無題5
僕らの頭上には、生まれた時から重しがのしかかっている。
不可視にして絶対の重り。
最初にかかる重りは空気だ。僕らは空気という重りに抵抗するために泣く。
泣いて命を主張する。
育つにつれて、世間体、同調圧力、年齢に見合った思考などの重りをかけられる。
仕事、プライド、地位、生活、結婚、自立。大人になると、さらに重りは増す。頼んでもいないのに。
僕らは常にその重りを押し続けなければならない。
自分の生を、価値を主張し、打ち立て続けなければならない。
荒涼の大地を開拓するように。未踏の星に旗を刺すように。
そうしなければいけないと思う。
僕には重りを押し続ける活力がない。生まれた時から背骨が無いのだ。
アトラスになれなかった僕は、蛇になって重りを眺める。
怠惰に時間を消費し、現実から逃げることしかできない。
無気力な僕はどうやって生きていけばいいんだろう。どんなふうに生きたいんだろう。