最終章までのあらすじ
物語の内容を忘れてしまった! という方のために、最終章までのあらすじを簡単に作成しました。
読む前に面白いかどうかの指標にしたい方もぜひご活用ください。
もちろん、ネタバレ注意です。二章以降は特に……
ネタバレ注意!!
★序章
ルイス・アルゼイドは最底辺の冒険者だった。ずっと最低のEランクを這いつくばっており、相棒たるアリシア・カーフェイも同様にめちゃくちゃ弱い。ギルドの面々からも馬鹿にされ続ける毎日だった。
それでも二人は腐らずに自己を高め続けてきたが――成長することはまったくなかった。
そんなある日、サクセンドリア帝都を大勢の魔獣が襲撃する。
ルイスに絶対絶命の危機が訪れるが、土壇場で謎スキル《無条件勝利》を習得。
魔獣はおろか、その後に襲ってきた古代魔獣すら一撃で倒してしまう。
皇女プリミラによれば、このスキルはかつての英雄、勇者エルガーも使えたのだという。元は凡庸な男だったが、急に最強の力に目覚めたのだと。
帝都を救った功績を買われ、ルイスは《Sランクへの昇進》を打診されるものの、これを呆気なく拒否。アリシアの故郷に行き、田舎でのんびり暮らすことを選択する。
だが、このときは誰も知る由はなかった。サクセンドリア帝国――いや、世界をも巻き込む巨大な陰謀が蠢いていることに。
★第一章
ルイスはまず、アリシアの両親と面会を果たした。
父の名はアルトリア・カーフェイ。
母の名をフレミア・カーフェイという。
ルイスはアルトリアに気に入られ、そのままアリシアの実家に居候することを許可される。そうしながら、アルトリアの仕事――困っている人々を助ける仕事――を一緒に行っていくことも。
ルイスは《無条件勝利》を使い、楽々と依頼をこなしていく。
(と同時に、スキル名が《無条件勝利》でありながらも、一瞬で勝負が着かないことに疑問を抱いていた)
そうしながら、帝国内において怪しげな組織が暗躍していることを掴む。
その名も神聖共和国党。
隣国――ユーラス共和国による工作員である。
Sランク冒険者のレスト・ネスレイアによれば、神聖共和国党は以前より帝国で破壊活動を行っているとのこと。先日の魔獣襲撃も、同組織による犯行であることが判明。
帝国の皇帝も工作員の存在に気づいているが、なぜかなにもしないのだという。
後日アリシアも強スキル《古代魔法》を入手し、ルイスは神聖共和国党の工作を止めることを決意する。
そして、ある日。
帝都を再び魔獣が襲った。
しかも今度は神聖共和国党の工作員が直接出向いている。
さらには、神聖共和国党のトップはルイスの旧友――ヒュース・ブラクネスであったことが判明する。
ルイスたちは急いで帝都に向かい、いままで敵対していた《冒険者ギルド》とも結託して工作員を倒していく。
ヒュースによって召喚された前代魔王に苦戦しながらも、なんとか帝都を救い出すことに成功。
ヒュースは意識不明に陥り、ルイスはなぜか魔王の卵を授かることになった。
★第二章
英雄となったルイスは、皇帝ソロモアの許可を得て、隣国――ユーラス共和国に出向くことにした。事件の真相を探るためである。
帝国と共和国は昔から犬猿の仲。
その原因は二千年前の戦争にあった。
勇者エルガーによって戦争自体は引き分けに終わっているが、現在でも仲は最悪。特に共和国の人々は帝国人を《テイコー》と呼んで差別的に扱っていた。
ルイスとアリシアはそんな差別にめげることもなく調査を続け、Sランク冒険者のフラム・アルベーヌとの出会いを果たす。
フラムも当初はルイスたちを毛嫌いしていたが、ルイスたちの人間性を知るにつれ、次第に好意を抱くようになる。
また調査するにつれ、神聖共和国党が何者かに意識を乗っ取られていた可能性が浮上した。真に黒幕がいるのだと。
そんなとき、ルイスは新たな情報を入手する。共和国内でまたも怪しげな組織が暗躍していること。そいつらは黒装束に身を包んだ謎の集団で、Sランク冒険者にも劣らない強者の集団であることを。
その集団は時にルイスと敵対したり、時にはルイスを助けたり、意味不明な行動を取っていた。
奴らの動向も探りながら、ルイスたちはここでも《冒険者》として活動していく。
そんな折、共和国の大統領――ヴァイゼ・クローディアが衝撃の発言をした。
それは帝国への宣戦布告。
帝国を一方的に悪者と祭り立て、兵力を投入するという衝撃的な発言だった。
それと同時に、《黒装束の男》の正体がSランク冒険者レスト・ネスレイアであることが判明。共和国の陰謀は昔から仕組まれていることも知ることとなる。
このままでは帝国に甚大な被害が出る。
そう判断したルイス、アリシア、フラムは急いで戦線に出向いた。そしてギリギリ国境の手前で、黒装束の男――レスト・ネスレイアとの再会を果たす。
《無条件勝利》を使ってもなお、レストは強敵だった。さらにはどういうわけか、ルイスと同じ心眼一刀流(昔、勇者エルガーが使った流派)までをも使える。
ルイスたちは窮地に陥った。
絶対絶命かと思われたが、そんなとき、新たな人物が戦場に現れる。
ヒュース・ブラクネス。
神聖共和国党のリーダーで、かつてルイスと戦った男だった。
彼は皇女プリミラに依頼され、特別にこの戦場に派遣されたのだった。彼はさすがの魔術でレストに立ちふさがる。
それだけではなく、帝国の冒険者たちも戦線に現れた。
戦況は一気にひっくり返った。
このままいけば帝国への侵攻を止められる。
誰もがそう思った。
――だがそれすら、ヴァイゼ大統領の思惑通りだった。
ギルドや神聖共和国党がこちらに出向いたことにより、帝国内の戦力はかなり削がれた形になる。このときをヴァイゼは待っていた。帝国内に潜ませていた戦闘員を総動員させ、内部から帝国を破壊し尽くしていく。
「やめろぉぉぉおおお!」
悔しさのあまりルイスは絶叫するが、彼にはなにもできない。共和国の魔術師により、強制テレポートの魔術をかけられてしまったからだ。アリシアも泣きながら両親の名を叫ぶが、もうどうすることもできない。
――そして、さらなる衝撃の展開が起こる。
まったく同時刻、帝国内では、アルトリアとフレミアが決死の戦いを繰り広げていた。
二人は以前より《怪しい臭い》を察知し、いち早く帝都に駆けつけていたのだ。
怪しいのは他でもない、皇帝ソロモアの動向だ。
神聖共和国党の工作に対し、皇帝は昔からなにもしてこなかった。そして今回、ヴァイゼ大統領のされるがままに帝国を血の海に染め上げている。
これはいったいどういうことかと帝都に出向いた瞬間――帝国を、闇色の壁が包み込んだ。
そして。
帝国から、急に漆黒の可視放射が放たれ――レストの胸部を貫いた。
「マジかよ……。俺もヴァイゼも……帝国の手の平の上だったか……!」
これはいったい、なにがどうなっているのか。
わけがわからないまま、ルイスたちは強制的にテレポートをかけられてしまうのだった。
★三章
皇帝ソロモアが展開した不可思議な力は世界全土を恐怖に陥れた。
侵攻してきた共和国の兵士を返り討ちにし、そのうえで、共和国への反撃を敢行する。
「諸君、共和国の者どもは長きにわたって帝国を苦しめてきた。我々はそれでも我慢してきた。そして事にここに至り、我が国を侵略せんとしてきた。我々がここで反撃するのは……間違っているだろうか?」
皇帝ソロモアの狙いはここにあった。
共和国が尻尾を出すまで帝国からはなにもせず、国内外の世論を味方につけてから共和国への侵攻を開始。
共和国を帝国の属国とすることを宣言した。
一方で。
ルイスたちが強制転移された先は《魔物界》。
主に魔獣たちが暮らしている世界である。
行く宛をなくし、立ち往生しているルイスたちに、聞き覚えのある声が届いた。
――我ヲ、呼べ。
それは前代魔王の声。
かつてヒュースに召喚され、ルイスに倒されたロアヌ・ヴァニタスの声だった。
ちょうどそのタイミングで卵が孵化し、復活したロアヌ・ヴァニタスは「魔物界を案内してやろう」と持ちかけてきた。
怪しさ満点だったが、ルイスたちはその誘いを受けることに。
最終的には魔物の住まう村に案内され、前代魔王から話を聞くことになる。
二千年前に起きた帝国と共和国の戦争。その真相を――
この世界には、宝球なるものが存在する。
人類の手では到底起こせない、奇跡を起こす強力な宝石である。
二千年前。
かつて帝国の皇帝は、その宝球のうちひとつ――絶宝球を手にしていた。
絶宝球の力は《絶対勝利》。
いかなる戦闘にも勝利する絶対的な力である。
(このときルイスは自身の《無条件勝利》と酷似していることに気づく)。
当時の皇帝は、絶宝球を用いて世界を掌握することをもくろんだ。
これに対抗したのが共和国を含めた諸外国だったのである。
両国の戦いは混迷を極めた。
このため、共和国は魔物界へ一時協力を打診したという。
当時の魔王だったロアヌ・ヴァニタスはこれを了承し、ともに帝国を打ち破ることを決意する。そうしてやっと帝国を崩壊寸前まで追いつめた。
のだが、皇帝は苦肉の策に乗って出た。
絶宝球の力を人間に移し、その者を《勇者》として戦争に協力してもらうことを。
そうして選ばれた人間こそが、のちに勇者と呼ばれる凡庸な青年、エルガーだった。
絶宝球によって《無条件勝利》を手に入れたエルガーは、破竹の勢いで共和国や魔物界を打ち破っていく。そうしてついに、勇者と魔王との戦いになった。
「エルガーよ。貴様はこれで満足か。この戦いに勝てばそれですべての問題が解決できると、そう思っているのか?」
魔王のそんな問いかけに対し、エルガーは逡巡する。彼とて、この戦争に疑問を抱いていないわけではなかった。
「すこし頭を冷やせ。我が魔物界に来るのであれば歓迎するぞ」
そうして勇者と魔王の奇妙な共同生活が始まった。
最初は戸惑っていた勇者だったが、次第に魔物界に慣れてきた。村の住民とも仲良くなってきた。
そんなとき、帝国からの使者が衝撃的な言伝を運んでくる。
すなわち、エルガーの家族が共和国の兵によって殺されたと。
この戦争を終わらせなければ、さらに多くの犠牲者が出てしまうと。
だから早く戦線に復帰してほしい――という内容だった。
これを知ったエルガーは苦悩する。
魔物界との生活で、平穏な生活のありがたみを知った。戦争なんてしたくない。もう誰も殺したくない。でも、自分が戦わなければもっと多くの人が死んでしまう……
悩んだ末、エルガーはひとつの結論に達した。
魔王は勇者によって滅ぼしたことにすること(もちろん実際はそうではない)。
そうしてなるべく犠牲者を出さないよう、戦争を終結させようと。
それが後に勇者として語り継がれるエルガーの末路だった。
そして最期に、彼は魔王にこう持ちかけた。
「きっと遠い未来、同じような戦争が起きるだろう。だから僕のこの力を、未来の有望な者に分け与えたい」
魔王はこれを快く了承した。魔物界にも鏡宝球という宝球があり、それを使えばスキルのコピーが可能なのだ。
勇者は言った。
「帝国に対して、僕はなにもできなかった……。もし再び世界に危機が訪れるとき、誰よりも強い心、そして最後まで諦めない意志を持った者にこの力を託してほしい……」
その力は二千年という時を経て、ルイスへと引き継がれた。
ただしさすがに絶宝球の力は強大すぎるため、劣化した状態で引き継がれることとなった。
(無条件勝利というスキル名にも関わらず、即勝利できなかったのはこのためである)。
最後まで自己研鑽を諦めなかったルイスは、ギルドを追放される直前にいままでの努力が報われ、最強スキルを得た――それが事のいきさつだった。
これを聞いたルイスたちは、帝国へ戦いを挑むことを決意。
この馬鹿げた陰謀を阻止するために。そして、エルガーの遺志を継ぐために。
とはいえ、いまのままでは帝国には勝てない。
ルイスとアリシア、フラムは魔王による修行を開始する。
そしてルイスのスキルは《絶対勝利》へと進化し、アリシアやフラムも腕を格段に向上させるのだった。
一方で、皇帝ソロモアも黙ってはいない。
絶宝球を用いて、《無条件勝利》のスキルを兵士たちに拡散してしまう。最強の力を手に入れた兵士たちは、共和国への侵攻をさらに強めていく――
修行を終えたルイスたちは魔物界から脱出し、再び共和国へと舞い戻る。
そして。
帝国と戦うにあたって、ヴァイゼやレストの協力は必要不可欠だと判断し、ルイスたちは彼らとの再会を果たす。
出迎えたのはレスト。
レストの先祖はエルガーによって殺されていることがここで判明。以後、《無条件勝利》に対抗するために代々厳しい特訓をしているのだという。
だが、ここでルイスも引くわけにはいかない。
レストも《ステータス・オールマックス》という離れ技を使い、ルイスに食い下がってくる。
激闘の末、ルイスは勝利。
なんとかレストやヴァイゼに認められ、帝国を打倒するために一時共闘することになる。
そしてヴァイゼの策により、わずかな隙を突いて帝国へ侵入し――
帝国との正面対決が始まった。
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