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生まれる時代を間違えた

野蛮かわいい魔物っ娘は二話目から! それまでは主人公の独り言をお楽しみ下さい!!!(地獄)

「やっぱ、生まれる時代間違えたわ……」


 眼前に広がるのは死体の山。終末のような様相を見つめながら、俺はため息混じりに呟いた。


 塵のように積もっているそれらは本物の死体ではなく、単なるゲームのアバターだ。しかしゲームの中だとは言え、俺がこの無数の魔法使い達を殺した事実に変わりはない。


「戦国時代とかに生まれてたら、歴史に名を残してたかもしれないのになぁ……」


 【ウィザーズ・デスマッチ】。それがたった今クリアしたゲームの名だ。


 100人のプレイヤーが一つの広大なフィールドに集い、魔法使いとして自分以外の全てを倒すバトルロイヤル。今世界で最も流行っているゲームだが、俺は何度も一位抜けを繰り返していた。


「こんなけ頑張ってんだから、少しくらい社会でも優遇してほしいもんだわ」


 仮にも流行ゲームなので、腕前を見せれば周りの人は尊敬してくれる。……最初だけは。

 しかし俺のゲームに対するガチさ加減や、ゲーム以外でのコミュ障ぶりを見るとすぐに敬遠されてしまうのだ。


 ゲームにガチであることの何が悪いと言うのか。

 もしこれがゲームじゃなくてスポーツだったなら、俺は敬遠されないんだろ? どこにあんだよその差は!!!


「あぁぁ、何か腹立ってきたぜ……」


 好きなものが少し違うだけで、差別される世界。周りと少し違うというだけで、ゴミのように扱われる世界。


 考えれば考えるほど、思ってしまう。……俺は、生まれる時代を間違えた。


「俺も、この世界に生まれていればな」


 【ウィザーズ・デスマッチ】はバトルロワイヤルゲームにしては珍しく、アバターに性能差が存在する。具体的に言えば、アバターごとに覚えやすい魔法が異なるのだ。


 自分が使うアバターの性能はプレイする度にランダムで決まるため、時には不遇性能になってしまうこともある。しかしその場合も、アバターに適したゲームプランを組み立て、どの魔法を覚えるか深く考えれば勝てるようになっているのだ。


 人と違っても許される、能力で全てが決まる世界。こんな世界に生まれていれば、俺はもっと輝けたはずなのに……。


「その願い、聞き届けましょう」

「……!? 誰だ!?」


 俺のとりとめもない願いに、返ってくる声があった。


 透き通った、しかしいつまでも頭に響く女性の声。

 それが聞こえると同時、普段ならリザルト画面が表示されるはずの場所に、渦のような黒い穴がでかでかと出現した。


「その門をくぐれば、あなたは望み通りの世界に行くことができます」

「なんっだ、それ! 異世界転移とでも言う気か!?」

「ナウい言葉で言い表すなら、その通りです。あなたは異世界に行く権利を得たのです」

「ナウい言葉!!!」


 彼女のナウくない言葉に思わず反応してしまうが、もしそんなに都合の良い話があるなら迷う余地などなかった。現実世界に未練などない。


 しかし慎重派の俺は、女神を連想させる彼女に少しだけ確認する。


「望み通りの世界って……具体的にはどんなところだ?」

「このゲームに似た世界です。このゲームは救世主に相応しい者を選び出すため、異世界に似せて作ったのですよ」

「行くぅ!」


 予想以上に良い話だったので、俺は慎重さなんてかなぐり捨てて目の前の渦に身を投げた。


 待ってろよ異世界! 今行くぞ!!! 

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