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糸稲依心

 今までの人生を私は、ひどく怠慢に過ごしてきた。そうできたのは偏に、私が大した望を抱かなかったからだと思える。

 私は今のところ、一介の高校生ではあるがそれでも、この世界がどのようなものなのかは概ね理解できているつもりでいた。だからこそこの出会いは、私にとってはまさに青天の霹靂だった。


「ま、魔法少女⋅⋅⋅⋅⋅⋅?」


(この子は一体何を言っているんだろう?)


 言葉の意味はわかるのにまるで理解できない。


(夢⋅⋅⋅⋅⋅⋅だよな? バイトの帰りの電車の中で、何て夢だ⋅⋅⋅⋅⋅⋅)


「──なので、本当ならあなたの記憶も消さなくちゃいけないんですけど、さっきも言った通り魔力が切れてしまって⋅⋅⋅⋅⋅⋅ど、どうしよう⋅⋅⋅⋅⋅⋅?」


(金髪碧眼童顔ロリ巨乳⋅⋅⋅⋅⋅⋅ニーハイブルマーセーラー⋅⋅⋅⋅⋅⋅これが最近の⋅⋅⋅⋅⋅⋅小学生⋅⋅⋅⋅⋅⋅?)


「本当にどうしたモノだろうね?」


(な、なんか変なの現れ⋅⋅⋅⋅⋅⋅なんだ? あの謎生物? 鳥? ワニ? 蛇? なんか⋅⋅⋅⋅⋅⋅キモ⋅⋅⋅⋅⋅⋅)


「あの、なんだかよくわからないけどさ、魔力? が回復するまで待ったりしちゃダメなの? 回復にどれだけかかるのかわからないけどさ」


 当たり前でありきたりな提案。謎生物がやけに神妙な面持ちで答える。


「あーね。普通そう考えるよね。でもねー、魔力が少しでも残ってれば回復が早いんだけど、魔力がないとなぜだか回復がすごく遅いんだよね。というか魔力が戻らない可能性も大いにあるんだよね。むしろ僕はそっちを心配しているね。君には申し訳ないんだけどね」


(⋅⋅⋅⋅⋅⋅よく分かんねーけど、まぁ、そういうもんなんだろーな)


 いまいち事態が呑み込めていない俺だが、特に焦る必要もなし。どうせ夢だし。

 ⋅⋅⋅⋅⋅⋅なんか変な夢だし、もう少しこのまま⋅⋅⋅⋅⋅⋅


「えーっと? もし魔力が戻らなかった場合、俺の記憶は消せなくなる? けど、その時俺はどうなるんだ?」


 これも至って普通すぎる疑問質問。相変わらず俺はこの上なく普通だな。

 いつまでたってもあたふたしている変態的な魔法少女。答えられそうにないのでまたも謎生物の方を見る。


「普通なら他の魔法少女が記憶を消しに来るところだね。協会に連絡すればすぐにでも誰か来て、記憶を消してもらって、この一件はそれでおしまいだね」


 そう言うなり謎生物は、どこからかガラパゴス携帯を取り出しかけ始めた。


(すごく扱いづらそう)


 謎生物がすごく変な体勢ですごく頑張ってガラケーを操作している隣で、変態魔法少女はパニクりすぎてとうとう嗚咽り始めた。


(なんなんだ、こいつら⋅⋅⋅⋅⋅⋅)


 しばらくして謎生物が体を翻してこちらに向く。


「ごめんね。捕縛するね」


(言葉数っ!)


「いやいや、おいちょっと待て。説明! 省くな!」


「あっはっは。すまないね。めんどくさいと思ってね


(こいつ一発位殴ろうかな?)


 まぁ簡単に言うとね、すぐに来れる魔法少女がいないから他言されぬよう身柄を預かろうってことね」


 なるほど捕縛。全然納得できる。夢じゃなけりゃキレてる。

 謎生物は補足を付け足す。


「長くても2、3日程ね。それにどうせその間の記憶も消されるね。心配ないね」


(なんてーか、テキトウだなぁ)


 変態少女が泣き止み始めたと思ったら今度はキョドり始めた。


「Eちゃん。なんとかならないかな? それじゃさすがに申し訳無さすぎるよ」


 魔法少女がこちらをチラチラ見ながら謎生物と話す。謎生物が若干困った顔をしているように見えた。


 そして


 不意打ちのごとく唇を重ねられた。

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