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最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る。  作者: どまどま@チートコード操作 書籍化&コミカライズ
【三章】 魔物界編 ~最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る~
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ルイスのアイディア

 瓦礫が多く積まれた場所。


 ルイスたちは一時、そこに身を隠すことにした。どうやらここは首都の外れのようで、兵士はたいして見当たらない。すこしくらいは時間が稼げるだろう。


 全員が地面に腰を落ち着けたところで、ロアヌ・ヴァニタスが

「さて」

 と切り出した。


「ユーラスの住民よ。申し訳ないが、その赤子は眠らせても構わないか? また騒がれると困るからな」


「え……」


 目をぱちくりする女性。

 ここに来るまでの道中ですこしだけ会話を交わしたが、名前をアルカナと言うらしかった。


「なに。すこしのあいだ睡眠させるだけだ。後遺症などは残らんから、安心するがよい」


「はい。そうですね……。それがいいと思います」


「ふむ。申し訳ないな」


 ロアヌ・ヴァニタスは手をかざして謝る素振りを取ったあと、その手を緑色に輝かせた。


 すとん、と。

 魔王の魔法にかかった赤ん坊が、ゆっくりと眠りに落ちる。正直あまり良い光景ではないが、この場合に至っては仕方ないだろう。


 ルイスは周囲を見渡し、兵士がいないのを確認してから、小声で言った。


「そんで、アルカナさん……だっけか。あんた、どこに向かおうとしてたんだ? ただ逃げ回ってるようには見えなかったが」


「えっと……」


 アルカナは不安そうにフラムを見やる。

 そんな彼女に向け、フラムはにっこり笑ってみせた。


「気にしなくていい。こいつらは信用できる。それは私が保証しよう」


「わ、わかりました。それなら……」

 アルカナはすっと息を吸い込むと、改めてルイスたちを見回した。

「フラムさんはご存知だと思いますが、ユーラス首都の地下に、大きな隠し部屋が存在するのです。そこで……ヴァイゼ大統領やレスト大臣が、逆転の機会を窺っているという話を聞いたんです」


「そ、そうなのか……」

 大声を発しそうになるのをなんとかこらえるルイス。

「じゃあ、あんたはそこに向かおうとしてたってわけだな?」


「はい。そこには多くの兵士もいるようですし、一番安全なところかと思って……」


「そういうことか……」


 レスト・ネスレイア。

 彼の手腕を思えば、たしかにその隠し部屋とやらが一番安全といえるだろう。むろん、AからSランク級の戦士もいるに違いない。


「なるほどですね。その情報はたぶん帝国にも出回っていませんから、ソロモア皇帝が手を焼くのも無理はありません」

 アリシアもうんうんと頷いている。

「でも……大丈夫なんですか? その隠し部屋に着くまでに、何人の兵士に見つかることやら……」


「…………」


 そこでアルカナは顔を伏せてしまう。


「仕方ないんです。……だって、私たちにはもう、安心できる場所なんて……!!」


 アルカナの声がわずかに震えだした。感情が抑えきれなくなったのか、そのまま顔を両手で覆ってしまう。


「なんで……なんですか。私たちは普通に暮らしてただけなのに……なのに……!!」


 その言葉に感じ入るところがあったのか、フラムも同様に顔を逸らしてしまう。


 故郷を侵略され、無事に明日が迎えられるかもわからない状況。その辛さは想像に難くない。


「…………」

 ルイスはしばらく黙考したあと、改めてアルカナを見やった。

「なら、俺たちがそこまで護衛するよ。そんで――レストたちにも会いにいく」


「ほう……?」 


 ロアヌ・ヴァニタスがニヤリと片頬をあげる。


「まさかとは思うが、貴様……?」


「ああ。そのまさかだ。レストたちに協力を要請する」


「ええっ……!?」

 大きく目を見開くアリシア。

「と、とんでもないアイディアですね……! でも、いいかもしれません……!」


 レスト・ネスレイア。

 二千年前の悔いを晴らすため、修行に明け暮れてきた男。 


 信用してもらえるかはわからないが、もし共闘を組めれば――この上なく頼りになる戦士である。


「ふふ。相変わらずとんでもないな。あんたたちは」

 フラムもさすがに苦笑いを浮かべていた。

「私としても助かるよ。この状況を放っておくわけにはいかないからな」


 そしておもむろに立ち上がると、ルイスたちに向けて輝く瞳を向けた。


「それなら――ついてきてほしい。隠し部屋までの道のりは、たぶん私が一番詳しい」





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