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最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る。  作者: どまどま@チートコード操作 書籍化&コミカライズ
【三章】 魔物界編 ~最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る~
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信用の証

 黒装束の戦士――

 すなわち、以前レスト・ネスレイアが従えていた強者つわものたちだ。みなA~Sランク冒険者に相当する実力を備えており、過去、ルイスたちもおおいに苦戦した。


「…………」


 だが、前とはちょっと様子が違う。


 レストの洗脳術により、あのときは口を利けていなかったはずだが……いまは術が解かれているのだろうか。

 現在の黒装束たちからは明確な意志が感じられた。


「侵入者……? い、いや、違う、のか……?」


 互いに顔を合わせる黒装束。


 まあ、このメンバーを見れば当惑するのも無理はない。


 帝国人ふたり、共和国人ひとり、そして魔王……明らかに異質である。

 そんな彼らへ向けて、フラムが一歩近寄った。


「レスト大臣に会いにきた。私たちは協力者だ。そこを通してくれないか」


「あ、ああ……。あんたはたしかSランク冒険者の……うーん……」


 そこで黒装束の視線がルイスとアリシアに据えられる。とりわけ前代魔王に対してはかなりびびった反応を示している。


「フフ。そんなに怖がるな。我は優しいぞ? な?」


 二タァと不気味に笑う魔王に、ルイスは額をおさえながら言った。


「おまえは黙ってろ……説得力の欠片もない……」


「なんだと。それはなんとも失礼な――」


「俺のほうからもお願いしたい。この状況で帝国の人間なんぞ信用できねえのはわかってる。それでも……頼む」


 そう言って深々と頭を下げるルイス。


「おい、無視するn」


「私からもお願いします。帝国人として、皇帝ソロモアの独裁は放っておけません。ですから……」


 続けてアリシアも頭を下げる。真に相手のことを思った、心のこもった願いだった。


 最後にアルカナが歩み寄る。


「この方たちは私をここまで連れてきてくださいました。一定の信頼はできるものと思います」


「う、うむ。わかった。わかったからそんなに頭を下げないでくれ」

 黒装束のひとりが、やりづらそうに後頭部をかいた。

「実はな、ヴァイゼ大統領からも言われてたんだよ。あんた、ルイス・アルゼイドだろ?」


「ん? あ、ああ……そうだが……」


「大統領はあんたらが来る可能性も想定しててな。もし来た場合は通すよう言われてたのさ」


「な……マ、マジかよ……」


 思わず素っ頓狂な声を発すルイス。


 ヴァイゼ・クローディア。

 ソロモア皇帝には読み負けしたもの、さすが凄腕の策略家と呼ばれた男だ。この状況においてもその隻腕せきわんは健在ということか。


 黒装束は続ける。


「最初はなんでテイコーなんか通さなきゃいけねえのかと思ったが……なるほどな。あんたらなら信用できそうだ」


「そ、そりゃどうも……」


「だが、俺たちもつい最近ここに移動したばっかりでな。かなりバタバタしてんだよ。申し訳ないが案内まではできない。わかってくれ」


 まあ、それは仕方なかろう。


 ルイスたちを案内することよりも、ここの警備のほうが重要なのは誰でもわかる。


 それに――

 Sランク冒険者、フラム・アルベーヌがフフと笑って言った。


「案内なら心配いらない。私がちゃんと覚えてるさ」


「……ああ。あんたがいりゃ大丈夫だな」


 こくりと頷く黒装束。


 いわく、隠し部屋に到着するまではまだまだ距離があるようで、道中には罠であったり行き止まりであったり、かなり面倒な細工がなされているらしい。まあ、この隠し通路が作られた経緯を考えればそれも当然の話である。


 ルイスはこくりと頷くと、フラムを見つめて言った。


「フラム。申し訳ないが、引き続き案内は頼めるな?」


「おう。任せておくがいいさ」


 がつんと両の拳をぶつけるフラム。


 一同が気合いを入れ直した、その片隅で……


「――みんなして我を無視しおってからに……」


 ひとりだけいじける前代魔王だった。

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