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最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る。  作者: どまどま@チートコード操作 書籍化&コミカライズ
【三章】 魔物界編 ~最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る~
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関わるはずのなかったメンバー

 それから数分後。

 ルイスたちはしばらく、カーフェイ一家の話に聞き入っていた。


 皇帝ソロモアの不審な動きに気づき、独自に動いていたこと。

 その過程でユーラス共和国の《黒装束》たちが襲ってきて、一度は窮地に陥ったこと。

 そしてその後すぐ《闇の壁》が展開され、皮肉にも危険から脱出できたこと。


 皇帝ソロモアがユーラス共和国を属国化したときはさすがに驚いたようだ。

 いままで帝国の平和を願ってはきたが、このような幸せなど、アルトリアもフレミアも求めていない。暴力の上に成り立つ平和など欲していない。


 二人は純粋な帝国人。

 このままなにもせず、皇帝にすべてを任せることはたしかに可能だ。


 それでも二人は行動に移すことにした。近隣にいる有志を集め、刻一刻と反旗のときを待っていたのだという。

 おかげで、この洞窟には数十名の大人たちがいた。冒険者でもなければ軍人でもないので、戦闘力的には覚束ないが、それでも固い信念を持った住民たちだ。


 以上がアルトリアの語った話。

 今度はルイスがこれまでの経緯を話すこととなった。


 神聖共和国党の裏でレストが手を引いていたこと、そのレストすら皇帝ソロモアには出し抜かれたこと。そして《無条件勝利》や勇者エルガーの真実に至るまで、できるだけ簡潔に話してみせた。


 その間中あいだじゅう、アルトリアもフレミアも夢中で聞き入っていた。時折「なるほど……!」と相づちを打ち、ルイスの話に耳を傾けていた。


 そしてすべての話を終えたとき、アルトリアはふうと息を吐いた。


「これで合点がいった。ルイスもアリシアも……さぞ大変じゃったろう。よく頑張った……」

「でも、まだ終わりじゃありませんね。絶宝球ですか……かなり厄介なことになりそうですね……」


 さすがのフレミアも思案顔だ。いくら凄腕の元軍人といえど、ことわりを越えた力には敵うまい。なにしろ絶対勝利ときたもんだ。


 重くのしかかった沈黙を、前代魔王ロアヌ・ヴァニタスが破った。

「フム。その通りだな。相手は強い。だからこそ――我々が協力しあい、総出で立ち向かう必要があろうよ」


「うん。私もそう思う」

 こう言ったのはフラム・アルベーヌだ。

「みんな、それぞれに思うところはあるかもしれない。私だってまだ帝国人は信用できないよ。……でも、ここにいるみんなは仲間だ。いまならそう思える」


 ――たしかに。

 ここに集まっているメンバーは、帝国、共和国、魔物界……それぞれ別の世界で生まれ育った者たちだ。

 言うなれば、決して関わるはずのなかった人々である。


 それでも……ルイスは思う。

 フラムも前代魔王も、いまでは頼れる味方だ。最初はすこし疑ってしまう部分もあったが、この二人がいたからここまで来ることができた。それを自分の石頭が拒否していただけだった。


 そんな思索に耽っているうち、ルイスは気づいた。アルトリアがじっとこちらを見つめていることに。


「ど……どうしたよ?」

「ほっほ。驚いておるのじゃよ。初めて会ったときとはまるで雰囲気が変わってての」

「雰囲気……俺が……?」

「うむ」


 にっこり笑いながら頷くアルトリア。


「昔のお主は道に迷っておった。自分に自信をなくし、早々にワシらの家から立ち去ろうとしていた。それが見違えるように成長したもんじゃ」

「そ……そうか……?」

「そうですよ!!」


 アリシアが横から入り込んできた。


「いままで色々ありましたけど……、みんな、ルイスさんに導かれてここまで来たんです! この戦いはルイスさんが主役ですよ!」

「しゅ、主役って……。そんなわけないだろ」


 かぶりを振るルイスに対し、Bランク冒険者のバハートが「いやいや」と話に入ってきた。


「事実、あんたが主役だと思うぜ? みんな、あんたに会えたから変われたんだ。良い意味でな」

「そ、そりゃ買いかぶりすぎだ……」

「自覚ないのかよ。ま、あんたらしいっちゃあんたらしいけどな」


 うんうんと頷く一同。

 なんだこの空気。

 すげー居づらいんですけど。


 話題を変えるべく、ルイスはこほんと咳払いをしてフレミアに視線を移した。


「そ、それより、フレミアさんはさっきなにを読んでたんですか? なにか書面を持ってたと思いますが……」

「あ、はい。これですね」


 こくりと頷き、その書面を提示してくる。

 これは――なにかの地図だろうか。激しく入り組んでいるが……


「隠し通路の見取り図です。ここを突破すれば――帝国の王城へ繋がります」

 



 

新作を公開しました。


最強の回復師。《回復魔法》が存在しない異世界でまったり自由に暮らしたい。 ~いいえ、僕は平凡な魔法師です~


ぜひお越しください!

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