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アイオリス山脈⑧

「アレだ……アレが僕に大怪我を負わせた張本人だよ!!!!」


オルザの叫びに一同は構えをとる。

確かに人の形をしているがどこか人間味のない兵士だ。

それに防具を着けているのか、鉄製と思われる全身鎧のような恰好をしている。


「アレはボクが手も足も出ずやられたんだ。2人は先に行って!!」

「馬鹿言うなよオルザ。俺らだってお前ほどじゃないが割りと優秀なんだぜ?」

「そうだよ!リコだって戦えるんだから!!」

「違うんだよ、兵器庫で良いものを見つけておいたんだ。ソレを使う!!」


オルザが人間モドキに投げた白い爆弾らしき物は、コロコロ転がり地面に落ちた。


「早く外に!!起爆する!」

オルザの叫び声に被せて雷が落ちたかのような音がする。

白い物から電気が発せられそれに触れた倉庫内の物は燃え、人間モドキは痙攣しその場に崩れ落ちた。


「な、何投げたんだよ!オルザ!」

「わ、分からないけどあれが入ってた箱には電磁パルス爆弾って書いてたよ。」

電気を発する爆弾など聞いたことも見たこともない。

これも新兵器だというのだろうか。


こうして3人は無事に外へと脱出した。


「ハァハァ……最後のやつ強烈だったな……。」

「そ、そうだね。実はここにもう一個あるんだけどね。」

そう言ってオルザはポケットから先程電気を発した白い爆弾を出した。


「おいおい、やるなオルザ!!」

「こ、これくらい貰ってもいいでしょ、苦労させられたんだから。」

「そうだよ!リコもこれ持ってきたし!」

リコは服の下に隠していた箱を出す。 


「おお!ナノマシンだな!しかも2つパクってきたのかよ!!」

「へっへーん、これは絶対使えると思って持ってきちゃった。」

リコはどうだ見たかと言わんばかりに胸をはる。


「ない胸はっても意味ねぇよリコ。」

「何ぃ!!!うるさいうるさい!!いずれナイスバディになるんだから黙ってろ!」

兄妹喧嘩が出来るほどに、余裕が出てきたようだった。


「ま、そういう俺もこれ、持ってきてやったぜ。」

リッツはそう言うとポケットから筒状の何かを取り出した。

「見てろ。」

筒状の物を握り小さいスイッチを押すと、青白い光が出現しレイピアのように細い刃を形成する。

振るとブォンと、鉄の剣ではない電気を着けた瞬間のような音がする。


「これはプラズマセイバーって書いてたぜ。多分近接武器だろ。ほら。」

近くにあった木箱に青白い部分を当てると箱は真っ二つになってしまった。

断面は焼き切れている。


「か、かっこいいいい!!アニキそれリコ欲しい!」

「駄目だぞ!俺が見つけたんだからな!」

「えーリコナノマシンだけじゃん!これじゃあ衛生兵だよ……。」

何のやり取りをしているのだとオルザは呆れるが、このやり取りを見ることが出来て良かったとホッとする。


「とにかくここに居ては見つかる。何処か隠れれる場所はないかな?」

「それならいい所があるぜ!」

リッツに連れられて来た所は八百屋だった。


「あの、リッツ君、ここは?」

「ここのおじさんは昔から世話焼いてくれるいい人なんだよ。とりあえず匿ってくれって言えば何としてくれるさ。」


八百屋の裏口にあるドアをノックする。

するとガタイのいい親父さんが出て来た。


「なんだ?ガキども。ってリッツとリコじゃねえか!何してんだこんなとこで!今討伐隊が拘束……!」

「声が大きいよおじさん!早く家に入れて!」

「お、おおう、そっちのやつもか?」

「そう!早く早く!見つかっちゃう!」


おじさんと呼ばれた人は納得していない顔を見せるがリコの圧に押されて家に入れてくれた。


「んで、何があったんだ。そもそも討伐隊が拘束されたって街じゃ噂になってるぞ。」

「一から話すけどこれは嘘じゃないからね。」

リコは親父さんにテッド大隊長の事、軍司令部に潜り込んでいた事、そして今追われている事を説明する。

軍司令部の事は言わないほうが良いのではないかとオルザは思ったがとりあえずリコに任せることにした。


「軍司令部が裏切り?テッドが監禁状態?一体何が起きてるんだ……。」

あまり理解できていないのか困惑する親父さん。


「それで、匿ってほしいと?」

「そう!お願いできる?」

親父さんは腕を組み難しい顔をする。

やはり匿うのはリスクが伴う。

仕方ない、断られたらまた別の場所に隠れるしかないかとオルザは残念な気持ちになる。


「もう隠している場合じゃねぇな。いいかお前ら、ここで聞いた話は他言するんじゃねぇぞ。」

「どしたのおじさん。」

「俺の名前はガロン・バルムンク。元遊撃隊の副長だ。」

「ええ!?どゆことおじさん!」

「ちょっと待ってくれよ、ガロンってあの英雄と共に戦った人だろ!?」


リッツもリコも理解できないのか各々質問をぶつける。

オルザも意味が分からず頭には?が浮かんでいる。


「良く見ろ、この腕。サウズが着いてるだろ。」

「これって昔の大怪我の跡を隠す為じゃなかったの?」

「ああ、俺は一応軍を抜けたからな。このサウズを着けたままな。だから隠していたんだ。続きを話すぞ、俺はライルとアスカと話した、聞けばあの黒狼のゼクトとやらと対話しに奴らの拠点に足を運ぶって言うじゃねぇか。だから俺はあいつらが帰ってくるまでここは任せろと伝えて送り出した。」

「黒狼のゼクトのことも知ってんのかよ!」

「当たり前だ、そもそも一番最初に黒狼のゼクトの情報を持ち帰ったのはこの俺だぞ。」

もはや絶句しかない。

こんな身近にそんな秘密を抱えた重要人物が隠れているなんて思いもしなかった3人。


「それで黒狼のゼクトは人類の罪、という言葉を残している。それが軍司令部の秘密に繋がるってわけだろ?クソが、軍司令部は何かを知っていたってことかよ……。」

「はい、それでボクは司令官の私室で見たんです。」

「あん?そういえばお前は何者だ?」

「あ、すみません。ボ、ボクはオルザ・ル・ルイン、殲滅隊第三班です。テッド大隊長から軍司令部の調査を頼まれて潜入していました。」

「ほう、それで?」

「司令官の私室で見たもの、それは1つの資料でした。」

これはリッツとリコにもまだ話していない内容だった。


「司令官の私室にあった資料にこう書かれていました。地球との交信記録、と。」

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