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新たな人生⑤

討伐隊は先の黒き災害の襲撃により、数を減らした。

隊の再編が行われ、第二、第三小隊がそのまま順位が上がった。

生き残った第一小隊の者2人は第一小隊にそのまま残ることとなり、元第二、第三小隊に組み込まれることとなった。

ガリアとミアを失った穴を埋めるには、未だ戦力不足と言わざるを得ない状況であった。


レイン、ルナは第十小隊へ、グラストン兄妹は第九小隊へと再編された。


機工隊は変わり映えなく、ジェイドは第五小隊のままであった。


「リコ!先走るな!」

「す、すみませんんんん!」

「リッツ!もっと協調性を持て!そんなんじゃ仲間を見殺しにするぞ!」

「はい!すみません!」


手練れが大量に戦死し、新兵の強化訓練はあまり順調とは言えなかった。

グラストン兄妹も優秀ではあるが、実戦をほぼ経験していない新兵には変わらず戦力に加えるにはまだ物足りない。


「今日の訓練はここまでだ、リッツ、リコお前達は直さないといけない部分が多い。」

「はい!」

「お前達の優秀さはわかってるんだがな、ただチームとしての戦い方はなっちゃいない。」

「ですよね……気を付けます。」

 

リッツとリコは優秀だ。

戦闘時に限ってはだが。

事、協調性に関しては2人共が先走る傾向にある。

故にチーム戦としての戦い方がなっていないのであった。

「くっそー、訓練兵隊のときはめちゃめちゃ優秀って言われてたのよー」

「リコだってそうだよ!」

「チーム戦って正直難しいんだよなぁ」

「レインとルナも苦労してるのかなー」




一方第十小隊では。

「今期の新兵は優秀な者が多いって聞いてたけど確かに、優秀だ。でもあのレインって奴体力なさすぎじゃないか?」

「男であんなに細い体つきなのも珍しいよ。」

やはりレインの体力のなさが浮き彫りとなり小隊の戦力に成り得るにはまだ遠い状態であった。


「レイン、大丈夫?」

「はぁはぁ、え?何?」

「くそ!姫様をこんな扱い……許されないです。」

「だめだよルナ。僕らの出自はバレる訳にいかない。」

「本当の事が分かれば、彼らも黙っていないでしょうが……。」

「だめだめ。ボクらが何者かバレれば確実に軟禁されちゃうよ。」

「まあやっと兵士になるところまで来ましたし、確実に目標には近づいていますね。」

「そうだよ。ボクらは何としても情報を持ち帰らなければならないんだから。あ、そろそろ隊の人たちが戻ってくるよ。」

「そうね、今は訓練に集中しましょう。」

この世界は歪な平和の上に成り立っている。

それを理解しているのは一部の人間のみ。

いつか来るだろう、全ての者に知れ渡る時が。

もしその時が来れば、世界はどうなってしまうのだろうか。





宇宙暦807年某日。


「これより!三隊合同領土奪還作戦を実行する!!!」

僕らの前に立つのは、各隊の最高責任者だ。

殲滅隊隊長、アレン・シスクード。

討伐隊大隊長、テッド・プライム。

機工隊隊長、ビリー・ガーランド。

討伐隊は数が多く、最上位となると大隊長の肩書きになるようだ。

僕は初めて顔を見たが。

まあ討伐隊は全部で二十小隊ある。

その全てを束ねる方となるとおいそれと表舞台には出てこないだろう。


しかしついにこの時がやってきた。

僕らの念願であった外への任務。

実に長かった気がする。

その分実力は身に着いたと思う。


「今回の作戦を説明する!!まず一番の目標となるのが前哨基地の確保だ。殲滅隊が先陣を切り障害を排除する。その後ろを機工隊が追い安全が確保された段階で前哨基地を築き上げる。討伐隊は殲滅隊が狩り残した侵略者の排除及び周囲警戒が主となる。詳しい指示は各隊の責任者から聞け。今より1時間後出立となる!」


今まで一度たりとも成功しなかった領土拡張。

なぜこんな作戦を実行するに至ったのか、経緯について知っておいたほうがいいだろう。


話は今より半年前に遡る。



宇宙暦806年某日。

「ライルきゅん、そういえば聞いた~?」

いつも通り訓練が終わり、一息着いていたところにザラさんから呼びかけられた。

「何がですか?」

「それがさぁ、あ、でもその前にライルきゅんは隠密特殊部隊って知ってる?」

聞いたことがないし、何をする部隊なのかもわからないな。

「いえ、初耳です。」

「アタシもそんなに知ってるわけじゃないんだけどさぁ、軍司令部直属の隠密部隊があるらしいんだよ。少数精鋭だそうでね、任務は外の状況をより知りその情報を持ち帰る事って話よ~?」

「そんな部隊が存在するんですか?」

「あくまで噂だけどね。その隠密部隊が何を持ち帰ったと思う?ここから約100キロ程離れたところに侵略者の拠点が見つかったらしいのよ~!!軍司令部はそれを聞いて今すっごいバタバタしてるみたいよ?」

「侵略者の拠点……」

「そうそう、本拠地ではないみたいだけど、人間でいうところの前哨基地じゃないかって話ね。もしかすると近いうちに大規模な作戦があるかもよ~。」

それは願ってもみないことだった。

僕は元々外に出て黒狼のゼクトと戦い対話することが目的だった。

それが近いうちに叶うかもしれない。


「ま、安心しなよ。ライルきゅんはアタシが守ってあげるからさ!」

「流石に守られてばかりは恥ずかしいですよ!」

「いいじゃんいいじゃん!少なくともまだアタシより弱いんだしさ~。」

ザラさんのいう事は最もだ。

経験の差なのか、僕はなかなか勝利を得ることが出来ないでいた。


ザラさんも何処かへ行き、一人で考え込んでいるとアスカが近寄ってきた。

「あの女と何話してたの?」

「あの女って……いやそれがさ。」

先ほどの話をアスカにも聞かせてやった。


「前哨基地……確かにその距離にあるのならたまに襲撃してくる頻度から考えてあり得る話ね。」

「僕らも近々外に出ることになりそうだな。」

「そうね、もしも黒狼のゼクトが現れたら、今度は冷静に対処して。殺したいほど憎い相手だけど、知りたいことも沢山あるから。」

「ああ、もちろんそうする。今度は無駄に挑んだりはしない。戦うならみんなと一緒に戦うよ。」

「それがいいわね。あれは1人で戦う相手じゃないわ。」

「とりあえずザラさんが知ってたくらいだし、明日隊長から何か話はありそうだ。」


隠密特殊部隊。

名前からしてほとんど情報が流れることがなさそうだが、長く軍にいれば何をしていてどんな部隊が存在するのか分かってくるのだろうか。

いつも外の情報が入ってくる事に疑問は持っていたが、そんな部隊が存在するのなら納得できた。


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