表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る。  作者: どまどま@チートコード操作 書籍化&コミカライズ
【三章】 魔物界編 ~最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る~
140/194

前代魔王ロアヌ・ヴァニタス

 身体を洗い、心身ともにさっぱりしたルイスたち。


 まさか魔物界で入浴することになるとは思っていなかったが、おかげでさっぱりすることができた。湯船に浸かったのも本当に久々だ。お湯になんらかの補助魔法でもかけられていたのか、妙に身体がホクホクする。


「やー。気持ち良かったですねー」

「ああ。生き返った気分だよ」


 続けて、アリシアとフラムも風呂場から姿を現す。


「良かったな。さあ、二人とも早く服を着るんだ」


 うわずった声で呟くルイス。

 言うまでもなくかなり際どい格好をしているので、ルイスとしてはどんな顔をしていればいいのかわからなかった。


「あ。ルイスさん。ひょっとして照れてるんです?」

「あんなに激しい戦い(意味深)をした後じゃないか。そんなに恥ずかしがることはないだろう」


「て、てめぇら……!」


 アリシアとフラムはさっきの入浴でかなり打ち解けたようだ。フラムが胸部の大きさついて質問をしたのをきっかけに、アリシアが楽しそうにご高説を始めたのである。


 もちろん、そのときもルイスはどんな顔をしていればわからなかったので、ただひたすらに真顔だった。


「うふふ。冗談ですよ。すみません、からかっちゃって」


 アリシアは悪戯っぽい笑みを浮かべると、これまたロアの用意した肌着を羽織る。ちなみに同じようなものがルイスとフラムの分も用意してあり、ご丁寧なことにサイズ感までぴったりだ。


 なんという至れりつくせり。

 有り難い話ではあるが、かといって、ここが魔物界であることを忘れてはならない。


 だからアリシアもフラムも、入浴を楽しみながらも油断だけはしていなかった。なにせここは魔獣の住まう村。案内役のロアヌ・ヴァニタスを含めて、味方であるという保証はどこにもない。


「さてと。どうする、これから」


 そう言ったのは、同じく肌着をまとったフラムだ。


「そうだな……。とりあえず、ロアの話を聞いてみてもいいんじゃないかと思う。あの《闇の壁》にしても、勇者エルガーにしても、あいつなら色々知ってそうだからな」


「そうですね。それがいいと思います」

 とアリシアも同意を示した。

「なんとなくですけど……ロアちゃんは私たちの味方だと思います。もし敵だったら、私たちを倒す隙なんでいままでいっぱいあったはずですから……」


「そうだな……」


 それについてはルイスも同感だった。


 前代魔王、ロアヌ・ヴァニタス。

 警戒は怠れないが、すこしくらいは信用してもいいだろう。


「じゃ、決まりだな。ここは魔物界だ。警戒だけは忘れるなよ」


「はい!」

「りょーかい」


 かくして、ルイス一行は脱衣所を後にしたのだった。






「――どうだ、さっぱりしただろう」


「…………」


 居間に戻ったルイスたちを出迎えたのは、椅子にもたれかかり、なんか濁った液体を飲用している前代魔王だった。


 魔物界にも書物があるようで、片手に古びた書籍を持っている。


「…………」


「なんだその目は。おまえたちもこれを飲みたいのかな」


「いや、そうじゃなくてな……」


「これは元気が出るぞ。ブラッドネス・ドラゴンの鼻くそが材料になっていてな――」


「聞いてねえよ」


 というかブラッドネス・ドラゴンの鼻くそ入ってんのかよ。

 という突っ込みをなんとか飲み込み、ルイスはため息をついて言った。


「教えてくれ。おまえの目的はなんだ。こちとら、まだなんにもわかってねえんだよ」


「ほう。そうだったな」

 ロアは書物を脇のテーブルに置くと、ふわわわぁと両手を伸ばした。

「心配せずとも、これから話すところだ。いま村長に飯を作らせている。話はそのときでいいだろう」


「め、飯……?」


 その言葉を聞いた途端、後ろのほうでぎゅるるるるぅという盛大な音が聞こえた。

 振り返ると、フラムが恥ずかしそうに腹を抱えているのが見えた。


 ロアはくくくっと笑うと、紅の眼窩でルイスらを見渡しながら言った。


「焦る気持ちはわかる。だが、いまの貴様らに必要なのは休むことだ。いままでさんざん動いてきたんだろう」


「…………」


 ルイスはしっかりとロアの目線を受け止めると、はぁとため息をついて言った。


「そりゃま、確かにその通りだとは思うよ。だが、おまえさんに言われても違和感しかなくてな」


「え……!?」


 え、じゃねえよ。


「――本当に、しばらく厄介になってもいいんだな?」


「構わぬよ。さっきからそう言っておろうが」


 やれやれと肩を竦める前代魔王だった。


 

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
画像のクリックで作品紹介ページへ飛べます。 さらに熱く、感動できるような作品にブラッシュアップしておりますので、ぜひお求めくださいませ! 必ず損はさせません! i000000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ