窮地と全ての召喚獣
数週間前くらいから陳留付近にて賊やモンスターが出現し、撃退するために多くの武将が陳留から離れてしまった。
その隙を狙い手薄になった陳留を悪魔長の一人・べリアル率いるモンスター軍団が攻めてきたのだった。
その数日前
春蘭「何ぃっ!!陳留がモンスターの大軍に襲われているだと!?貴様、一体どういうことだ!! 」
ぐいいっ!!
報告しに来た兵士の首を絞める春蘭
兵士「ど…どういうことだと言われましても!?じ…自分は全てを話しただけでして…!? 」
春蘭「だからどういうことだと聞いてるのだろうが!! 」
ぐいいっ!!
更に首を絞める力を強める春蘭
秋蘭「姉者、それ以上絞めたらそいつが死ぬぞ!? 」
春蘭「おっと、そうであった 」
パッ!
首を絞める手を離す春蘭
秋蘭が声をかけてくれたおかげで一人の兵士の命が助かったのだった。
季衣「それよりどうしますか春蘭様! 」
流琉「こういうのも何ですが今から陳留に戻っても… 」
確かに流琉の言うように今から急いで陳留へ戻ったとしても華琳の命が無事という保証は何処にもない
それにまだ賊を討伐しきっていない
だが
春蘭「決まっているだろう!全軍撤退!今すぐ陳留へ戻るぞ!!華琳様をお助けするのだ!! 」
賊の討伐よりも華琳の命を優先する春蘭であった。
一方、同時刻にて
マリア「何よこれ!? 」
マリアがタロット占いをしてみた結果
バァンッ!!
出たのは不吉を意味する
正位置の『死神』であった。
霞「何か見るからに不吉な札やなぁ 」
香風「意味は? 」
マリア「・・・ 」
香風「? 」
カードの意味を聞く香風に答えないマリア
余程出た札が悪かったらしい
マリアの持つタロットカードは一刀の持つマジックタロットより当たる確率は低い
だが『死神』というカードが出た以上、不吉なことが起こる可能性が高すぎる。
そして
マリア「霞、香風、今すぐ陳留へ戻るわよ!今すぐ戻れば間に合うかもしれないわ! 」
霞「そやな 」
香風「急ぐ 」
マリア達もモンスター討伐を一時中断し、陳留へ戻ることにした。
マリア「(待ってなさいよ一刀!) 」
それぞれが離れた場所にて陳留へ向かうことにしてから数日後の現在にて
ギャシャアァーッ!!
町人「うわあぁーっ!? 」
陳留の町を進軍してきたモンスター軍が襲い、その猛威は町人に襲いかかっていた。
だが
凪「ハァッ!! 」
ドカァッ!!
ギャシャアァーッ!?
凪「ここは危険です!早く安全な場所へ逃げてください! 」
町人「は…はい!? 」
唯一陳留に残っていた凪達警邏隊
そして
一刀「火球を放て!ファイヤーボール!! 」
ドォンッ!!
魔法使いである一刀が頑張っていた。
沙和「隊長、ライラは呼べないの!? 」
一刀「さっきから呼んでるんだが、どうやらあいつ眠ったらしくてな、一度眠るとなかなか起きないんだよ 」
真桜「ウチらがこない大変な時に寝とるやなんて!! 」
沙和「ずるいなの!! 」
凪「そんなこと言ってる場合か!!こうなったら我々だけで頑張るんだ!! 」
皆が必死で戦うなか
一刀「(くそっ!!こんなにモンスターがいるんじゃ『豊胸無双』も『魔導剣聖』も使えない!?) 」
豊胸無双…対象となる女性のおっぱいを揉むことでその女性の戦闘能力を一刀が使うことができる個人魔術。対象となる女性が貧乳だと使えない
魔導剣聖…魔力を使って黒い鍵を作り、その鍵を自身に使うことで一刀に秘められたもう一人の存在である最強剣士を呼び出す個人魔術。発動に時間がかかりすぎる。
どちらも相手が一人〜少数の相手のみ有効だが、今回のように相手が大軍だと時間切れになって窮地に陥ってしまう。
一刀「(だとしたらあれしかないな!) 」
スッ!
一刀は全ての指に十個の召喚リングをはめると
一刀「今こそ集え!我が仲間達!! 」
カァッ!!
呪文を唱え、リングが光った瞬間
ミノタウロス「モオォーーッ!! 」
ミノタウロス
『ゴゴゴッ!! 』
アイアンゴーレム
わんっ!!
ケルベロス
フィーネ「お呼びですかご主人様? 」
フィーネ(エルフ)
ケロッ!
サラマンダー
ピキッ!
スライム
スフィンクス「呼ばれて参上にゃん 」
スフィンクス
以蔵「出番ですかい! 」
鎌鼬の以蔵
キキィッ!!
チキチィッ!!
グレムリンのグレムとムーリン
ボシュシューッ!!
クラーケン
バァンッ!!
一刀は自身が持つ全ての召喚獣を呼び出したのだった。
一刀「すまないがみんな、手分けして町を守ってくれ! 」
武将が少ないこの状況
手数を増やすために一刀が全ての召喚獣を呼び出すことは既に悪魔軍にバレていたりする。
悪魔軍最後尾
べリアル「フフフッ!北郷一刀よ、デビバットが集めた情報によりやはり奴は全ての召喚獣を呼び出したか、その時が我が悪魔軍の勝利だとも知らずに 」
勝利を確信するべリアル
デビバット「あのぅ、どういうことでしょうかべリアル様? 」
べリアル「わからぬかデビバットよ、魔法使いが召喚獣を持てるのは原則として一体と決まっている。それは己が持つ魔力が関係しているからだ 」
それでも一刀が十体もの召喚獣と契約できるのは一刀の魔力が他の魔法使いより多いからである。
べリアル「だが、奴が他の魔法使いよりどれだけ魔力が高かろうと十体全てを操るには膨大な魔力を必要とする。奴とて全ての召喚獣を操るには魔力が足らない。もってあと数時間といったところだろう 」
べリアルは全てを計算していたのだ。
べリアル「そして儂の手には奴が魔力切れになり切り札として『豊胸無双』や『魔導剣聖』を使ったところで敵わないモンスターがいる 」
もはや一刀に手はないのだった。
べリアル「さて、奴に一言申してやるとするか 」
デビバット「へっ? 」
べリアル「追い詰められた者ほど焦るものだからな 」




