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最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る。  作者: どまどま@チートコード操作 書籍化&コミカライズ
【三章】 魔物界編 ~最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る~
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おっさん、戦地へ出向く

 無意識のうちに呼吸が早くなる。

 緊張のあまり手足が震えるが、しかし、先陣を切る自分が動じるわけにはいかない。


 ――かつて訪れたことのある、帝国へと通じる軍門。


 ルイス・アルゼイドはそちらへ向け、一歩、また一歩と近づいていった。


 ヴァイゼ大統領によれば、帝国側は逐一ちくいちこの場所を監視しているのだという。両国を結ぶ国境門なので、それも当然の話であろう。


 そして。


「クク。帝国では今頃パニックであろうな」


 ルイスの隣で歩を進めるのが、前代魔王――ロアヌ・ヴァニタスだ。言うまでもなく、前代魔王は帝国では恐怖の存在として知られている。


 この二人が共和国方面から侵入してくる……

 これだけで、帝国には相当のプレッシャーを与えることができるだろう。これもヴァイゼ大統領の策だ。


 前代魔王の言う通り、帝国は現在大騒ぎになっているだろう。こうして相手に絶宝球を使わせるのが目的だ。


「…………」


 ルイスは改めて、闇色に包まれた帝国をまじまじと見つめる。


 懐かしい。

 そんな感情が沸き起こってくるのは筋違いだろうか。


 自分が生まれ、そして四十年もの間、喜怒哀楽をともにした生まれ故郷。

 それがまさか、こういった形で帰ってくることになろうとは。


 当時はそれこそ、自国こそが正義だと思っていたから。


 みんな元気だろうか。アルトリアやフレミアも、健在であれば良いが……


「ルイスよ」

 ふいに、ともに歩く前代魔王が声をかけてきた。

「二千年近く、我も様々な人間を見てきた。その多くは、己や己に近しい者の利害しか考えていない者ばかりだった」


「…………」


「ルイスよ。貴様とエルガー・クロノイスだけは違った。かつて敵対してきた者さえも歩み寄ろうとしたのが……貴様らだ」


 そう。

 かつてルイス自身も思ったが、相手を悪と断じるのは、まさに自分の価値観でしかないことが多い。


 ルイスも昔、散々迫害されてきた。


 冒険者ギルドにとってはルイスが《悪》だっただろうし、ルイスもギルドの連中をずっと妬んでいた。


 でも、いまはどうだろうか。

 バハートとやみんなとも、現在は友好的な関係を築けている。

 結局は、互いが互いを遠ざけ、理解しようとしていなかっただけだと思う。


「ルイスよ」

 前代魔王が話を続ける。

「二千年前、エルガーは志半こころざしなかばで倒れてしまった。さぞ悔しかったと思う。出たくもない戦争に出向き、本当は殺したくない相手と戦う……その葛藤は想像するに余りある」


「…………」


「ルイス。貴様ならなんとかやっていけそうな気がするよ。かつて勇者が背負いきれなかった重責でも、貴様ならば……な」


「はん。でかすぎる責任だなそりゃ」


 だが、逃げるつもりは毛頭ない。


 俺がやらねば――誰がやる。


「ルイスよ。ともに生きて帰ろう。死ぬなよ」


「……お互い様にな。あんたこそ、死ぬんじゃねえぞ」


「もちろんだ。……我は定位置に出向く。達者でな」

 

  ★


 同時刻。

 帝都サクセンドリアの王城にて――

 

 皇帝ソロモアは、にやりと笑みを浮かべ、目前に表示されている映像を見やっていた。


 そこに映るは、中年の冒険者、ルイス・アルゼイド。

 決意をこめた瞳でもって太刀を構えている。


 帝国の魔術師が映し出した、国境の様子だ。


「やはり現れましたな。最要注意人物……ルイス・アルゼイド」


 隣に立つ大臣が小声で呟いた。


「うむ。やはり余の思った通りであった……」


 五百人あまりの《無条件勝利》使い。

 その壁を突破して、奴はここまでやってきた。

 やはり侮りがたい人物だ。


「陛下、どうなさいますか。やはり……」


「そうだな。それしかなかろう」


 こくりと頷くソロモア。

 五百もの《無条件勝利》を破ってきたのであれば、そこいらの戦士を派遣しても歯が立つまい。


 周囲に被害は出てしまうだろうが、こちらも最高の攻撃でもって出迎える必要があろう。


「《絶宝球》を発動せよ。あの大馬鹿者に、力の差を知らしめるのだ」


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