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第二章 トリカゴの外で

第二章に突入です!!!さあまた毎日投稿がんばろー!

宇宙暦807年。


前哨基地を奪取してから、1ヶ月が経った。


今は前哨基地まで続く、安全に移動する為のルートを作っている。

僕らはその工事が終わるまで護衛として付き従っていた。


「ライル、あそこ。近づいてきている。」

アスカが指さす方向に目をやると侵略者が一体こちらに向かって来ていた。

「そうだな、ここまで近づかれると怪我人が出る。僕が行ってくる。」

「私も行くわ。」

「馬鹿かよ、殲滅隊から2人も抜ける訳に行かないだろ。」

「前に言ったでしょ、貴方とずっと一緒にいるって。」

「駄目だ駄目だ、もし2人が抜けたタイミングで他の侵略者が近づいたらどうするんだよ。」

「アリアとレイスがいるから大丈夫。」


前よりも更に積極的になっているのか、常に僕から離れようとしない。

何処に行くにも着いてくるのだ。

そろそろ1人で行動できるようになってほしいが、天才気質で近寄りがたかったせいか友達もいないようだし。


「ああ、構わないよ、私とレイスがいるしそれに討伐隊からも数名配置されてるからね。」

「アリアー、そうやって甘やかすと駄目なんだよアスカは。そろそろ独り立ちさせないと。」

「独り立ち?君は相変わらずだな。反応速度は人外じみてるのにそういう所は人より劣っているように思えるが。」

「何のことだ?」

「分からないなら私からは何も言うまい。レイスですら分かっているというのに……。まあ頑張りたまえアスカ嬢。」


アリアの言っていた意味は分からなかったが、とりあえずアスカと2人で討伐することとなった。


今では1人で侵略者を討伐できるようになったが、今日のようにいつもアスカが着いてくる。

僕以外にも親しい人を作って欲しい所だが、リコ以外に仲良さげな人がいないように思える。


「アスカ、そろそろコミュニケーション能力というものをだな、」

「ライル、黙りなさい。」

目が笑っていなかったので、これ以上は何も言えなかった。


「コミュニュケーション能力というのなら、オルザはどうなるのよ。」

「あーオルザかぁ……。」

オルザは相も変わらず静かだ。

基本あまり喋らない。

無口すぎて先輩方も対応に困るほどだ。

僕とはそれなりに喋れるのに他の人となるとダンマリだ。


「お喋りはここまでにしましょう。接敵するわ。」

「了解、じゃあちゃちゃっとやるか。」


慣れたものだ。

2人がかりであれば、1分もかからず討伐する。

これでも殲滅隊に所属しているだけあって、実力は討伐隊隊長クラスに負けず劣らずだ。


今ではザラさんにも勝利し、ロウさんと互角といった具合だ。

4つのサウズを使った戦い方も慣れた。

そうなれば4つもサウズを着けたものが負けるわけがない。

ロウさんに関しては人間兵器である為、なかなか勝ちを譲ってくれない。


ちなみにアスカには1度も勝ててはいない。

天才とはこうあるべきだ、を体現している。

戦闘技術を磨き、いくら手を変えてもそれに対応する動きを見せつけてくれる。

僕にとってはいい目標になってはいるが。


護衛が終わり、兵舎へと戻り飯と風呂を済ませて寝る。

その毎日だ。

しかしその日は違った。


「ライル、俺の部屋に来い。」

「え?分かりました。」

夕食の際、珍しくアレン隊長の部屋に呼ばれる事となった。

「ライル、何かしたのかい?」

「呼ばれただけで何かしたなんて言うなよアリア。そんな事言われたら何もしてなくても不安になるだろ。」

「うーむ、しかし兄上が部屋に誰かを呼ぶことなんて滅多にないのだが。」

「どうせ、サウズの事についてとかだろ。」

レイスの言う通り、その事で何か聞きたいことでもあるのだと思う。

ゼノン副長を除けば4つサウズを着けた者は僕しかいないのだから。


「アスカ、流石に着いてくるなよ。」

「それくらい私も分かっているわ。呼ばれていないのに上官の部屋に入る訳にいかないでしょう。」

珍しくまともな事を言うアスカに驚いたが、一般的な常識は持ち合わせているようだ。



「ライルです。」

「構わん、入れ。」

隊長室の前でノックすると間髪入れずに返答が帰ってきた。

中に入ると執務机に向かったアレン隊長とその横にゼノン副長がいた。


「何故僕が呼ばれたのでしょうか?」

隊長と副長は目を合わせ、頷いた後返答した。


「お前はレインとルナが行方不明になった事を知っているな?」

「はい、あの作戦後に行方が分からなくなったと聞いています。」

「レインとルナはお前の訓練時代の同期だ。間違いないな?」

「はいそうです。」

「レインは男でルナは女。これも合っているな?」

「はい。」

何を当たり前の事を聞いているのだろうか。

確かに甲高い声だったレインだが、男で間違いはないだろう。


「なら、レインの出自は知っているか?」

「いえ、そこまで踏み込んだ話はしたことがありませんでした。」

また隊長と副長は一度目配せを行いこちらに振り向く。


「レインとルナの行方不明事件の件はこちらでも調べていた。ただ2つ不可解な事がわかった。」

「不可解な事、ですか。」

「ガデッサ教官は覚えているだろう。彼にも調べてもらった結果だが、レインは性別を偽って入隊していた。」

「は?」

性別を偽る?どういうことだ、偽る理由も分からないし女だったようには思えなかったが。


「それだけなら別に構わん。たまにいるからな、女だとか弱いと思われるのを嫌ってわざと男と偽り入隊するものが。」

「しかしアスカも女性ですが、僕より強いです。」

「あれは別だ。天才に性別など関係ない。」

アスカ、お前隊長にそんな風に思われてたのか。

よく僕の事を人外だとか言うけど、アスカだって隊長に人外と思われてるじゃないか。


「もう1つが問題だ。確かにガデッサ教官はレインとルナを覚えていた。これは間違えようがない。」

「そんなに年数経ってる訳ではありませんからね。」

「俺は軍司令部に問い合わせた。返答はこうだ。レイン・クリストファーとルナ・ジーンの入隊記録及びトリカゴ内での住人記録にいない。そんな人物は存在しない、何かの間違いではないか?だ。」

「どういうことですか?」


「お前にも分かりやすく言ってやろう。レインとルナは本来このトリカゴ内には存在するはずのない人間だ。」

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