手薄の陳留軍とべリアル
それはある事件が起こる数週間前であった。
秋蘭「それでは行って参ります華琳様 」
華琳「えぇ、我が軍の力を賊に見せつけてやりなさい 」
春蘭、秋蘭、季衣、流琉は近くに賊が現れたというので迎撃しに向かった。
季衣「ほら春蘭様、行きますよ 」
春蘭「うぅっ…。やはり華琳様と離れたくないーっ!! 」
今回出向く先は陳留からかなり離れているため春蘭は離れるのを嫌がっていた。
流琉「早く賊を撃退すればそれだけ早く帰れますよ 」
流琉の言葉を聞き
春蘭「待っていろよ賊め!この私が一人残らずぶっ飛ばしてくれる!! 」
ゴォッ!!
燃えまくる春蘭であった。
それから少しして
マリア「遠くの町でモンスターが現れたそうなので迎撃しに行くわ 」
霞「ウチも行ってくるで 」
香風「シャンも 」
マリア、霞、香風も陳留から離れていき
ライラ「最近おもしろいこともないし、僕はちょっと休ませてもらうよ 」
ライラも魔方陣を通って眠ってしまった。
これで陳留に残るのは華琳、一刀、凪達警邏隊、桂花達三軍師のみとなった。
普段なら特に問題ないのだが
よりにもよって
いや、計算されたのかもしれないが
こんな時に陳留を守る将達が少ないのだった。
そして、事件当日の朝
一刀「マジックタロットよ、今日の運勢を占いたまへ!! 」
久々に一刀がマジックタロットを使って占ってみた結果
シュシュシュッ!
一刀「正位置の『死神』、逆位置の『審判』、逆位置の『戦車』か 」
正位置の『死神』は主に死を表し
逆位置の『審判』は悪い報せ、再起不能を意味し
逆位置の『戦車』は主に暴走、劣勢、失敗を意味する
一刀「どれもこれも不吉なことを意味するカードじゃないか!?こんな時は… 」
そしてカードを見た一刀は
一刀「一歩も外に出ないで寝るにかぎる!じゃあ、おやすみ〜♪ 」
バサァッ!!
布団をかぶって眠ろうとするが
華琳「そんなわけにはいかないでしょうーっ!! 」
ドッカァーーンッ!!
眠ろうとする一刀を華琳が無理矢理叩き起こした。
ぐいっ!!
華琳「我が軍は人手不足なんだからあんたもたまには働きなさい!! 」
一刀「いててっ!?耳を引っ張るなっての!? 」
そして華琳が一刀の耳を引っ張りながら通路を歩いていると
桂花「か…華琳様、大変です!? 」
桂花が慌てた様子で華琳の前に現れた。
華琳「どうしたの桂花?そんなに慌てちゃって 」
そして桂花は言った。
桂花「この陳留に多くのモンスターが攻めてきているそうです!? 」
華琳「何ですって!? 」
桂花から話を聞いた華琳は一刀を連れて城の頂上へ向かうと
ずらりっ!!
そこには多くのモンスター達が陳留に攻め込もうと向かっていた。
華琳「何よあれ!? 」
一刀「うわぁっ!?ゴブリンにオーガにゴースト、ワイバーン、ハヌマン、オーク、スケルトンまでいるな 」
その中には今まで登場しなかったモンスターもいた。
一刀「あんな大群、魔法世界でも魔獣の森にくらいしかいないぜ 」
魔獣の森
多くのモンスター達が住まう場所であり、魔法使いが召喚獣を集める場所や修行の場所として利用される。
華琳「とにかく春蘭達が戻るまで皆でモンスターを迎撃するわよ! 」
全軍『ハッ! 』
一刀「では諸君、健闘を祈る! 」
ドガバキンッ!!☆ミ
華琳「あんたが一番頑張りなさい! 」
一刀「は…はぁい!? 」
もはや定番とばかりに華琳にボコられる一刀であった。
一刀「(しかしあのモンスター達、集団で攻めてくるには種族が違っている。もしかしたら後ろに奴らを使役する上級モンスターでもいるのかな?) 」
この一刀の考えは間違っていなかった。
モンスター軍の最後尾にて
デビバット「ニャパパッ!今頃陳留の奴ら慌ててるだろうぜ! 」
大笑いするデビバット
その隣には
デビバット「しかし、あなた様の能力には恐れ入りますよ。べリアル様 」
べリアル「フッ!この儂にかかればこれくらい容易いことよ 」
バァンッ!!
赤と黒のコートを着て銀髪で初老風な見た目をした男の悪魔がいた。
この男こそ、封じられた悪魔長の一人・べリアルである。
このべリアルには能力があり、そのうちの一つが一刀が持つ『未来予測眼』に似た能力を持つのだ。
その能力により、陳留が手薄な時期を狙い
べリアル「さて、次なるモンスターを呼び出すとするか 」
バサッ!
べリアルは一冊の黒い分厚い本を開くと
べリアル「我が契約せし魔物よ、今こそ我が前に現れるがよい! 」
カァッ!!
本が光った瞬間
ズボォッ!!
ゲギャギャーッ!!
本からモンスターが出現した。
これがべリアルが持つもう一つの能力。
契約したモンスターを自由に呼び出すことができるのだ。
『魔物収集家』という異名を持つべリアルらしい能力である。
べリアル「デビバットよ、お前の情報により北郷一刀攻略は完成した。これにより奴は完全に死ぬ! 」
デビバット「さすがでございますべリアル様 」
軍師級の頭脳を持つべリアルはデビバットから集めた一刀の情報を元に今回の侵略を考えたのだ。
べリアル「サタン様が封印され、七人いた悪魔長も生存しているのは儂を含めて四人、今こそ魔法使い共に復讐の時じゃ! 」
大悪魔神サタンに仕える七人の悪魔長
先に登場したレヴィアタンとベルゼバブ、そしてべリアルの他に生存しているのはルシファーであり(ただし封印されている)
他の三人であるアスモデウス、バルバドス、ベヒーモスは魔法使いによって消滅させられた。
べリアル「にしてもデビバット、お前のような下級悪魔がよく儂を呼び出せたものじゃな 」
デビバット「い…嫌ですねぇ!?俺っちだって魔力が上がってるんです。レヴィアタン様やベルゼバブ様だって呼び出せたんですから 」
べリアル「そうか 」
と言うデビバットだが
レヴィアタンとベルゼバブの時と同じく
まともでない方法でべリアルを呼び出したのは言うまでもない
デビバット「(魔方陣に小便かけて呼び出しましたなんて言ったら殺される!?) 」
それだけは避けたいデビバット
読者の皆もバラさないでね
デビバット「(しかし不思議な感じだな、べリアル様を呼び出した時、たしかもう一体何かが魔方陣から飛び出した気がするんだが…) 」
その点が気になるデビバットであるが
べリアル「さぁ、我ら悪魔軍の侵略開始じゃ!! 」
武将のほとんどがいない陳留をべリアル率いる悪魔軍が攻めるのだった。




