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最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る。  作者: どまどま@チートコード操作 書籍化&コミカライズ
【三章】 魔物界編 ~最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る~
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おっさんたち、最強を極める

「ぐ……はぁ……はぁ……」


 ルイス・アルゼイドは太刀を地面に突き立て、片膝をついた姿勢で荒い呼吸を繰り返していた。


 これは――かなりきつい。

 前方からは、いまだおびただしい古代魔獣がにじり寄ってきている。もう相当数を蹴散らしたはずだが、まだゾンネーガ・アッフの大群が消える気配はない。紅の瞳に明確な戦闘本能をたぎらせ、一歩、また一歩と近寄ってくる。


 横を見れば、アリシアやフラムも激しく肩を上下させている。気持ちでは負けていないが、身体がついていかない――そんな様子だ。


 だが、その代わりに得るものも多かった。


《経験値二倍》の効果と、多くの古代魔獣を倒すことにより……信じられないほど経験値が溜まっていくのだ。ルイスが何度か太刀を振り回すたび、レベルアップの表示が視界に映り込む。


 それでいて、《無条件勝利》の精度が高まっていくのも確かに感じ取れるのだ。


 実際にも、ルイスは修行開始から現在に至るまで、ずっと《無条件勝利》を使用中である。おかげでさすがに疲れてしまったが、昔よりはるかに動けるようになっていることは間違いない。


 この修行……苦しいが成果は確実に現れてきている。


 と、そのとき。


 ルイスは大きく目を見開いた。

 自身を優しげな新緑の輝きが包み込んだからだ。それと同時に、限界だった体力がほぼ全快近くまで回復する。


「こ、これは……」


 再び横を見やると、アリシアが杖を構えているのが確認できた。


「お……?」


 同様の輝きがフラムにも訪れる。彼女も体力を取り戻したようだ。


「アリシア……おまえ、まだ《完全回復エターナルヒールを使えたのか》」


 掠れる声を発するルイス。

 この修行中、アリシアは何度もルイスとフラムに回復魔法をかけてくれた。いままでの彼女ならば、とうにMPの限界が訪れているはずだが……


「うっふん」

 アリシアは大きな胸を誇らしげに張った。

「強くなってきてるのはルイスさんだけじゃないですよ。私だって――ほら!!」


 アリシアは前方に杖を突き出すと、瞳を閉じ、例のわけわからん呪文を唱え出す。


「我が源に秘められし力の奔流よ。いまより深淵を呼び起こし、その力を顕現せよッ!」


 いつもながら、その臭い詠唱、よくスラスラと思いつくものである。


 ――と。


 前方向、ゾンネーガ・アッフたちのひしめく地上が、ぐにゃりと歪みだした。


 次の瞬間。

 ルイスは思わず

「うおっ!」

 と言って後ずさる。


 ズドォン! というすさまじい衝撃音とともに、地表から巨大な槍が突き出されたのである。なんとも禍々しい大槍だ。小さな山くらいの規模はあるのではないか。


 そんな物騒なモノが、次から次へと各所から湧き出てくるのである。これに驚かないほうがおかしい。


 さしものゾンネーガ・アッフもこれは堪えるようで、あちこちでぎゃあぎゃあと悲鳴をあげている。直撃した者はそのまま貫かれ、ぴたりと動かなくなる。なんとか免れたとしてもかなりのダメージを被るようで、地面に這いつくばったまま苦しそうにもがいている。


 ちなみに、ここでHPが切れたゾンネーガ・アッフはそのまま魔物界に転送される仕組みになっているようで、実際に死ぬわけではないという。最初にロアヌ・ヴァニタスがそう教えてくれた。


「ほう……」

 脇で戦いを見守っていたロアヌ・ヴァニタスが感心の声を発する。

「エルガーの相棒が得意としていた魔法のひとつだな。完璧に使いこなしてるじゃないか」


「魔王よ、そんなにこいつを誉めないでやってくれ。すぐに調子乗るからな」


 ため息を吐くルイスに、アリシアが不満そうに頬を膨らませた。


「むう、ルイスさんひどい。こういうときは素直に誉めてくださいよ」


「はいはい。わかったわかった」


 ルイスはひょいと肩を竦めた。


「クク、これなら我が回復せんでもいけそうだな。よし貴様ら、このまま自力であのゾンネーガ・アッフを倒せ!!」


 またも無茶ぶりする前代魔王だった。

 


 

 

  

 

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