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最後の戦い

「がうがう」アプリにてコミカライズが先日公開されました!

よろしければそちらもチェックください!

※構想自体はあるので、本作も定期的に更新していこうと思います。

「お~いルイス。よかった、そこにいたか」


 午後十時。

 アリシアと二人で夜景を眺めていたルイスは、ふいにフラムにそう呼びかけられた。明日の作戦について、ついに詳細が決定したらしい。


 随分と急な話ではあるものの、あまり時間を置きすぎても他の国が犠牲になる可能性があるからな。だから各国の軍関係者たちで、時間をかけて作戦を練ってくれたのだろう。


「おっと……もう随分集まってるな」


 ルイスが集合場所に足を運ぶと、そこには大勢の人々がすでに待機していた。


 アルトリアにフレミア、レストにミューミ、ヒュースに前代魔王、そしてヴァイゼや各国の首脳たち。


 思わずたじろいでしまうほどの錚錚たるメンバーに、ルイスは否が応でも、間もなく戦争が始まることの予感が強まっていくのだった。


「おや。ついに来ましたか、ルイスさん」


 静まり返る拠点のなか、真っ先にそう口を開いたのはフレミア・カーフェイ。


 アリシアの母親にあたる人物で、なんと最強の斧使いとして世界に名を馳せているのだとか。アルトリアと結婚する前は帝国軍にて中将の地位に立っていたが、ソロモア皇帝の異質さを見抜いて退役したらしい。


「天空城の調査結果を踏まえまして、おおかたの作戦が決まりました。あまり時間もありませんが、どうか聞いていただけると嬉しいです」


「え、ええ……。それはいいんですが、フレミアさん、まさか……」


 ルイスはさすがに当惑を禁じえない。

 なにせ錚錚たる面子のなかで、そのフレミアが先頭に立っているのだから。


「そうかルイスよ。おぬしには言っていなかったな」

 困惑するルイスに、アルトリアが脇から声をかけてきた。

「元中将というくらいじゃからな。フレミアはただ斧が扱えるだけじゃない。いかに困難な作戦といえども、フレミアは間違いなく勝利に導きゆき――その異名が他国にまで届いているほどじゃ。帝国と共和国が一時の休戦状態となっていたのも、彼女のおかげと思っておけばよい」


「マ、マジかよ……」


 にわかには信じがたいが、たしかに他国の軍師でさえフレミアを褒め称えていたもんな。アルトリアもアルトリアで元Aランク冒険者だし、アリシアは最強の魔術師だし、本当にとんでもない家族である。


「ふふ、中将の肩書は捨てたんですけれどね。しかし世界が危機に陥っている今、私も発揮せねばなりません。とうの昔に置いてきた、軍人としての力を」


「フ、フレミアさん……」


「大丈夫です。他にも有能な軍師さんたちが揃っていますし、作戦に抜かりはないでしょう」


「いえ、そんなそんな。私は軍事方面にはてんで弱いので、フレミアさんたちを信じさせていただきますよ」


「うふふ、ありがとうございます♡」


 そう言ってにっこり笑うフレミアに、ルイスも苦笑を禁じえない。

 この状況においても余裕そうにしているところをみても、フレミアの風格が伝わってくるな。


「さて……それでは改めまして、作戦内容を皆様にお伝えさせていただきます。まず天空城の状況ですが、今現在、強固な結界が張られていることがわかりました。Sランク冒険者のミューミさんが遠くから魔法を放ったようですが、傷一つつけられなかったとのこと」


 ざわざわ、と一同がざわめきを発する。

 Sランク冒険者の魔法をもってしてもびくともしないとなれば、さすがに驚愕を禁じえないだろう。


「ですが案ずることはありません。前代魔王のロアヌさんにも話を伺ったところ、その結界そのものは、皇帝の持つ絶宝球に由来していると判明しました。……となれば、解決策はもはや言うまでもないでしょう」


 そこでフレミアの視線がルイスに向けられる。


「ルイス・アルゼイドさん。絶宝球の結界を破れるのは、同様の力を持っているあなたにしかできません。ですので天空城を攻略し、ソロモア皇帝を打倒するための作戦は、あなたを軸にして展開していくことになります」


「や、やりましたよルイスさん! すごいですね!」


 話を聞いていたアリシアが、目をきらきらさせて俺を見上げてくる。

 そうは言っても、さすがにこれはプレッシャーが半端ないんだけどな。けれど皇帝ソロモアが同様の力を持っている時点で、なんとなく予期していた事態だ。


「しかし、待ってくださいフレミアさん」

 先頭に立つフレミアに対し、ルイスは自分の気持ちを素直にぶつける。

「私の力はあくまで絶宝球の一部でしかありません。さすがに私一人で結界を破るのは無理があるように思えますが……」


「存じています。私たちのほうで調査を重ねたところ、帝国の各地に、天空城へ魔力を供給し続けているスポットが三か所存在することがわかりました。残りの人員でそれを破壊し、結界が弱まっているところに、ルイスさんたちに天空城へ突撃していただきます」


「な、なるほど……」


「当然、帝国側はそれを全力で阻止してくると思われます。大量の兵器はもちろんとして、《無条件勝利》を使用する兵士たちも間違いなく投入してくるでしょう。そうとなれば、私たちも全力をもって戦力をぶつけるしかありません」


「もちろん、我々もそれに協力するつもりです」

 重苦しい雰囲気のなか、そう言ったのはアルガント国王。

「ユーラス共和国に残る兵力や、各国の兵力とも合わせ、総勢で65万人ほどの兵力になる見込みです。一方の帝国側においても、推測ですが60万ほどの勢力を持ち合わせているかと。急きょ新規の同盟国などが参戦してきた場合には、この限りではありません」


「ふむ……」


 一見するとこちら側が有利に思えるが、もちろんそんなことはない。


 帝国側の兵士たちが《無条件勝利》を扱える可能性がある以上、兵士ひとりひとりの練度は向こうのほうがはるかに高いだろう。まず間違いなく接戦に――いや、それどころかこちらが不利な戦いになる。


「それゆえに、本作戦では各魔力スポットごとに実力者を配分することにすることにした」


 続いてそう言ったのは、共和国の大統領ヴァイゼ。


「ルイスにアリシア、そしてフラム。この三者は今までともに戦ってきたゆえ、うまく連携を取るためにも、一緒に天空城に行ってもらう。残りの前代魔王、レスト、ミューミ、アルトリア、ヒュースら実力者たちは、それぞれスポットの撃破をお願いしたい。……調査班によれば、それぞれを守護する者たちが待ち構えているようなのでな」


「ほう……?」

「はっ、なんか妙な予感がしやがるぜ」


 ヴァイゼの言葉に、ヒュースとレストがそれぞれ反応を示す。


「けど、それっきゃ方法がねえんだろ? ヴァイゼのおっさん」


「うむ。おまえたちが守護者と戦っている時に流れ弾に被弾せぬよう、こちらでも防御壁を展開する予定だ。これはもちろん、守護者の攻撃がこちらの兵に当たらないようにするための策でもある」


「はっ、それだけの奴がいるってことかよ。ぞっとしねえ話だな」


 まあ無理もない、とルイスは思った。

 一般兵でさえ《無条件勝利》を用いてくる可能性がある以上、厄介な敵は封じ込めておくに越したことはない。作戦自体は極めて妥当だと言えるだろう。


 そんな思索を巡らせていると、最後にフレミアが周囲を見渡しながら言った。


「各スポットの位置については、それぞれ配置される皆さんに個別でお伝えします。ルイスさんたち一行は、すべてのスポットが破壊されるまで、航空戦艦で待機していただく流れになります。――では、いったん以上となります。各スポットに振り分けられた方々は、私のもとへ来てください」


 その言葉をもって、いったん作戦会議は終了するのだった。



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― 新着の感想 ―
定期的な4年に1度の更新か
[一言] 4年ぶりの更新ですっかり話の内容忘れてしまったなあ
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