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自己紹介ってこんなんだっけ

 冒険者を撃退した次の日。犠牲者が出たことで警戒心が芽生えたのか、昼まで刺客は送られてこなかった。


 こういう余裕のある時こそ、次の戦いに備えて準備をしなければならない。俺は魔人の皆を集めると、今日やりたいことを伝えた。


「よし、じゃあまず俺の知らない二人は自己紹介してくれ。その後ステータス画面を見て、能力に応じて冒険者から奪った装備を配分する!」


 言い終わると、ギン以外の三人が「ステータス画面って?」とか言いながら首を傾げる。そんなに首を傾げてたら首折れんぞ。


 しかもギンは「すてぇきは、美味しいんだよ」とか的外れな説明をしていたので、俺は再び四人に説明し直した。


「成る程、つまり強さの指標でござるな。自分の力は強敵を斬り伏せることでしか測れないと思ってござったが……いやはや、そんな測り方があるとは」

「そうそう。ってことで、まずは自己紹介頼む」


 ようやく皆の理解が得られたので、やっと自己紹介を始めることが出来た。未だにすっ裸の蟷螂少女が、一歩前に出る。


「拙者はサクと申す。言葉は不用、拙者の在り方は刃で語るのみにござる」

「いやいや、こっちに鎌を向けるなて。言葉で語ってくれよ」


 スポーツ少女のように快活な少女なのだが、根幹は武士なスピリットにあるようだ。


 うーん。基本が良い子なだけに、暴走するとヤバそうだなこの子。

 俺はどう接するべきか頭を悩ませながら、もう一人の方に自己紹介を促した。


「わ、私はネイン。あまり見ないで……期待されても、言うことなんかないから。つまらない魔人でごめんなさい……」

「いやだから語ってくれよ……」


 二連続で語ることはない宣言されてしまった。自己紹介とは一体。


 これは一緒に過ごしながら知っていくしかないか、と諦めていると、テラがネインの補足説明をしてくれた。


「ネインはアルミラージだから、ストレスに弱いんだよ」

「あぁ、やっぱそうなのか……」


 アルミラージというのは角の生えた兎のことだったはずだ。見た目的に兎っぽいとは思っていたが、まさかストレスに弱いところまで兎だなんて……。


 毛の色も白いし、アルミラージより兎の生態に近いのかもしれない。俺は自己紹介の時間を切り上げてやり、ステータスの確認に移った。


「じゃあステータスの確認をしたいんだけど……。最初にやりたい人いる?」


 恐る恐る尋ねると、テラがピンと手を上げた。ステータスを見る時どんなことになるか知っているのはギンだけだから、そこに迷いはない。


「ぜひ見てくれ。他のサラマンダーと私がどれくらい違うのか、見ておきたい」

「あぁ、まぁ能力値とかは見られないから、種族レベルと技くらいしか分からんけどな?」


 そういえば他のサラマンダーと違うことがコンプレックスらしいので、ステータスを見て欲しがるのも当然なのだろう。

 俺は断りを入れてから、テラのステータスを見てやることにした。


「じゃあ、自分の内側を見られても良いって頭の中で念じてくれ。そしたら見えるようになるから」

「わ、分かっ……ああんっ!」


 うなずくと同時に、テラがかわいらしい嬌声を上げる。その反動で胸を隠す炎も消えかかるし、強気な印象からのギャップでエロすぎた。


 気を逸らすように、俺はステータス画面を見つめる。


フレイムメイル・サラマンダーlv.3

・ヒートブレス

・フレイムハンドル

・リモートエクスプロード

・火炎耐性

・着脱尾


・火炎lv.2

・振動lv.1


 ヒートブレスは火を吹くだけの技だが、火を操るフレイムハンドルと火を爆発させるリモートエクスプロードは使い勝手が良さそうだ。


 興奮しながらステータス画面を見ていると、自分に突き刺さる冷たい視線に気付いた。


 そちらを向くと、顔を青ざめさせて俺を見つめるサクとネインが目に入る。彼女達にはステータス画面が見えてないので、俺が弱ったテラを見てハアハア興奮している奴にしか見えないのだろう。

 いや、ステータス画面で興奮してる時点で自業自得なんだけど。


「え、えと……。じゃあ次やりたい人いる?」


 俺が聞くと、ネインがブルンブルンと首を振った。その仕草は人間から学んだのだろうが、首ばっか使って感情表現してたらホント折れるよ?


「じゃ、じゃあ、拙者も頼むでござる……」


 流石にこの直後じゃやりたがらないか、と思っていると、サクが鎌になった手を上げた。


「自分の力は、やはり気になるでござるからな」

「わ、分かった……」


 彼女は全裸のままなので正直一番やりたくなかったのだが、希望されては仕方がない。俺は彼女のステータスを見ることにした。


「うぅ、何か、中に入ってくるでござる! 拙者は屈しないでござるぅぅぅ!」

「いや屈してよ!? 抵抗してたらいつまでも見えないよ!?」


 しかし武士のスピリット的に負けたくないのか、無駄に抵抗してくるサク。

 その分この時間が長引き、目の前でスポーツ少女が快楽に堕ちていくまでの様子を延々と見せつけられる。


「なんか気持ちよくなってきたでござる! でも、拙者は、まだ負けるわけには……!」


 彼女はそう言うものの、目の前にはようやくステータス画面が表示された。うん、堕ちたな。


グレート・マンティスlv.3

・スラッシュ

・ワイドスライス

・選択阻害


・鋼鉄lv.1

・飛行lv.1

・自然lv.1


 切断系の近接技が基本で、選択系魔法の対象にならないという特性も持っているザ・近接型。搦め手なしに単体性能が高いけど……。


 腰を抜かして床でガクガクしている彼女を見て、ため息をつく。もう全く強そうには見えなかった。


「ネインは……うん、やらないよね」


 ネインに目を向けると、さっき以上の速さで首を振られた。しゃあない、ネインのステータス確認と装備の配分はまた今度にしよう。


 それにしても、サクをここまでしてしまう俺のステータス確認能力は、一体何なのだろうか。

 俺は自分の能力を、これまで以上に警戒するのであった……。

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