゼクトに何らかの確認を取ったリクリットは話の続きを始めた。


「司令官の私室にはアンドロイドと呼ばれる自衛ロボットが配置されているんです。ああロボットと言っても分かりませんよね。ロボットというのは自律可能なAIと呼ばれる人工知能が搭載されている機械人形の事です。もちろん製作者が命令を入力していればその命令に従い行動します。要は人間のように動く感情を持たない殺戮マシーンというやつですよ。それが配置されている以上、何か大事な物があると言っているようなものです。」


初めて聞いたアンドロイドという言葉。

自律型ロボットなんて、どういうカラクリで動いているのだろうか。


「あまり考え込まない方がいいですよ。今の貴方方が理解するにはとてもじゃありませんが時間が足りませんから。とにかく、もし軍司令部と戦闘になるのであればその殺戮マシーンが出張ってくると思って下さい。強さは人間の比ではありませんよ、何しろ痛みも感じないのですから。」

アーレス星人より化け物じみている兵器だなと誰もが思った事だろう。


「ワタクシからお伝えできる情報はこれだけです。後はご自身の目で、耳で、真実を知ってください。健闘を祈りますよ。」

「リクリット、何やらお前はここに残るような口ぶりだが、まだ帰らせんぞ。引き続き彼らと共に行動しろ。」


10年という長い任務が終わりやっと帰って来れたと安堵していたリクリットにゼクトはそのような事を伝える。

顔はのっぺりしているせいで表情が分からないが、なんとなく絶望した顔をしているように思える。


「ええ!?そ、そんなぁ……ワタクシやっとここに帰って来れたと思ったらまた行くのですか?」

「お前の知識なくては恐らくこの者達だけでは軍司令部と事を構えるなど厳しいじゃろうて。悪いがもう少し付き合ってやってくれんかの?」

「グ、グラン爺まで……はあ、分かりましたよ。ワタクシが彼らに着いていきますよ。ただし次帰って来た時は長い休暇を下さいよ……。」

「悪いなリクリット。」

なんだかゼクト達のやり取りを見ているとこっちまで申し訳なくなった。

一応再度リクリットと握手を交わしこれからの協力関係に感謝しておいた。


「そういえば今更だけど、なんでゼクト達は僕らの言葉を使っているんだ?」

今更ながら気づいた。

最初から今までずっと、僕らと同じ言語を使ってやり取りしている。

それもアーレス星人同士で。


「む、それは敵に勝つには敵をよく知る事、という言葉があるだろう。その言葉通り人間の思考、動きを学ぶ為こうして人間の言語を使って意思疎通しているのだ。まあ我らのような特殊個体にしか扱えんがな。ガルオン、ああ特殊個体以外で尚且つアーレス星人の兵士はガルオンと呼ぶ、覚えておけ。」

ガルオン、確かゼクトと二度目に出会った墓場がガルオンの墓だと言っていたな。

それより別にもう僕らは敵対するつもりなんてないんだから、辞めればいいのにと思ってしまった。


「もう人間の言語を使う必要はないと、そう思ったな?我もそう思うがもう数百年もずっと使っていればこちらの方が便利なのでな。慣れというやつだ。」

僕らの考えは顔に出ていたらしくゼクトから補足を貰った。


「もう夜も遅い。今日はここに滞在するといい。食糧などは持ってきているのだろう?ただし、我やグラン、リクリットのように誰もが好意的だとは思うなよ。この部屋には限られた者以外は入れないようにしているが、ここを出れば魔窟だと思え。一応監視はしておいてやるが何かあっても自己責任だ。」

「まあほとんどの者は下手な事はせんだろう。ただ死神のエイレンだけは気を付けよ、骸骨の顔で黒いローブを羽織っておる。すぐにわかるであろ。」

「後、何があろうと武器は使うな。使えば殺し合いが始まると思え。死神のエイレンに関しては使ってもよいが戦うのはおススメしない。戦闘能力は我とほぼ同等だと知れ。」


部屋からでたら死神と出会うかもなんて聞けば誰も出たいと思わない。

ゼクトらは味方と分かったが、やはりついこないだまで殺し合っていた間柄。

敵地で夜を過ごすと考えると、ここはゼクトに従っておいた方がよさそうだ。


ゼクトとグランが部屋を出ていき、僕らだけとなった。

リクリットはまたリーの姿に戻っていた。


「アレン隊長、これからどうします?」

「ゼノン、勝手なことはするなよ?」

「やだなぁ僕をなんだと思ってるんですか、じゃあちょっと一服行ってきまーす。」

言われたそばから勝手な行動をしてアレン隊長は青筋を立てていた。


「おい!部屋から出るのは危険だとさっきゼクトが言ってただろうが。」

「大丈夫ですよ、なんかあったら速攻ここに戻ってきますから。」

そう言ってゼノンは部屋から出て行ってしまった。


「毎度ながら勝手に行動しやがって……、おいライル。お前があいつを引きずってこい。」

「ええ!?僕がですか!?」

「隊長命令だ行ってこい。」

なんて横暴な、と思ったがいつもながらアスカが着いてくるようなので助かった。

流石にあれだけゼクトに言われていれば一人でゼノン副長を探しに行くなんて心細かったからだ。


「行こうライル。」

「ああ、なんかあったらすぐに戻ってこよう。」

部屋を出たアスカとライルをみな目線で見送っていただけだった。

やはり誰も部屋から出たいとは思わないらしい。


ただ、この後フラグ回収というのを体験させられるなんて思わなかったが。

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