プロローグ2⋮男は子供を助けて……。
前回と合わせてお楽しみください。
「はぁ……間に合わなかったか……」
俺は一人走り去って行くバスを見送りながら、そう呟く。さてどうするか、さっきのバスの他には電車の方法もあったのだが、その方法もさっき発車サイン音が鳴るのが聞こえたので使えないだろう。
諦めて会社に電話するか……そう思った時だった。
足元に柔らかい物が当たった。
気になって足元を見るとそれはボールだった。
ボール?何でこんな所にボールが?そう思った時だった
『待ってー、僕のボールー。』
そんな幼い男の子の声が聞こえて来たのだ。
どうやら、あの声がこのボールの主らしい。
俺は足元のボールを拾い、声の主を探す。
幸いな事に声の主はすぐに見つかった。だが俺はその光景に戦慄する事になる。
なんと男の子はボール目掛けて、道路を横断してきたのだ。
「おい!危ないぞ!!」
俺はそう叫ぶが、ボールに意識が集中してるのだろう
その子は止まることなく真っ直ぐ走ってくる。
そうして男の子は幸運な事に渡りきるくらいまで来たのだが、幸運はそこまでだった。
男の子に向かって乗用車が走って来たのだ。
双方は全く気づく事のないまま、どんどん距離を詰めていく。
それを見ていた俺は男の子に急いで駆け寄り、突き飛ばすように俺のいた道に押し込んだ。
そうして、押し込んだ男の子の代わりに道路で俺は、身代わりになるようにはね飛ばされたのだった。
薄れゆく意識の中、俺は男の子の方を見る。
泣いてはいるが、怪我とかはしていなさそうだ。
良かったこれで安心して逝けるな……そう思いながら俺は意識を手放した。
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