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最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る。  作者: どまどま@チートコード操作 書籍化&コミカライズ
【三章】 魔物界編 ~最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る~
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おっさんの進む道

 黒装束の二人と別れた後――


「ここだ。ついてきてくれ」


 フラムを先頭に、ルイス一行は徒歩を進める。


 薄暗く、明かりと呼べる物はなにもない。

 非常に狭い一本道を、ルイスたちは無言で進んでいった。ひたすらに続く暗い通路に、いい加減うんざりし始めた頃……


 ギィ……と。

 前方に二枚扉があったのだろう、フラムが片手で扉を奥方向へ押し出した。


「…………!?」


 そしてその先に広がる光景を見たとき、ルイスは心臓が飛び出るほどの衝撃を味わった。


「な……な……」

 思わず目を見開き、どでかい声を発してしまう。

「なんじゃこりゃあ!?」


 さきほどの仄暗ほのぐらい通路とは打って変わり、かなり派手な場所に出た。


 相当な広さである。帝都サクセンドリアの王城――そのエントランスホールにも劣らぬほどの大広間――が目の前に広がっていた。中央部分には謎の突起物が存在し、そこから色彩さまざまな光脈こうみゃくが四方八方に伸びている。それが縦横無尽に散りばめれているため、どこか幻想的な雰囲気を醸し出していた。


「ふふ。さすがに驚いたかな」

 そう言いながら振り向いたフラムも、すこし苦笑いを浮かべている。

「すんごいだろ? そこらじゅうで魔導具まどうぐが使われてんだよ」


「ま、魔導具……」


「フム。なるほど。たしかにすさまじい力を感じるな」

 さしもの前代魔王も、腕を組んで苦笑している。

「これこそが……二千年もの間、ユーラス共和国が絶宝球ぜつほうきゅうあらがうために作られた技術なのだろう。その証拠というべきか、この先にいるはずのレスト・ネスレイアどもの気配がまったくわからん」


「た、たしかに……」


 無意識のうちに目を瞬かせるルイス。

 言われてみれば、この先には凄腕の戦士たちが集っているはずなのに――その気配がまったく感じ取れない。これもまた、魔導具の効果だということか。なるほど、道理で見つからないわけだ。


 黙りこくる一同を見渡しながら、フラムはやや切なそうな表情で告げる。


「この隠し部屋はレスト大臣の家系が作り上げたものだ。きたる怨敵――エルガー・クロノイスの後継者。そいつとの対決に備えてな」


「勇者……エルガー……」


 そう。

 当時の皇帝に《無条件勝利》を与えられ、ユーラス共和国を打ち破ったエルガー・クロノイス。さぞ苦しみながら太刀を振るってきたことだろう。レストの遠き先祖も、勇者・・の手によって生を終えてしまった。


 ユーラス共和国はきっと、再び第二の勇者・・が現れると推測したのだろう。皇帝によって最強スキルを与えられ、再び悪夢を蘇らせる恐ろしき剣の使い手を。だからこそ、ここまで手の込んだ隠し部屋を作り上げたわけだ。


 ――おっしゃルイスさん! いっちょ俺とバトルしようぜ!――


 数日前、レストに言われた台詞を思い出す。


 ……バトル。

 二千年前の雪辱を晴らすため、徹底的に鍛え上げられた男の闇。

 それを垣間見た気がした。


 押し黙るルイスに向け、フラムは再度声をかけてくる。


「あんたには言うまでもないだろうが……レスト大臣は相当に強いぞ。加えて、Sランク級の戦士も仲間に入れている可能性がある。それでも……行くんだな?」


 ――たしかに。

 レストはおそらく黒装束どもを仲間に引き入れているだろうから、この先には油断ならない戦士が大勢控えているわけだ。


 こちら側も《絶対勝利》や前代魔王がいるとはいえ、気を抜くことはできない。言わば、両者ともにチート的存在だ。


 それでも。

 ルイスは決意を瞳に称え、しっかりと頷いた。


「当たり前だ。ここまで来て、引き下がるわけにゃいかんだろ」

「私もです。ここで引いたらカーフェイの名が泣きますよ」

「クク。我には聞くまでもなかろうて」


「……ふん。改めて、濃いメンバーだよなこれ」

 フラムはまたしても苦笑を浮かべると、ルイスたちに向けて大声を張り上げた。

「なら――もう迷わない。ここから先はさらに危険度が増すぞ。各自、全身全霊で進もう!」



 


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