第一章 エピローグ
宇宙暦807年某日。
人類は初めてトリカゴの外に領土を手にした。
生活圏が増えたとはまだ言い難いが、前哨基地を手に入れたことは勝利と言っても過言ではないだろう。
もちろん、まだ平和は訪れた訳ではない。
未だに侵略者はこの星に存在している。
もうひとつ喜ばしい事があった。
前哨基地奪取の際、特殊個体を討伐できたことだ。
特殊個体との戦闘に相打ちではない勝利を手にしたこと、これも人類史上初であった。
前哨基地には駐留部隊として一部の討伐隊と殲滅隊の第三班、機工隊の一部が残ることとなった。
物資を安全に運ぶ方法を模索するのはこれからの課題となるだろう。
リオン副班長の戦死により、殲滅隊第一班の副班長はザラさんが担う事となった。
実力で言えばロウさんだが、あの全力戦闘を行うとしばらく身動き出来なくなってしまうらしい。
実際、あの後は後方に避難し匿われる事となっていた。
僕はザラさんが適任だと思う。
気配りができ実力も問題ないのだから。
ライルきゅんと呼ぶのは恥ずかしいから辞めてほしいが。
前哨基地にあった5基の砲台は機工隊が運用することとなるらしい。
人類にはなかった技術で作られたソレを、理解するには時間がかかるそうだ。
トリカゴに囚われていた僕らに未来が出来た。
今まではただ一時の平和を享受するのみであったが、これからは更に領土拡大と侵略者根絶を目指して生きていく未来がある。
ただ、僕にはまだやることが残っている。
黒狼のゼクトは前哨基地に一度も顔を見せなかった。
あれだけの攻勢で尚且つ特殊個体が討伐されたというのに、出てくる気配もなかった。
いつかアスカに聞いた人類の罪とやらを知る時が来るのだろうか。
その時がこれば、僕は何を成すのだろうか。
そういえば、一つだけおかしなことがあった。
レインとルナが行方不明となってしまったらしい。
戦闘に参加はしていたが、トリカゴに戻ってからは連絡もつかず何処に行ったのかも分からない、との事だ。
心配にはなるが、彼らも1人の兵士として訓練を積んだ者たちだ。
多少の事なら上手くやってみせるだろう。
ふとした時にひょっこり現れるかもしれない。
だから彼らの事も忘れないように、この日記に書き残しておくことにする。
いつの日か、永遠の平和が訪れることを願って。
著者:ライル・カーバイツ
どうもプリン伯爵です。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
これにて第一章は終わりとなり物語もひと段落つきましたが
また新たな物語へと続いていきます。
次は第二章でお会いしましょう。
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