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最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る。  作者: どまどま@チートコード操作 書籍化&コミカライズ
【三章】 魔物界編 ~最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る~
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懐かしい場所へ

「ほー。すげえ景観だな」


 ルイス・アルゼイドは思わず感嘆の息を吐いた。

 帝国から放たれた、闇の可視放射。

 かなり重たい攻撃ではあったが、アリシア・カーフェイとの協力により、なんとか弾き返すことに成功した。


 それとほぼ同時刻に、なにかが割れるような轟音も聞こえた。

 おそらく、レストが壁を突破したのだろう――そう思ってこちらに転移してきたのだが、想像以上の景色が広がっていたわけだ。


 すなわち、レストや前代魔王を含めた連合軍と、帝国軍たる《無条件勝利》の使い手……

 それら大勢の戦士たちが、互いの出方を窺うように睨み合っていたのである。


 まあ、無理からぬことだと思う。

 純粋な戦闘技術だけなら連合軍に分があるが、《無条件勝利》にはそれすら跳ね返すくらいの脅威を持つ。一撃でも攻撃を当てられたら、いくら前代魔王やフラムとて看過できぬダメージが通るだろう。


「フム。来たか」


 そう声をかけてきたのは前代魔王――ロアヌ・ヴァニタスだ。


 彼も帝国側の様子を真剣な目つきで窺っている。かつてレベル3のルイスに敗れたことから、《無条件勝利》の恐ろしさは奴が一番よくわかっていることだろう。


「このまま戦うのはあまり得策ではない。貴様らはここの出自だろう? どこか転移にふさわしい場所はないか?」

「そう……だな……」


 顎をさすり、ルイスは思考する。


 一瞬だけリッド村はどうかと思ったが、たぶん厳しいだろう。

 あの皇帝ソロモアのことだ、こちらと関わりのある場所は先に押さえているに違いない。リッド村に転移したところを、むしろ一気に制圧される可能性すらある。


「アリシア? どうだ、いい場所はないかね?」

「う、うーん。すぐには出てきませんね……」


 アリシアも困った顔だ。


 まあ、仕方ないだろう。

 ここで軽率な判断を下すわけにはいかない。

 ならいっそのこと、自分の《絶対勝利》で相手を一気に絶滅させてやるか……。多少の被害は出てしまうかもしれないが……


 ルイスがそこまで考えた、そのときだった。




「助けにいくぞ、我が娘よ!」




 ふいに聞き覚えのある声が響き渡った。

 ――かと思うや。

 同じく見覚えのある姿が、帝国側の戦士に突っ込んでいった。


「ふんっ!!」


 は剛胆な剣の一振りを帝国軍に見舞い、吹き飛ばしていく。いくら《無条件勝利》の使い手といえど、急に現れた闖入者ちんにゅうしゃには対応しきれず、戦線が見事に崩れていった。


「あ、あれは……」

 ルイスは思わず目を見開く。

「ア、アルトリア! なんでここに……!」


「説明は後じゃ! アリシアよ! 昔、リュウを助けた場所――そこに全員を転移させてくれ!」


「あ……」


 アリシアも我に返ったように表情を引き締める。


 昔リュウを助けた場所といえば、あの懐かしき《霧の大森林》か。アリシアが初めてレベルアップし、古代魔法スキルを得た場所でもある。


 あえて遠回しな言い方をしているのは、帝国軍に場所を悟られないためだと思う。地名を直接言ってしまえば、後から大勢の帝国軍が押し寄せるのは想像に難くない。


「アリシアさん……お願いしてもいいですか……?」

「フム。我もさすがにいまの呼びかけではどこかわからぬ」


 ミューミと前代魔王が口々にそう言った。二人とも《転移術》は使えるものの、実際の場所を知らないためそれが使えない模様だ。


 アルトリアの登場により、帝国軍には若干の隙が生まれている。一斉に転移するならいまが絶好のチャンスだ。


「わかりました。お父さん、みなさん……一気に転移します! いきますよ!」



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