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最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る。  作者: どまどま@チートコード操作 書籍化&コミカライズ
【三章】 魔物界編 ~最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る~
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長年対峙してきた二人の剣士は

「…………!」


 その瞬間。


 ルイスは感じた。


 自身に迫りくる、凶悪なまでの圧力を。

 通常ありえないほどの甚大な力を。


 心なしか、周囲の空間すら若干黒ずんでいる気がする。


 ほぼ無意識のうちに、ルイスは腰を落とし、戦闘態勢に入っていた。


 ――スキル発動。絶対勝利。


 自身が銀色のオーラに包まれるのと同時に、前方から一筋の光線が激突してきた。


「うおっ……!!」


 思わず呻いてしまう。


 ギリギリ太刀で防げたが、とんでもないスピードだった。

 人間が認識できる速度をゆうに超えている。


 ――これが絶宝球ぜつほうきゅうの力ってやつか。とんでもねえな……!


 信じがたいほど重い威力だ。


《絶対勝利》を発動できていなければ、今頃消し炭になっていたに違いない。


 さすがは宝球。

 これはやばいぞ……!


「ルイスさんっ!」


 ふいに背後から、天使のような女性の声が響きわたる。


 と同時に、柔らかな新緑の光がルイスを包み込んだ。

 完全回復エターナルヒール。これまで何度も世話になった、傷と体力の完全回復だ。


「私も全力でサポートします! 一緒に乗り越えましょう!」


「おうよ!」


 絶宝球。

 伝承によれば、戦争時、多くの命を奪った禁断の力。


 それでも――二人の力を合わせれば、乗り越えられない壁じゃない。かつてはゴブリンにさえ苦戦する二人だったけれど、さまざまな試練を経て、ここまでやってきたのだ。


 いける。

 俺たち二人なら……!


「いくぞアリシア! 全身全霊、すべての力でもって戦いに当たれ!」


「はいっ!!」

 

 ★


『共和国からレスト! 聞こえるか!?』


 ふいに脳内に声が流れ込んできて、レスト・ネスレイアは目を見開いた。


 ――ヴァイゼ大統領の声だ。

 魔術師の力を借りて、遠隔から声を飛ばしてきているらしい。


『こちらレスト。どうした』


『帝国から可視放射が放たれた模様! 現在ルイスが応戦中! 至急突撃せよ!』


『了解!』


 とうとう始まったか……!

 レストはふうと息を吐き、前方に高々とそびえる闇の壁を見上げる。


 共和国と帝国の境目に位置する草原地帯――


 共和国から国境門を超えた位置に、レストは訪れていた。

 ここが《転移》で来ることのできるギリギリの地点だ。いま国境門の向こう側では、ルイスが決死の攻防を繰り広げていることだろう。


 そのおかげで、現在は絶宝球の防御力が弱まっているはず。


 この隙に突破するのが今回の作戦だ。


「りゃあっ!」


 かけ声とともに、レストは壁に太刀を振り回す。


 ――が。

 ガキン! という金属音とともに、レストは後方に吹き飛ばされてしまった。


「ぬうっ……!」


 思わず呻いてしまう。

 さすがは絶宝球。いくら防御力が下がっているとはいえ、そう簡単に切り抜けられる相手じゃない。


 ――仕方ねぇな……


 レストは瞳を閉じ、自身に眠る力を呼び覚ます。


 スキル発動。


 ――ステータス・オールマックス。


 瞬間、ドス黒いオーラが自身に立ちこめるのを感じた。同じく、髪色も禍々しい漆黒へと変化する。


 体力の消耗が激しいスキルだが、四の五の言っていられる場合ではない。自分がしくじれば、計画のすべてがパーになる。


「おおおおおおっ!」


 雄叫びをあげながら、レストは再び絶宝球へと突撃した。途方もなく巨大な壁へと、太刀を差し向ける。


 ガキィィィィン!!


 すさまじい轟音が鳴り響いた。自身の太刀から、目覚ましいほどの火花が飛び散る。


「重い……ッ!」


 無意識のうちにそう叫んでしまう。


 絶宝球も全力でもって対抗してきているようだ。レストを弾き返すべく、重厚な力で押しやってくる。一瞬でも気を抜けば、今度は地の彼方まで吹き飛んでしまいそうだ。


 それだけは避けねばなるまい。決して負けるわけにはいかない。


 共和国に置いてきた仲間のためにも、ミューミのためにも、そして、俺自身のためにも……


 だが――


「うがっ!」

 突如、胸部に突き上げるような痛みが発生し、レストは悲鳴をあげた。


 ステータス・オールマックス。

 その代償は、急激な体力の消耗。

 長く使用すればするほど、身体に負担がかかる。ただでさえ右胸を負傷しているのに、絶宝球を相手にするのは危険だと自分でもわかっていた。


 でも。

 でも、俺は……!


「負けないで! レスト!」


 ふいに背後から、聞き覚えのある女性の声が聞こえた。


 同時に、ふんわりとした輝きが自身を包み込む。

 完全回復エターナルヒール

 古代魔法に属するそれを、魔導具まどうぐを用いて発動する人間といえば、ひとりしかいない。


「ミュ、ミューミ……!」


「なんでもひとりで抱え込まないで! 私がいるから!」


「…………」


 思わず黙りこくるレスト。


 思えば、どんなときでも彼女がいた。

《無条件勝利》の使い手・ルイスと戦うときでも、彼女は迷いなく同伴してきた。危険であることはわかっていたはずなのに。なのに……


「ミューミ。頼む。おまえがいなきゃ絶宝球には勝てねえ……。背中は……預けていいか」


「もちろんよ。私たち二人が頑張れば、きっと乗り越えられる!」


「ああ……頼んだぜ」



 そして。

 まったく同時刻。

 まったく別の場所で。


『心眼一刀流、一の型、極・疾風!!』


 ルイスとレストの声が重なった。

 


 

 

 

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