表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/194

おっさんたち、古代魔獣を相手に楽勝である

「すげえ……」

「あの化けモンを、たった数分で……」


 ルイスたちの戦いっぷりを、数人の冒険者たちが呆気に取られたように眺めている。


 彼らも彼らで仕事をきちんとこなしてくれているようだ。さきほどまで村を蹂躙じゅうりんしていた神聖共和国党しんせいきょうわこくとうの党員が、見る影もなく減ってきている。制圧は時間の問題だろう。


「よ。お疲れさん」

「お疲れ様でした」


 アリシアとフラムが口々に労いの言葉をかけてくる。まだ事件そのものが収束したわけではないが、あとは他の冒険者に任せておけば大丈夫だろう。それくらいに圧倒的な戦況だった。


 村民の避難誘導も済んでいるようだ。


 警戒だけは怠らず、ルイスも二人に労いの言葉をかける。


「二人ともいい戦いぶりだったぞ。あの古代魔獣をものの数分で倒せるとはな」


「あはは。たしかに、いままでの戦いとは段違いでしたね」


 嬉しそうに後頭部をさするアリシア。


 ブラッドネス・ドラゴンを始めとする古代魔獣とは、それぞれ状況は違えどかなり苦戦を強いられてきた。


 それがなんの問題もなく討伐できたのだから驚きだ。これもフラム・アルベーヌ――Sランク冒険者が協力してくれたおかげだろう。


「あんたら、いままでこんな化け物と戦ってきたのかよ? いったいどんなヤベェ奴を敵にまわしてんだ」


「……さあな。そりゃ俺が知りたいくらいだよ」


「ふん。こりゃあ、改めて後で話し合いを――」


「や、やめろォォォォォオ!!」


 ふいに叫び声が響きわたり、ルイスたちの会話は中断された。


 視線をそちらに向けると、どうやら最後の神聖共和国党しんせいきょうわこくとうの絶叫だったようだ。何人もの冒険者に囲まれ、真っ青な表情で尻餅を着いている。


「お、おまえらには共和国人としての誇りはないのか! い、生きていて恥ずかしくないのかよ!」


「ふん……おまえたちこそ、完全に頭がいかれてしまったようだな。まさか自国で暴れ出すとは」


「お、おまえたちは騙されている! あのユーラスの大統領にッ!」


「はぁ? 大統領?」


「そうだ! だって、俺たちは――カハッ!!」


 突然――それはあまりに突然だった。


 どこからともなく可視放射が放たれ。

 それは的確に党員の胸部を貫き。


 神聖共和国党しんせいきょうわこくとうの党員は、呆気なく地面にひれ伏せた。白目を剥いたまま、動き出す気配もない。死に際に吐いた血液だけが、空しく地面を赤く染めている。


「…………!?」

「な、なんだ……!?」


 周囲を囲っていた冒険者たちが、口々に喚き声を発する。いまの攻撃は彼らが行ったわけではないようだ。


 では、いったい誰が……?


 そこまで考えて、ルイスがぼんやりと可視放射の発生地点を見やったとき、思わず目を見開いた。


 ――まさか、あいつは……!


「ふう。やれやれ。困ったものだな。簡単に口を割るとは」


 そいつ――黒装束をまとった謎の男がそこにいた。顔面を覆っている暗色の兜といい、さきほど襲ってきた集団と同じ身なりをしている。


「嘘……なんで、あいつがここに……!?」


 フラムもさすがに動揺してしまっっているようだ。


 無理もない。

 連日襲ってきた謎の集団が、まさか神聖共和国党しんせいきょうわこくとうを始末しにくるとは。いったい何者だというのか……


「さて。そろそろ終いにしようか。このようなことに時間を割きたくはない」


 黒装束はそう呟くなり、パチンと指を鳴らした。


 瞬間――どこからともなく、同じような格好をした黒装束の連中が現れ、あちこちに転がる神聖共和国党しんせいきょうわこくとうのメンバーらを抱えていく。なかには死亡した党員もいるだろうが、まとめて持っていく算段のようだ。


「冒険者諸君。後始末は我らが受け持とう。もう帰るがよい」



 

 

 

 


新作を公開しております。

ぜひお越しくださいませ!

リンクは下部にございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
画像のクリックで作品紹介ページへ飛べます。 さらに熱く、感動できるような作品にブラッシュアップしておりますので、ぜひお求めくださいませ! 必ず損はさせません! i000000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ