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谷島虎吉28歳♂
特殊少年捜査課所属
ヤンキー上がりの刑事
あだ名はトラ
誰とでもフレンドリーに接することができる性格
犯罪を犯した少年とも仲良く接しすぎて怒られることもしばしば
少年課で一番の検挙率をもっているが、
問題行動が多い
普段髪をおろしている
おでこの端の方に切り傷のようなものがあり、前髪で隠している
いつも背中にデカイ十字架の赤いパーカーにジーンズ
赤茶色の髪の毛と刑事らしからぬ格好をしている
頭はあまりよくないが情に熱い男
檜垣竜治25歳♂
特殊少年捜査課所属
元々1課にいたが、問題を起こし少年捜査課に配属されたばかり
あだ名はリュウ。
ひねくれているが、頭はいい
普段から黒縁メガネ、スーツの黒髪
真面目を象徴した格好をしている
クールな性格
光山光16歳♀
生意気で誰にでも反抗的な態度を取る
人前だと無愛想だが兄の前だと感情豊か
兄を慕っている
虎吉に徐々に心を開いて行く
伸弥の妹
在原美優紀35歳♀️
特殊少年捜査課課長
女性ながら凛としており、物事をはっきり言うタイプ
職場のせいもあり、
性格も男性っぽい
虎吉の自由奔放ぶりにいつも迷惑をかけられている
他の課の人間からはお荷物専門課長と呼ばれている。
明夏羽忠邦45歳♂
警察署長
若くして署長になった
年の割に見た目は20代後半と若々しい
いつもにこやかで怒ることはほとんどない。
穏やかに喋る
たまにおちゃらけたりする。
黒髪で目が見え隠れするぐらい長髪
茶色のスーツを着用
不破大和33歳♂
ボサボサヘアーに無精髭
やる気のない雰囲気の1課の巡査
ヘビースモーカー
川田伸吾22歳♂
半グレ集団鴉髑髏の下っ端
金髪に短髪
肩には黒い髑髏が血の涙を流している入れ墨が入っている
ヘラヘラしながら喋る節がある
神楽伸弥18歳
光の兄
親が離婚しているため名字が違う
名前だけ登場
田中マミ30歳♀
少し暗めな性格
施設の先生
警官1
警官2
アナウンサー
虎吉:
竜治:
光:
美優紀、警官②:
忠邦、伸吾;
大和、アナウンサー:
マミ、警官➀;
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
虎吉N「前回のあらすじ。
ひょんなことから1課から異動してきたのち
虎吉の相棒になった檜垣竜治。
そんな折り、虎吉が世話した少年、伸弥とその妹、光にトラブルが発覚。
竜治と虎吉でそれを解決した。
しかし、虎吉は負傷
だが命に別状はなかった。
そんなときにできた新しい部署。
特殊少年捜査課…美優紀、虎吉、竜治の三人はそこのメンバーとして入ることが決まった。」
間
美優紀M「トラが退院した3日後…
私達は新設された部署に来ていた。」
虎吉「ここが…特少の部署っすか?」
美優紀「そうだ!
ここがこれから私達特殊少年捜査課…通称特少がお世話になる場所だ!」
虎吉「えっ!?えっ!?ここってずっと荷物置き場にされてる場所じゃないっすか!」
竜治「ここが…俺達の部署…」
美優紀「仕方ないだろ?
特少は警察内でも一部の人間しか知らない極秘部署なんだからな!」
虎吉「なんでそもそも秘密なんすか!」
美優紀「もうすぐその一人がここに来る!
そのときに説明がある。」
忠邦「失礼するよ!」
美優紀「早速来たようだ!」
忠邦「いやいや!すまないねぇ!
こんなところにしか準備ができなくて…」
美優紀「敬礼!」
竜治「はっ!」
虎吉「はっ?えっ?」
美優紀「何してる谷島!」
虎吉「えっ!?なんで敬礼?なんで名字呼び!?」
忠邦「まぁまぁ!そんな硬いことはいいよ!
僕と美優紀ちゃんの仲じゃないか!」
美優紀「ありがとうございます!」
忠邦「君もやめていいよ!」
竜治「ありがとうございます!」
虎吉「課長をちゃん呼び!
俺とほとんど年齢変わらなくない!?
いや…そもそも…」
忠邦「ん?」
虎吉「アンタ誰?」
美優紀「アホっ! (頭を叩く)」
虎吉「いって!?なにするんすか!?」
竜治「トラ?本当に知らないんですか?」
虎吉「いやぁ…見覚えはあるんだけどなぁ…」
竜治「なんで子供たちのことは覚えてるのに…」
虎吉「不思議だよなぁ…」
美優紀「はぁ…この人はな…」
忠邦「いいよいいよ!
僕からちゃんと自己紹介させて!」
美優紀「わかりました!」
忠邦「僕の名前は明夏羽忠邦…
一応こう見えて警察署長してます!
45歳です!アハッ!」
虎吉「し…署長!?
失礼しました!」
忠邦「君も楽にしてくれ!」
虎吉「ありがとうございまっす!」
美優紀「すいません署長!
あとできつく言い聞かせますので!」
忠邦「いいよいいよ!
あと…署長なんて呼び方やめてよ!」
美優紀「しかし…」
忠邦「う〜ん…じゃあ署長って呼ぶな!
昔の呼び方をしろ!
署長命令だ!な〜んてね!
でも…これなら文句ないでしょ?」
美優紀「うっ…ずるいですよ忠邦先輩…」
竜治「先輩?」
美優紀「あぁ!私が新人だった頃お世話になった先輩なんだ!」
忠邦「まぁ昔の話だよ!」
竜治「申し遅れました!
名前は檜垣竜治!
特別少年捜査課所属の巡査です!」
虎吉「おっと…
自己紹介っすね!
俺の名前は谷島虎吉!
特少の巡査してるっす!」
忠邦「ふふ…君達のことは知ってるよ…
なぜなら僕がこの部署を作ったんだから!」
虎吉「そうだったんすか?
なんか色々捜査させてもらえるって話だったんで嬉しかったっすよ!」
忠邦「君達だからこそ、この部署が似合うと思って僕がごく一部の人間に協力をしてもらって作ったんだ!」
竜治「それです!
なぜ俺達をこの特少に?」
忠邦「そうだな…君達は黒東軍という組織を知ってるかい?」
虎吉「いや…知らないっす!」
美優紀「すいません…
私も存じ上げません。」
忠邦「まぁ…知ってるほうが不思議な話だ…」
竜治「確か…」
忠邦「ん?」
竜治「確か…黒東軍と言えば…明治維新から大正にかけて日本の警察を裏で動かし…暗躍していたと言われている組織ですよね?
東に黒東軍、西に黒西軍あり…と言われていた。
だけど…やり方があまりにも残酷なことから…
その存在は明るみに出ることなく…昭和から平成に渡って時間をかけて…消滅したと言われていますが…」
忠邦「さすが竜治くん!
大正解だよ!」
虎吉「さっすがぁ!頭いいなぁ!」
竜治「茶化さないでください…
でも署長…それは単なる噂程度の都市伝説のはずですが…」
忠邦「それがそうでもないんだよ!
……その組織は……存在したんだ。
文書も残ってる…」
竜治「あの都市伝説は…事実だった?」
忠邦「まぁね…」
虎吉「でもその話と今回の特少の何が関係あるんすか?」
忠邦「その組織が…復活するかもしれない…」
美優紀「もし…その組織が復活したら…」
忠邦「あぁ…日本の秩序が終わる…
しかも厄介なことに……そいつらは未成年を使っているという情報もある…
警察内部に内通者がいることも予想して考えた結果だ…」
虎吉「マジっすか?…未成年をなんだと思ってやがる…
まだあいつらはガキだぞ…
それに内通者って…」
忠邦「まだ噂程度だ…
それを明るみに出すために…君達特少が作られた!
だからこの部署の本当の狙いは内密にね?
言い方は悪いかもしれないが…
この警察署内で君達はお荷物だと言われている…」
虎吉「お荷物か…言ってくれるね…へへ…」
竜治「まぁ…そうかもしれません。」
美優紀「私もお荷物扱いですか…」
忠邦「悪気はないんだよ!
だけど…問題だらけの少年課のエース…
急遽異動させられた元1課巡査…
1課の誘いすら蹴って少年課に執着する課長……
理解は…できるよね?」
美優紀「わかっています…」
虎吉「相手が署長だと傷つくなぁ…ハハッ…」
竜治「理解はしています。」
忠邦「だけどね…僕はラッキーだと思ってる!」
美優紀「ラッキーですか?」
忠邦「僕には君達みたいな問題児が必要なんだ…
実力は申し分ないのに…その実力は周りには気づかれない…
なぜなら問題が…絶えないからね
そんな人間を異動してもおかしくは思われない…
実力があるだけじゃだめだ…
問題があるだけじゃだめだ…
その2つが備わった君たちだから…ここに呼んだんだ!
君たちにとってはいい気はしないかもしれない…
だから改めて聞こう!
僕の力になってくれないか?」
美優紀「私は少年課でやり残したことがあります…
それに…お世話になった先輩の力になれるなら…」
竜治「俺も…問題がある人間なのは重々承知してます。
そんな俺の力を求めてくれるのなら…ぜひ!」
虎吉「俺はバカだからわからないっすけど!
子供たちを救えるなら…俺はいいっすよ!」
竜治「でも俺達巡査が異動する分にはいいとして…
急に課長が異動するのはいかがなものかと…」
美優紀「確かに…
大丈夫なんですか?」
忠邦「大丈夫大丈夫!
美優紀ちゃんは1課に異動したことになってる!」
美優紀「大丈夫なんですか!?」
忠邦「大丈夫だよ!
1課には何人か事情を知ってる人間もいるし…」
美優紀「まぁ…忠邦先輩がいいと言うならいいのですが…」
忠邦「じゃあ…改めてよろしく頼むよ!
……ん?電話か………もしもし!
うん…うん…何?…そうか!わかった!」
美優紀「何かありましたか?」
忠邦「さっそくだが君たちに初仕事だ!
先程…水死体が上がった。
被害者の名前は神楽伸弥18歳…」
虎吉「えっ…」
竜治「それって…」
忠邦「君たちの知り合いか?」
美優紀「はい…先日の事件で関わった少年です。」
忠邦「そうか…それは辛いな…」
虎吉「なんでなんすか…」
忠邦「ん?」
虎吉「なんで伸弥が…なんでなんすか!」(胸ぐらをつかむ
忠邦「……」
竜治「トラ!落ち着いてください!」
美優紀「落ち着けトラ!
署長の胸ぐらをつかむのはよせ!」
虎吉「なんで…なんでなんですか…
伸弥がなんで…」(泣きながら)
竜治M「トラは膝から崩れ落ち…大粒の涙を流した。
少し前まで…一緒に笑っていた少年が…
死体となって発見された。
それからトラは…椅子に座ったまま10分ほど動かなかった…」
美優紀「トラ…どうする?
そろそろいくが…
さすがに行かないと1課の連中にドヤされる…」
忠邦「ふむ…
僕にはなにがあったかわからない…
けど…もしかしたらこんなことがこの先待ち受けているかもしれない…
それでも君は…ここに居続けられるかい?
もし無理だというのなら…」
虎吉「あぁぁぁぁぁ!!!」
美優紀「なっ!?」
竜治「……」
虎吉「よっしゃっ!」(自分の顔を叩く)
忠邦「びっくりするなぁ…
急に叫ばないでくれるかい?」
虎吉「すんません!
少し考えたけど…俺にはなんもわからないっす!
ただ一つわかることは…後ろを振り向くんじゃなく…前だけを向くことが俺の信念…
ただそれだけっす!じゃないと伸弥にきっと笑われます!
この先そんなことがあるとか…まだなにも起きちゃいないっすから!考えるだけ無駄っす!
悔やむこともあるかもしれないっす!
涙を流すこともまだまだあるかもしれないっす!
けど…だからこそ!
立ち止まるわけには行かねえっす!」
忠邦「ふふ…そうか…
君を選んで正解だったかもしれないね…」
美優紀「ただのバカなのか…それとも前向きなだけなのか…
私には読めませんよ…」
忠邦「でも…そんな子は必要なんじゃないのかな…
今の警察には!」
美優紀「ですね!」
虎吉「おまたせしました!行きましょう!」
美優紀「そうだな…
じゃあ私達は行きますね!」
忠邦「わかった!」
間
竜治M「そして…俺達は水死体が発見されたと言う倉庫が立ち並ぶ奥手の防波堤へとやってきた。」
美優紀「1課に失礼のないようにな?」
虎吉「わかったかリュウ!」
美優紀「お前に言ってるんだお前に…」
虎吉「俺っすか?」
美優紀「当たり前だ!全く…」
光「うっ…うっ…」
虎吉「ん?…光…来てたのか…」
光「お兄ちゃんにメールでここに呼ばれて…
私が見つけたの…」
虎吉「そうか…」
光「トラちゃん…なんで?
なんでお兄ちゃんが…」
虎吉「今はまだわからねぇ…
少し待っててくれ…」
光「お兄ちゃんは…自殺とかじゃないよね?」
虎吉「当たり前だろ?光を置いてあいつが自殺なんてするもんか!」(笑顔で)
光「うん…」
竜治「ご苦労様です。」
大和「ん?おお…久しいなぁ…
檜垣!」
竜治「お久しぶりです!」
大和「相変わらず硬いねぇ!
まぁ、お前らしいか!」
竜治「大和さんにはご挨拶もできず…」
大和「いいっていいって!
俺は特に気にしてねえから!
刑事やってたら…仕方ねえこともあるもんだ!」
竜治「ありがとうございます!」
美優紀「お前が担当か?」
大和「まぁ…1課も人手不足なんですよ…
ん?この声…あれ?…おお!これはこれは…
久しいじゃないですか姐さん…」
美優紀「その呼び方はやめろと何度も言ってるだろ?」
虎吉「あれ?リュウも課長も知り合いっすか?」
美優紀「まぁ…顔が広いだけだ!」
竜治「俺は元1課ですから…
そのときにお世話になってた先輩です。」
大和「ん?…おお…
お前が谷島虎吉か?」
虎吉「えっ?俺のこと知ってるんすか?」
大和「知ってるとも!
有名な…少年課エースの問題児くん!」
虎吉「いやぁ!俺って有名人なんすねぇ!」
竜治「バカにされてるんですよ…」
虎吉「なに!?そうなのか?
バカにするのはひどいっすよ!」
大和「…ぷっ…あっはっはっは!
思ったとおり…面白いやつだな…」
美優紀「すまんな不破…
悪気はないんだよ…」
大和「いやいや…
悪気がないから面白いんじゃないか?」
美優紀「まぁ…無駄話はこのへんにして…
そろそろ事件のことを話さないか?」
大和「あぁ…そうだな…(タバコに火をつける)
ふぅ…」
美優紀「大事なことになるとタバコ吸い出す癖は治ってないな…」
大和「簡単に治るようなもんなら苦労しないよ…
えっと…被害者は神楽伸弥18歳フリーター
身分証と顔も一致
現在妹と施設で暮らしていて…
父親は娘への強制わいせつ罪で刑務所に入っている…っと…
母親は離婚しているため所在は今の所不明…
死因は水に浮かんでいたが…首元に索条痕もあり、なおかつ吉川線があった。
体中に、擦り傷やらがあることから…暴行されたのち…紐で絞殺されて水に沈められたと考えられる。
死亡推定時刻は死体の硬直具合から5月21日午前3時から午前5時の2時間。
発見された時間は朝9時頃。
疑いようのないぐらい他殺だな…」
美優紀「念の為自殺の線も視野に入れておこう…」
大和「何言ってんだ?
明らかに他殺だろ?」
美優紀「念には念をだ…」
大和「なるほどねぇ…」
美優紀「もしかしたら海に投げられたときにまわりの石にぶつかり傷ついたのかも知れない…
首は元々あった痣なのかもしれない…」
大和「それはいくらなんでもないんじゃないか?」
美優紀「私はもう…10年前の過ちを犯したくないんだ…
だからできる限り見落としたくない…」
大和「あの事件はお前のせいじゃないだろ?」
美優紀「だとしても…私が関わったことには変わりない…
あの時から決めたんだ。
私は少年課から離れることは絶対にしないと…」
大和「そんなこと言っても何かが変わるわけじゃ…」
美優紀「この話は終わりだ!
とにかく上にはそう伝えてくれるか?」
大和「はぁ…わかった。
姐さんが言うならそうするよ。」
竜治「大和さん!被害者の荷物を確認しても?」
大和「ん?…あぁ…いいよ!」
虎吉「俺も見るわ!」
警官1「あいつか…例の問題刑事…」
警官2「なんでまだ警官やってるんだろう…
あんなことしといて…」
竜治「……ふぅ……」
虎吉「なんだよこの嫌な感じ…
リュウが来てからグチグチ言いやがって…
しかも聞こえる声で…」
竜治「気にしないでください。
もう慣れてます…」
虎吉「俺が言ってきてやろうか?」
竜治「余計なことは無用です。
これは俺の問題ですから」
虎吉「余計なことかぁ…」
大和「それであそこに泣いてうずくまってる女の子が…第一発見者。
なんでも…兄の神楽伸弥にメールで呼び出されて…
ここに来たら…遠くの方からバシャンと水しぶきが跳ねる音が聞こえて…見に行ったら…真っ青になった兄が水死体となっていた。
警察に通報があったのは朝9時頃だ…
呼ばれたのは8時半頃だが…ショックで一時的に気絶していたらしい
犯人は見てない…
状況からして…光山光が来てから水に投げ入れたんだろうな…」
美優紀「私は改めてあの子に話を聞く。
なにか新しい情報があれば教えて!」
大和「すぅ…ふぅ…りょうかい!」
虎吉「ん〜…財布にスマホに…これは施設の入り口の鍵ってところか…
強盗の線はないか…」
竜治「みたいですね…」
虎吉「ん?なんだこの粉…薄紫色の粉なんて不気味だな…」
竜治「薄紫色の粉?…ちょっと見せてください!」
虎吉「あ…あぁ」
竜治「これは…」(匂いを嗅ぐ)
虎吉「おい!得体のしれない粉なんて吸うなよ!」
竜治「違いますよ!
匂いをかいでるんです!」
虎吉「匂い?」
竜治「やはりそうか…
これはドラッグです!」
虎吉「ドラッグ?」
竜治「はい!しかもただのドラッグじゃない…
通常のドラッグなら舐めて確認したりと色々な方法はありますが…」
虎吉「舐めて平気なのか?」
竜治「舐めても飲み込まずに
すぐに吐き出します…」
虎吉「そうなのか…」
竜治「話を続けますが…
薄紫色で匂いが蜜のような甘い香りがする…
このドラッグの特徴は…
俺達が追ってる新種のドラッグですよ…」
虎吉「新種のドラッグ…
あっ!!デス・プレジャー!」
竜治「そうです…
でもなんで伸弥君の荷物の中にこれが…
まさか…」
虎吉「ん?なんだよ?」
竜治「伸弥くんもドラッグを?」
虎吉「変なこと言うなよ?
あいつがやるわけねぇだろ!」
竜治「俺はまだ何も言ってませんよ…
そうやってトラも言うってことは…
トラも疑念を感じたってことですよね?」
虎吉「確かに…一瞬感じたけど…
俺は信じるぞ!
あいつがやるわけねぇ!」
竜治「なら…俺達でこの疑念を晴らすしかないんじゃないですか?」
虎吉「あぁ!そうだな!」
間
美優紀「お待たせ!」
光「えっと…確か…」
美優紀「有原美優紀だ!
トラの先輩ってとこかな!」
光「トラちゃんの?」
美優紀「トラちゃん?ふふ…
あぁ!そうだ!
すまないがもう一度話を聞かせてもらうことは可能かな?」
光「はい…
今日は学校が休みなので…朝6時ごろに私は起きて…お兄ちゃんがいないことに気付きました。
ふとスマホを見ると…メールが来ていたので、それを見ると、お兄ちゃんからでした。
そのメールには、街の奥にある倉庫近くの防波堤に午前8時半に来てくれ。
それだけ書いてありました。
出かける準備をして…私はここに来ました。
お兄ちゃんの姿は見えず…あたりを探していると、裏手の方からポチャンと何かが水の中に落ちる音がしました。
そっちに行くと……行くと……はぁ…はぁ…」
美優紀「もういい!
ありがとう!辛いことを思い出してくれて…」
光「有原さん…
犯人を…捕まえてください…」
美優紀「もちろんだ!」
竜治「課長!ちょっといいですか?」
美優紀「わかった!
少し待っててくれ!
すぐに戻る!」
光「わかりました。
…なんで…なんでお兄ちゃんがこんなことに…」
間
美優紀「どうした?」
竜治「これを見てください。」
美優紀「これは…デス・プレジャー!?」
竜治「はい。」
美優紀「伸弥くんの荷物の中に…
なんで、デス・プレジャーが…」
虎吉「やっぱり…課長も疑うんですか?」
美優紀「人を疑うのが私達の仕事だ…」
虎吉「あいつがするわけないっすよ!」
美優紀「でも…傷付いた少年少女を信じて守るのも…私達の仕事だ…」
竜治「課長…」
美優紀「私から二人にお願いだ!
伸弥くんの疑念を晴らすんだ!
真実を探せ!」
虎吉「了解っす!」
竜治「はい!」
間
アナウンサー「ニュースをお伝えします。
真壁市真壁町の防波堤付近で少年の遺体が見つかりました。
発見されたときにはすでに亡くなっており…自殺か他殺…両方の線で捜査を行っているとのことです。
新しい情報が入り次第…お伝えします。
以上…ニュースをお伝えしました。」
美優紀M「そのあと…防波堤近くの現場には監視カメラはなかったが
私達はその手前にあった唯一の監視カメラをチェック。
そこには…最近警察署内全体でも名前が上がることが増えてきた半グレ集団鴉髑髏の入れ墨が入った男が写っていた。」
竜治M「半グレ集団鴉髑髏…
殺人、強盗、強姦、恐喝、人身売買、ドラッグ、詐欺
ありとあらゆる犯罪に手を染める…
今一番危険とされている半グレ集団である。」
虎吉M「俺達は警察に任意でこの男を呼び出した。
意外にもすんなりと受け入れ…出頭してきた。
取り調べを担当するのは課長…
俺と竜治はマジックミラー越しに裏の部屋からそれを見ていた…」
間
伸吾「なんすかぁ?こんなところに呼び出してぇ
俺もこう見えて暇じゃないんすよ?」
美優紀「川田伸吾さん…
5月21日午前3時から午前5時の間…
あの倉庫でなにをしていた?」
伸吾「あぁ…事情聴取ってやつっすねぇ…
なんだっけ?そうそう!アリバイ確認ってやつっすねぇ!なんかあったんすか?」
美優紀「はぁ…その時間帯にあの倉庫で殺人事件があった。
現場近くのカメラにお前が映っていたんだ。」
伸吾「殺人事件っすか?
そんなことがまわりで起きるなんてすごいっすねぇ!くく…」
美優紀「なにをしていたか教えてもらえるか?」
伸吾「ん〜…カメラに写ってるならしょうがないっすねぇ!
あの日は競馬に負けてムシャクシャしててさ!
家帰るのもかったるいからバイクで流してたんすよ!
そしたらガキが歩いてるんじゃないすか?
ちょっとからかおうと思って何してるのって声掛けたら関係ないだろって言われちゃって…
ムシャクシャしてたのもあって捕まえてボコボコにしたんすよ!
いやぁ!あのときはスカッとしたっすねぇ!」
美優紀「お前…まさかそのまま…」
伸吾「いやいや〜…
勘違いしないでくださいよ?
俺は殺してませんよ?
ボコボコにしたあとは、そこに放置して帰りましたから!」
美優紀「何時頃に家に着いた?」
伸吾「あれは確か…夜中の3時とかじゃないっすかねぇ…」
美優紀「それを証明してくれる人は?」
伸吾「いないっすねぇ
ほら!夜中だったし!
これってあれっすよね?
アリバイ無しって奴ですよね?」
美優紀「まぁ…そうゆうことになるな…」
伸吾「やべえじゃん!
俺捕まっちゃうじゃん!
(大爆笑)」
美優紀「ふぅ…とにかくだ!
殺しをしていないにしろ…暴行罪は認めたわけだからな…
逮捕はさせてもらう…」
伸吾「いやぁ!しょうがないっすよね!」
美優紀「すこしここでまっていろ!」
伸吾「おっけーでーす!!」
竜治「トラはどう思います?」
虎吉「どうってなにが?」
竜治「あの男ですよ!
トラの考えを聞いてるんです!」
虎吉「そうだなぁ…
一つだけ言えるのは…
どう見ても普通の精神じゃねえよな…」
竜治「もしかしたら…デス・プレジャーを使用しているのかも…
暴行したことは認めてるわけですから。
逮捕して尋問すればいいんですけど…」
虎吉「けど…なんだよ?」
竜治「いや…おそらくですがデス・プレジャーを管理しているのは鴉髑髏だと思うんです。
ただ証拠もない…
そしてあの男を捕まえたとしても…
きっとトカゲのしっぽぎりで意味はないのではと思いまして…」
虎吉「まぁ…それでも少しつづ消 していかないと…この街はドラッグに潰される…」
竜治「ですね…」
美優紀「お疲れ!」
虎吉「お疲れっす!」
美優紀「完全にイカれてるな…
あの男は…」
竜治「そうですね…
でも別件で捕まえてるんです。
今まで鴉髑髏の人間に接触することはできなかった。
これを足掛けにしてリーダーまで捕まえられれば…」
虎吉「確かリーダーって…」
美優紀「そう…トラも知っての通り…
リーダーの正体すら警察は掴めてないんだ…
唯一わかっていることは…
通称スマイル…それだけだ。」
虎吉「なんかふざけた名前っすね…
犯罪ばっかやるくせに…
何が笑顔だ!」
美優紀「まぁな…
それよりも…光山光の事情聴取はお前に任せるぞ?」
虎吉「光も事情聴取するんすか!?」
美優紀「当たり前だ!
どんな情報が糸口になるかわからない今…一番心を許してるであろうお前がやるんだ!」
虎吉「でも…それじゃあまるで
光が犯人みたいじゃないっすか!」
美優紀「伸弥くんを殺した犯人を捕まえるためだ!」
虎吉「わかりました…」
美優紀「トラは光山光の事情聴取!
リュウは二人がいた施設の先生に話を!」
間
竜治「ここが二人がいた児童養護施設…たんぽぽ…あれ…なんでいるんですか?」
大和「よう…
今回は特少の山なんだろ?
そのフォローだとさ…」
竜治「ありがとうございます!
大和さんが手伝ってくれるのはありがたいです。」
大和「俺を買い被り過ぎだよ…」
竜治「そんなことないですよ。
あれ…そういえば今特少って…」
大和「あぁ…言ったかもな?」
竜治「なんでその名前を?」
大和「わかるだろ?」
竜治「もしかして…大和さんも?」
大和「そうだよ。
署長命令だ…」
竜治「まさか大和さんが関わってるとは…」
大和「そんなことより…まずは話を聞かなきゃな…」
竜治「そうですね。」
マミ「あの?なにか御用でしょうか?」
大和「失礼しました。
警視庁の不破大和と申します。」
竜治「同じく檜垣竜治と申します!」
マミ「警察の方ですか?
もしかして光と伸弥のことで?」
大和「ご存知でしたか…」
マミ「自殺をしたと警察の方に伺いました。」
竜治「申し訳ございません。
改めて名前の方聞いてもよろしいですか?」
マミ「田中です。田中マミ…」
大和「田中さんですね。
ありがとうございます。」
竜治「では…確認も含め聞かせていただきます。
施設ではどのような様子でしたか?」
マミ「そうですね。
二人いつでも一緒で…
羨ましいぐらい仲良さげでしたよ?
」
大和「なるほど…」
マミ「あっ!そういえば…」
大和「なにかありましたか?」
マミ「一度だけ大喧嘩をしたみたいで一週間口を聞かなかったことがありましたね。
二人でどこ行くにも仲いいくらいだったのに…」
竜治「なるほど…それはいつのことですか?」
マミ「1ヶ月ぐらい前でしたね。」
大和「わかりました。
ありがとうございます。
ちなみに先生は5月21日午前3時から5時の間なにをしてましたか?」
マミ「アリバイ確認と言うやつですか?」
竜治「申し訳ございません。
業務上のものですので…」
マミ 「私は、部屋で寝ていました。
夜中に子供に呼ばれてトイレに付き合ったのでその子が証明してくれるかと…」
大和「わかりました。
ありがとうございます。」
竜治M「そのあと…俺と大和さんは警察署に戻った。
その次の日…トラは光を事情聴取していた。
その隣の鏡裏の部屋で…
マジックミラー越しに美優紀が見ていた。」
虎吉「悪いな?またこの部屋に入ることになっちまってよ…」
光「ううん!
大丈夫!…でも…今度はドア締めるんだね…」
虎吉「これか?
いやぁ…上司に怒られちまってよ!」
光「上司って…
あの綺麗な女の人?」
虎吉「おお!話したのか!
綺麗かどうかはわかんねえけど!
多分その人だ!」
美優紀「綺麗か…
照れること言ってくれる…
でも…今はこの事件を解決するんだ!
頼んだぞトラ!」
光「すごく綺麗だよ!」
虎吉「でもな?そんなふうに見えて怖いんだぞ!
頭は殴るわ…ケツ蹴るわ…
パワハラもいいとこだぜ!」
美優紀「あいつ…余計なことを…
頭は殴ったが…
ケツは蹴ってないぞ…」
光「ふふ…でも…トラちゃんが悪いことしたからじゃない?」
虎吉「あ〜…ハハッ…
何も言い返せねぇわ…」
光「……ふぅ…」
虎吉「どした?疲れたか?」
光「少しね…」
虎吉「すまんな!
あと少し協力してくれ!」
光「いいよ!
改めて話を聞きたいんでしょ?」
虎吉「おお!なんでもいい!
あのとき気付いたことを教えてくれ!」
忠邦「どうだい?捜査は進んでるかい?」
美優紀「し…署長…」
忠邦「ん〜?」
美優紀「じゃなくて…忠邦先輩…」
忠邦「ふふ…よろしい…
それで?捜査の方は?」
美優紀「今の所は、鴉髑髏の下っ端を逮捕できたぐらいで…進展はありません…」
忠邦「そうか…」
美優紀「こんなところに来るなんて珍しいですね。」
忠邦「まぁ…僕が頼んだ事件でもあるしね…
さらに鴉髑髏に近付ければ…
黒東軍にも近付けるかなと思ってね…」
美優紀「すいません…
力が及ばず…」
忠邦「気にしないでよ!
そんなに早く近づけるようなら特少を作ろうなんて思わないよ!」
美優紀「ありがとうございます!」
虎吉「それで…なにか思い出したことはある?」
光「そう言われてもなぁ…
全部話したと思うし…」
虎吉「だよなぁ…」
光「あっ!?」
虎吉「どした?思い出したか?」
光「うん!
エプロン…」
虎吉「エプロン?」
光「エプロンを付けてる人を見かけた気がする!
気絶する瞬間だったから忘れてた!」
虎吉「ナイスだ光!
でもエプロンかぁ…」
光「こんなこと聞くのもあれだけど…
犯人捕まりそう?」
虎吉「どうだろうなぁ…
一応施設の田中って先生にも話聞いたらしいんだけど…
特に問題なかったみたいだしなぁ…」
光「田中先生か…」
虎吉「一応アリバイとかも聞いたんだけどな?
午前の4時頃に子供をトイレに連れて行ったっていうので…
それがアリバイだって感じのこと言ってたらしいぜ?」
光「そうなんだ!
あれ…ちょっとまって?
うちの施設ってまだできたばかりで
ちゃんと会話ができる年齢の子は私とお兄ちゃんを抜いたらいないよ?
だからアリバイを証明できる子なんて…」
虎吉「マジ?
おかしいなぁ…」
美優紀「なるほど…
リュウに電話してみるか…
…………もしもし?」
竜治「お疲れ様です!
どうしたんですか?
何か進展でも?」
美優紀「あぁ!
昨日リュウと不破で行った施設に田中っていただろ?」
竜治「はい。
施設の先生をしてる者ですね。」
美優紀「その人がどうも怪しいんだ。」
竜治「怪しい…ですか…
あっ…電話ですね。
またかけ直します。」
美優紀「かけ直しはいいから不破と合流して話を聞きにいってくれ!」
竜治「わかりました!
……もしもし……」
大和「おう。
今平気か?」
竜治「はい!
大丈夫です!
俺も大和さんに用事があったので…」
大和「そりゃちょうどいいや…
お前の話ってもしかして施設の田中のことか?」
竜治「そうですけど…
なにかあったんですか?」
大和「まぁ…ちょっと気づいたことがあってな…」
竜治「気づいたこと…ですか?」
大和「思い出したんだが…
昨日田中は自殺って聞いたって言ってたよな?」
竜治「そういえばそうですね…」
大和「なんで自殺って断定してるんだ?」
竜治「それは…きっと他の刑事とかに聞いたとかじゃないんですか?」
大和「誰にだ?」
竜治「誰って…」
大和「お前にはまだ伝わってないのかもしれないが…
姐さん…いや…有原課長の案で上にも報道にも自殺か他殺かは調査中って伝わってるはずなんだ…」
竜治「えっ…じゃあ…」
大和「あぁ…断定できるわけがないんだよ…
警察にも…それこそ一般市民の田中にもな…」
竜治「それって…」
大和「あぁ…影が見えてきたな…」
間
虎吉M「俺は光を取調べ室に待たせたまま…
課長に呼ばれて捜査検視官室に呼ばれていた。」
美優紀「おお!来たかトラ…」
虎吉「どうしたんすか?」
美優紀「伸弥くんの遺体を調べていたところあることがあってな…」
虎吉「……なんすか?」
美優紀「口の中からくしゃくしゃに丸められた紙が出てきてな…
恐らく手紙みたいなんだ…
きっと殺される寸前に口に紙を入れたんだろう…
読んでみてくれ! 」
虎吉「わかりました…」
虎吉M「手紙にはこう書かれていた。
俺になにかあったときのためにこの手紙を残す。
光の洋服を洗おうとしたらポケットから薄紫色の粉と紙切れが入っていた。
紙には、このドラッグの秘密を守りたければ深夜の3時頃防波堤の8番倉庫に来い。妹を守りたいだろ?
きっとこれは俺に当てた手紙だ…
光は俺を守ろうとしてくれたんだろ?
俺がちゃんと行く!
そのあとも光への思いが書かれていた。
そして最後に一言…
虎吉さん…光を守ってください。」
美優紀「読んだか?」
虎吉「はい!
そして俺がやるべきことがわかったっす!」
美優紀M「その未来を見据える目…
私は好きだぞ…」
美優紀「行ってこい!」
虎吉「了解っす!」
間
マミ「まだなにかご用ですか?」
大和「申し訳ございません。
ちょっと確認したいことが…」
竜治「単刀直入にお尋ねします。
なぜあなたは…伸弥くんが自殺だと?」
マミ「えっ…それは警察の方から…」
竜治「それはありえないんです…」
マミ「なぜですか?」
竜治「なぜなら…警察はまだ自殺と他殺…両方で捜査しています。
自殺とは断定されてないんですよ…」
マミ「そんな…
…そうだ!確かニュースで聞いたんです!
勘違いを…」
竜治「それもありえない…
ニュースでも両方で捜査していると報道してるからです。」
マミ「それは…」
竜治「もう自白してください。
逃げることは不可能です…」
マミ「ちょっとまって!?
子供に聞いてくれれば…」
竜治「それも不可能なのはあなたが一番わかっているはずだ…
この施設に…伸弥くんと光ちゃん以外…まだ小さくて会話もままならないはずです…」
マミ「証拠はなにも…」
竜治「あなたが着ているピンクのエプロン…
それも目撃されてるよ…」
マミ「くっ…」
大和「もう言い逃れできないぞ?」
マミ「あとちょっとだと思ったのに…」
大和「詰めが甘いんだよ…
日本警察舐めんじゃねえぞ?」
マミ「うるさい…
うるさいうるさいうるさいうるさい!!
知らない人から電話がかかってきて…
伸弥くんが薬をやってるって…
そんなことがバレたら…まだできたばかりのたんぽぽは潰れるしかない…
やるしかなかったのよ!」
竜治「もっと信じてあげるべきだったんじゃないですか?」
マミ「あんたに何がわかるのよ…」
大和「ナイフ!?」
マミ「うわぁぁぁぁぁあ!!」
大和「檜垣!?」
竜治「大丈夫です…」
マミ「死ねぇ!!」
竜治「ふん!」(平手で殴る)
マミ「ぐふっ…」
大和「おっと動くなよ?
15時38分…殺人未遂の現行犯で逮捕する…」
マミ「ちくしょう…ちくしょうちくしょうちくしょう!!」(泣きながら)
竜治「…女性を殴る趣味はありませんが…犯罪者への手加減なんて警察学校では教えられてませんので…
それに…あなたが信じてあげれれば…こんなことは起きなかった…」
間
虎吉「光!」
光「トラちゃん!?
どうしたの?そんなに慌てて…」
虎吉「お前は兄貴を…伸弥を守りたかったんだよな?」
光「突然どうしたの?」
虎吉「大丈夫だ光!
もう隠す必要なんてない…」
光「トラちゃん…」
虎吉「お前は伸弥のポケットに入っていた薬と紙を見つけて…
それを奪った…
そして代わりに行くはずだったが…
恐らく少量の睡眠薬でも盛られたんだろう…
それを見つけた伸弥は自分自身で行ったんだ。」
光「……そうだよ……
お兄ちゃんを守るためにはこうするしかなかったの!
なのにお兄ちゃんに見つかっちゃうなんて…」
虎吉「それは違うぞ!
そのまま行ってたらきっとお前も殺されてた!」
光「じゃあ私はどうすればよかったの?
知ったうえに無視しなきゃいけなかったの!?」
虎吉「そうじゃねえよ…」
光「お兄ちゃんが薬をやってるかもしれないのを知った上で…
私はどうすれば…」
虎吉「バカ野郎!!」
光「トラちゃん…」
虎吉「違うだろ?
お前だけは信じてやらなきゃならなかったんじゃねえのか?
伸弥はやってねぇって!
信じてやるべきだろ!」
光「…怖かったんだよ…
もしかしたらお兄ちゃんがいなくなることが怖かったんだよ…
でも…結局お兄ちゃんはいなくなっちゃった…」
虎吉「それは俺が気付いてやれなかったのがいけないんだ…」
光「そんなことないよ…
でも…私一人になっちゃった…
もう死んじゃいたいよ…」
虎吉「死ぬなんて…」
光「トラちゃん?」
虎吉「死ぬなんて絶対言うな!!
お前が死んだら泣くやつはいる!
俺だって泣くさ!」
光「私は…私は…」
虎吉「自分から命を捨てるなんてことは…
殺人と同罪…下手したらそれよりも重い罪だ!
そんなことは絶対俺が許さねぇ!
伸弥だってそんなこと望んじゃいねぇ!」
光「ごめんなさい…ごめんなさいトラちゃん…」
虎吉「分かればいいんだ!
それにお前の兄貴は薬なんてやってねぇ!
ちゃんと検査してやってないことは証明されてる!」
光「よかった…本当によかった…」
虎吉「兄貴からお前に預かった言葉がある!」
光「お兄ちゃんから?」
虎吉「お前はひとりじゃない!
会話することはできないかもしれないけど…
ずっと心にいる!お前が忘れないでいてくれる限り!」
光「お兄ちゃん…お兄ちゃん…お兄ちゃん!!」
虎吉「お前がこれからすることは一つだ!
兄貴の代わりに生きろ!
嬉しいときは思い切り笑え!
泣きたいときは我慢するな!
怒りたいときは俺に愚痴れ!
哀しいときは一緒に哀しんでやる!
生きろ!
人生後悔なく生きろ!
それだけだ!」
光「トラちゃん…ありがとう…
本当にありがとう…」
虎吉「おう!」
竜治M「その後…光は別の施設に移ることになった。
そして、この事件の3日後…
川田伸吾は…留置所で舌をかみ切って死んでいたらしい。
鴉髑髏へのきっかけを失ってしまった。」
間
美優紀「みんな!
お疲れだった!
無事、事件は解決だ!」
虎吉「なんかスッキリしないっすけどね!」
竜治「スッキリする事件なんて…
ないと思いますけどね…」
虎吉「まぁ…そうなんだけどよ…」
竜治「それにしても…一体メールは誰が…」
忠邦「それはね…一応わかってるよ…」
美優紀「お疲れ様です。」
忠邦「うん!お疲れ!」
竜治「あの…一応っていうのは…」
忠邦「うん!それなんだけどね…
犯人は田中マミで確定なんだけど…
伸弥くんのスマホの指紋調べたら田中マミの指紋は出なかった。
本人もやってないと言っている…」
虎吉「じゃあだれなんすか?」
忠邦「残念ながら詳しくはわからないんだ…
警察に登録のない指紋が出てきた。
前科のない誰かの仕業としか言えないな…」
竜治「少し謎が残りましたね。」
虎吉「まぁ…これからも鴉髑髏を追う限り…
また出くわすこともあるっすよ!」
忠邦「とにかく…
今回はお疲れ様!
次にまた連絡したときはよろしくね!」
虎吉「了解っす!まだまだ頑張るっす!」
美優紀「全く…単純な奴だな…」
竜治「ふぅ…ですね。」
間
竜治「俺はトラを少しつづ理解したと思っていた。
でも…1週間後…
今のトラはほんの少しでしかなかったと思い知らされることになるとは…
このときは知る由もなかった。」
虎吉M「次回…ダブル・アヘンテ特殊少年捜査課第三話…焦眉。