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最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る。  作者: どまどま@チートコード操作 書籍化&コミカライズ
【三章】 魔物界編 ~最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る~
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おっさんの歴史と勇者の歴史 2

 前代魔王いわく――


 この世界には、六つの宝級ほうきゅうなるものが存在するという。


「それぞれが絶大なる力を有していてな。望むものをすべて実現化したり、死者と生者を入れ換えたり……この世のことわりを超えた力を持つ球……それが宝球ほうきゅうだ」


 そして、あのとき皇帝ソロモアが使用したのも、その宝球のひとつ――絶宝球ぜつほうきゅうというらしい。


 絶宝球ぜつほうきゅうの効果は《絶対勝利》。


 どんな相手とも無条件に勝利する、この世の理解を超えた力……


「な……」

 そこまでを聞いて、ルイスはぞっとした。

「絶対勝利……そりゃあまさか……」


「その通り。貴様の持つ《無条件勝利》と酷似しておるな」


「どういうことだ……。《無条件勝利》はその絶宝球と関係あるのか……?」


「そう慌てるな。いまから順序立てて話すところだ」


 二千年前。

 サクセンドリア帝国とユーラス共和国は、現在と違い、友好的な関係を築いていた。


 正式な手続きさえ踏めば、たとえ一般人でも自由に出入りできる状態だったのである。


 両国のトップも仲が良く、公式・非公式を問わず、頻繁に会食を繰り返し、ともに今後の展望を話し合っていた。


 その平和を打ち破ったのは当時のサクセンドリア帝国の王――名をギルバースといった。


 ギルバースは野心の強い男だった。

 表向きは良い顔をしていながら、その裏で、世界のどこかに潜んでいるという宝球ほうきゅうを探し求めていたのだ。


 その妄執は尽きることを知らない。

 秘密裏に捜索部隊を作成してまで、ギルバースは長い間宝球を求め続けてきた。


 その甲斐あってか、ついにギルバースは絶宝球ぜつほうきゅうを見つけてしまう。


 絶宝球――すなわち、絶対勝利の力。


 これさえあれば世界を掌握できると踏んだギルバースは、大胆にも全世界へ向けて宣戦布告した。


 ロアはあくまでも淡々と語る。

 

「絶宝球の力は文字通り絶対的でな。これに多くの者が翻弄されたのだよ」


「……そんなことが……」


 ルイスは思い出す。

 あんなに強かったレスト・ネスレイアでさえ、帝都から放たれた可視放射によって一撃で沈んでしまった。


 どんな相手でも無条件に勝利する、まさに理を超越した力……


 黙りこくる一同に、魔王はさらに話を続けた。


「これに危機感を抱いたユーラスの大統領は、ある種族に協力を依頼した。それが我々――魔物界の住人だ」


「マジかよ……!」


 なるほど。

 そう繋がってくるわけか……


「実は、この魔物界にもひとつだけ宝球が存在してな。鏡宝球きょうほうきゅう……ステータスやスキルをコピーする、こちらも理を超えた力を誇っている」


「…………」


「当時、我が魔物界は殺伐とした世界でな。人間なぞに協力する義理はなかったのだが……絶宝球の脅威がこちらにまで及び、そうは言っていられなくなったのだよ。鏡宝球の力も借りて、我々はついにいいところまで帝国を追いつめた」


 ごくり、とルイスは唾を飲む。

 ロアヌ・ヴァニタスはそこでふうと息を吐くと、やれやれと言ったように肩を竦めた。


「焦ったギルバースは、絶宝球の力の一部を誰かに譲ることにした。その人間に我々を倒してもらおうとしたのだよ。だが精鋭の兵士は多くが戦死してしまっている。だから適当な人物を見繕うことにした。無能だが、それゆえに真面目で、扱いやすい青年――それがエルガー・クロノイスだ」




 

 

 

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