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輸送船アポロン①

「生きていたのか!?」

誰もが同じ感想を抱いた。

生還は絶望的と思われていたのが、このタイミングで現れた。

誰が動かしているのか。

少なくともハイア艦長は味方に誤射するような人ではない。

死神か、とも思われたが操縦出来るとは思えない。

しかし、ゆっくり考える時間は与えられなかった。

アポロンの主砲が再度光りだしたからだ。


「全員退避しろ!!帝国領まで下がれ!!!」

アレン隊長が叫ぶと各々一目散にその場を後にする。


距離を取ったからかアポロンは周囲を攻撃し始めた。

目的が分からない。

ただ王国は壊滅するだろう。

王を失い、城も失ったとなれば国が傾くレベルだ。

そこに加えてアポロンが暴れるとなればもはや国が生き残れる術はない。


「全軍退却せよ!!!!帝国領へと帰還!!!王国の人間も女子供は可能な限り帝国へ連れて帰れ!!避難させるんだ!!!」

帝国軍の士官が叫ぶ。

王国の一般人からすれば何が起きているかも皆目見当つかないことだろう。

故に逃げまどいパニックになっていた。

僕らも車両へと逃げ込んだが空いてる車両には可能な限り避難民を乗せた。

全部は助けれらないのが悔しいが、そもそも今は戦時中だ。

敵国の民を助ける事も本来であれば許される事ではないが、今はイレギュラーが起きてしまった。



逃げる道中も何度か後ろを振り返ったが、王国は火の海に変わっていた。

アポロンの主砲が何度も王国の大地を焦がし、更地に変えていく。

僕らはただ見ている事しか出来なかった。



帝国領に帰った僕らは主要なメンバーのみかき集められ緊急会議が開かれた。

議題はもちろん輸送船アポロンについてだった。

行方知らずだったアポロンが急に姿を現した事もそうだが、僕らにまで攻撃してきた。

中で操縦している者は確実に敵である。


「ヴァイン、アポロンとは連絡が付かないのか?」

アレン隊長は未だ返り血を浴びたままの姿でヴァインに詰め寄った。

血を拭う余裕すらなかった事が戦場での凄惨さを物語っていた。


「残念ながら繋がらん。何度もトライしているが……恐らく通信設備を破壊しているのだろう。そもそもハイアが生きているのかすら分からん状況だ。」

ハイア艦長は裏切るような人ではない。

だが乗組員の命を天秤にかけられれば死神に従う事もありえる。

あの人は真面目な人だ。

自分の選択で助かる命があると知れば選ぶことだろう。


「あの船にはウィードがいる。アイツが遅れを取るとは思えないが……。」

アレン隊長は討伐隊第一小隊長であるウィードさんの強さを知っている。

殲滅隊と互角に戦えると言われているような人だ。

そんな人が死神に負けるとは思えないらしい。


「いや、アレン。死神のエイレンを甘く見すぎだ。奴の強さは我やガルムに匹敵するぞ?一対一で我やガルムと戦って勝てるか?」

ゼクトも会議に参加しておりやっと口を開いた。

アレン隊長がウィードさんの強さを良く知っているようにゼクトは死神の強さを良く知っていた。


「……そう言われると厳しいかもしれんな。流石にお前達のような化け物と対等に戦える者は俺くらいだろう。」

「ククク、我はお前に負けるつもりはないがな。」

「待ちたまえ、今はアポロンの話だ。誰が強いかなど後にしたまえ。」

何やら話が脱線しかけたが皇帝が2人を止めた。

みな殺気立っているのか誰もが好戦的な目をしている。


「そもそもあのアポロンにはあれ程の火力を持った主砲など付いてはいない。何者かが新しく取り付けたのだろうが、一体誰が……。」

ヴァインの言葉に誰も答える者はいなかった。

誰も分からなかったからだ。


最初の目的であった王国打倒は既にクリアした。

だがまさかすぐ次の課題が生まれるとは予想もしておらず、会議は滞っていた。


会議が難航しているといきなり扉が強く開かれた。

「報告!王国で暴れていた輸送船ですが現在動きを止めました!」

報告に来た兵士はそれだけ言うとまたすぐに出ていった。

しかしこれで一旦は考える時間が出来た。

何か対策を練らなければならない。


「現在、我が帝国領の国境に配置してある電磁障壁は随時展開してある。万一にもアレの主砲が帝都にまで届くことはないだろう。だが、連続で撃たれればその限りではない。」

「こちらから攻撃に出たほうがいいんじゃないか?攻撃は最大の防御とも言うぞ。」

「いや、待て。あのアポロンに捕われている者達はどうする?」

ダメだ、何も進展がない。

なにかいい策はないだろうか。


そんなタイミングでゼクトが口を開いた。

「ならば我が見に行こう。お前達より素早く移動でき例え攻撃を受けたとしても簡単には死なん。」

ゼクトは自身が行くという。

しかしゼクトと言えども絶対に無事に戻ってこれるか怪しい。

主砲が直撃すればいくらゼクトやガルムが強靭な肉体を持っていたとしても蒸発してしまうだろう。


「ダメだ、ゼクト。お前は今やこちら側の最大戦力だぞ。ここで失うわけにいかん。」

「ヴァイン、良く考えろ。我以外に適任がいるよか?いないだろう。我より素早く動けて尚且つ強靭な肉体を持っている者がいるのなら話は別だがな。」

誰も反論は出来なかった。

現状ゼクト以上の強さを持つ者は帝国に存在しない。

安全に帰ってこれる保証はないが、一番可能性の高いゼクトに見に行ってもらう事が最善だと誰もが分かっていたからだ。


「決まりだな、ならばすぐに行動しよう。ないとは思うが、我に万が一があれば、お前が指揮を取れガルム。」

「おいおい、滅多な事を言うんじゃねぇ。お前が簡単に殺られる奴じゃねえ事くらい俺も理解している。」

言葉遣いは荒くゼクトをライバル視しているガルムも、実力は認めており自身より強いと理解していた。

だからこそゼクトの言ったことが許せなかったらしい。


「ではな、朗報を期待しておけ。」

それだけ言い残すとサッサと部屋から出て行ってしまった。


後は無事に戻ってくれることを祈るだけだった。

物語も終盤に差し掛かっているので投稿が不定期となっております!!

申し訳ございません!


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