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最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る。  作者: どまどま@チートコード操作 書籍化&コミカライズ
【三章】 魔物界編 ~最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る~
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魔王、おっさんの味方になる

 静寂が周囲を包み込む。


 ルイスはもはや、一言も発することができなかった。


 信じられなかったのだ。

 帝国人が、共和国の人々を《イチ》と呼び、なかば奴隷のように扱っている……


 知らぬ間に、故郷の権威が飛躍的に高まっている……

 言ってしまえば立場の逆転だ。


 いままで《テイコー》などと蔑まれていた人々が、同じように異国人を迫害している。


「う、嘘だろ……なんだよ、これ……」


 フラムに至っては、もやを凝視したまま虚ろな声を出す始末である。

 彼女もまた、この現実を信じることができないのだろう。


「これが奴の――ソロモア・エル・アウセレーゼの目的なのだよ」

 ふと、ロアヌ・ヴァニタスが静寂を破る。

「圧倒的なる力と知略で、世界のすべてを支配する。二千年前も――当時の皇帝が同様のことを行おうとした」


「二千年前……」


 ルイスはぽつりと反芻はんすうする。


 魔王はこくりと頷いた。


「しかり。これに危機感を抱いた当時のユーラス共和国が、我々に結託を求めてきた……これが真実だ」


「…………」


 なんと。

 これではまるで帝国が――生まれ故郷が悪者ではないか。


 ――俺たちは正義のために戦ってるに過ぎねえ――


 かのSランク冒険者、レスト・ネスレイアの言葉を思い出す。

 真なる黒幕はヴァイゼ・クローディアでもレスト・ネスレイアでもなく、皇帝ソロモアだったということか……


 ロアヌ・ヴァニタスの言葉が真実であるという確証はないが、これまでの不可思議な出来事を考えると、ぴたりと整合するのだ。


 帝国にだけやたら出現する魔獣。

 神聖共和国党しんせいきょうわこくとうの工作活動に、まるで手を出してこなかった皇帝。


 そうと気づけなかっただけで、ヒントはそこらじゅうに広がっていたわけだ。


 それに……帝国全土に展開された闇の壁。

 あんな物騒なものを見てしまっては、魔王の言葉に説得力を感じざるをえない。


「教えてくれ。あの闇の壁はなんなんだ。とんでもない力は感じたが……」


「…………」


 魔王は数秒だけ黙りこくると、片手をかざし、もやを消滅させた。続けてこちらを振り向いて言う。


「……気になるところだろうが、その前に身体を休めてほしい。この危機を救えるのは、ルイス……アリシア……おまえたちだけだ」


「なに……?」


「わ、私もですか……?」


「うむ。だが、まだ二人ともスキルの使い方が未熟に過ぎる。気づいただろう。いまの貴様らでは、あのレスト・ネスレイアにさえ適わない」


「…………」


「いまはゆっくり休み、力を蓄えるがいい。この世界は我の庭のようなものだからな。来い、盛大にもてなしてやろうぞ」



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