明命と北郷一刀観察帳
呉の国・建業
雪蓮「あ〜んっ!!仕事ばかりで嫌になっちゃう 」
一刀が陳留にて様々な日々を過ごしている間にいつの間にか雪蓮は長い間自分達を束縛していた美羽を国から追い出し、国を奪還することに成功した。
だが代償として呉の王となった雪蓮に大量の仕事が襲いかかったのだ。
雪蓮「早く王を蓮華に譲って隠居したいなぁ 」
楽がしたいために隠居を企む雪蓮
雪蓮「そういえば反董卓連合の時にいた北郷一刀はどうしてるかな?私の勘じゃ単なる男とは思えないのよね 」
魔法使いということには気づいていないが一刀に対して何かを感じる雪蓮
雪蓮「私自身が見に行きたいけど冥琳が怖いし…、そうだ!あの子に行かせましょ♪ 」
何かを企む雪蓮であった。
それから数日後、一刀のいる陳留
見張り「異常ないか? 」
見張り「ないさ。いつも通り変わらないよ 」
大したことない会話をする見張りの兵達であったが彼らは気づいていなかった。
?「潜入成功なのです 」
この国に他国からの侵入者がいたことを
彼女の名は周泰幼平(真名は明命)
潜入・隠密を得意とする呉の諜報部隊の一人である
明命「この国にいる北郷一刀という人物を調べてこいという任務を雪蓮様から受けたわけなのですが、何処にいるのでしょうか? 」
明命は隠れながら一刀を探していると
凪「待てーっ!! 」
明命「んっ? 」
誰かの声が聞こえ、そちらを見てみると
真桜「待たんかい!! 」
沙和「待つなのーっ!! 」
ダダダーッ!!
一刀を先頭に走る北郷隊の三人が
泥棒「ひ…ひいぃっ!? 」
一刀達の前を走る泥棒を追いかけていた。
明命「あの男は北郷一刀!そういえば奴は警邏隊の隊長でしたね 」
とりあえず様子を見てみる明命
すると
ダダダーッ!!
泥棒「ひいっ!? 」
一刀が泥棒に追い付き
ビュンッ!!
泥棒「えっ? 」
明命「えっ? 」
泥棒を追い抜いた直後
凪「逃がしません!! 」
ガバッ!!
一刀「うわっ!? 」
凪が一刀に飛びかかり、取り押さえた。
真桜「もう逃がさんで隊長! 」
沙和「大人しく仕事するなの!! 」
一刀「やだーっ!!仕事なんてしたくないーっ!! 」
凪「ダメです!! 」
そう。凪達は泥棒を追いかけていたわけではなく、仕事中だというのに逃げようとした一刀を捕らえようとしていたのだ。
泥棒「ちょっと待てよ!?あんたら、俺を捕まえようとしていたわけじゃないのかよ!? 」
凪達『えっ? 』
凪達がようやく泥棒の存在を知ると
真桜「泥棒めしとったり! 」
沙和「大人しくするなの!! 」
泥棒「ぎゃーっ!? 」
自分から存在を教えた泥棒は捕まってしまった。
すると
凪「しまった!?今の騒ぎで隊長が逃げてしまった!? 」
真桜「なんやて!? 」
まんまと一刀はその場から逃げたのだった。
沙和「この泥棒が悪いなの!! 」
真桜「せやな!この怒りは泥棒ではらしたる!! 」
泥棒「そんな〜!? 」
かわいそうな泥棒であった。
凪「隊長!後でひどいですからね!! 」
そして凪達が泥棒を連れて去ったあと
一刀「ふーっ!?泥棒のおかげで助かったぜ 」
隠れていた一刀が姿を現した。
一刀「こんな天気のいい日に仕事なんかやってられるかってんだ!サボるに限るぜ♪ 」
凪達が去ったことで仕事をサボる一刀
そして一部始終を見ていた明命は
さらさらっ
北郷一刀観察帳
その一、警邏隊隊長の立場でありながら平気で仕事をサボろうとする。
明命「あれっ?何だか雪蓮様に似てるような…まぁ、とにかく観察を続けさせてもらいます! 」
密かに一刀の観察を続けるのだった。
それから少しして
一刀「肉マン屋のお姉さん、今日も美しいですね 」
お姉さん「えっ!?やだ北郷様ったらお世辞なんか言っちゃって 」
一刀「お世辞なんかじゃありませんよ!俺は本心しか言わないからさ! 」
お姉さん「まぁ、肉マン持っていってください! 」
一刀「お姉さんありがとう! 」
お世辞だとわかっていてもつい肉マンを渡してしまうお姉さんであった。
北郷一刀観察帳
その二、警邏隊隊長であるのに平気で店にたかる
明命「何だかやはり雪蓮様に似てるような… 」
雪蓮と一刀は案外似た者同士なのかもしれない
それから更に少しして
一刀「えっほ!えっほ!! 」
ザクザクッ!!
城に戻った一刀は深い穴を掘りまくると
サッ!
誰が見ても落とし穴が仕掛けているように仕掛け
スッ!
その上に華琳の絵を一枚置き
一刀「それっ! 」
ガサッ!!
近くの茂みに隠れた直後
桂花「フフフッ!今日こそあの北郷一刀を罠に嵌めてやるわ 」
一刀を落とす落とし穴を掘るために大きな円匙を担いだ桂花が通った。
桂花「あ…あれは!! 」
桂花はすぐさま、落とし穴の上に置かれた華琳の絵を発見するが
桂花「お…落ち着くのよ桂花!あんなあきらかに落とし穴だとわかる罠に自分から落ちに行くだなんてそれでも筆頭軍師なの!? 」
すぐにでも絵を取りたい桂花であったが、取りに行けば確実に落ちてしまうため迷っていた。
だが、最終的に桂花は
桂花「華琳様! 」
バッ!
絵に飛び付き
ボコォッ!!
桂花「きゃああぁぁぁぁぁ… 」
深い落とし穴に落ちてしまった。
それを見た一刀は
一刀「ギャハハッ!!じ…自分から落とし穴に落ちに行くだなんて馬鹿な奴!!ヒーヒッヒッ!! 」
大爆笑するのだった。
北郷一刀観察帳
その三、警邏隊隊長だというのに他者を罠にかけて大爆笑する最低な男
明命「何故雪蓮様はこんな男を調べろと申したのでしょうか? 」
少々雪蓮を疑う明命であった。
そして夜
一刀「ZZZ… 」
静かに眠る一刀
その側に
バァンッ!!
明命が立っていた。
明命「(今日一日、この男を観察していましたがロクでもない人物としかわかりません) 」
あの後も明命は一刀を観察していたのだが
その後も一刀は女湯覗き、立ち読み、ナンパ等を繰り返していた。
明命「(私が近くにいるというのに気配すら察知できないなんて) 」
もし明命の目的が一刀の暗殺ならば一刀は殺されているであろう
明命「(雪蓮様は何でこんな男に注目を…) 」
本日何度目かになる呟きを愚痴りながら明命が去ろうとしたその時!
ガシッ!!
明命「へっ?きゃあっ!? 」
明命は一刀に引っ張られた。
明命「ま…まさか!?私の気配を察知して!? 」
というわけではなく
一刀「むにゃむにゃ…おっぱい〜♪ 」
ただ単に一刀が寝ぼけただけであった。
そして
むにゅむにゅんっ♪
明命「きゃあっ!?どこを触っているのですか!? 」
寝ぼけた一刀に胸を揉まれる明命
明命「あっ…やめっ… 」
ついつい感じてしまう明命であったが
パッ!
明命「へっ? 」
一刀は急に明命から手を離すと
一刀「ちっ!貧乳かよ 」
ぷいっ!!
明命とは逆方向を向き、再び眠ってしまった。
だが
ゴゴゴッ…!!
明命「散々触っておきながら貧乳呼ばわりですか 」
貧乳に対してコンプレックスをもつ明命を怒らせるには十分であった。
明命「フフフッ… 」
スッ!
明命「覚悟しやがれなのです!! 」
ブォンッ!!
そして明命は背中にさしていたあるものを一刀目掛けて繰り出したのだった。
それからかなりの時間が経ち
コケコッコォー!!
一刀「んっ?もう朝か? 」
一刀が目を覚ました。
一刀「ってやべ!?そういや今日は大事な軍議があるから早く来るよう言われてたっけ!?顔なんて洗ってる場合じゃない!急がねば!! 」
慌てた一刀は顔も洗わずにそのまま向かっていった。
スッ!
その道中、何人かの侍女にすれ違ったのだが
侍女「ぶふっ!! 」
みんな、一刀の顔を見れば笑うのだった。
一刀「へんな寝癖でもついてるのか?とにかく今は玉座の間へ!! 」
ダダッ!!
そして一刀はついに玉座の間の前へたどり着き
バタンッ!!
一刀「悪い!遅れた!! 」
盛大に扉を開けると
華琳「遅いわよかず… 」
玉座の間にいた華琳、春蘭、秋蘭、桂花が一刀を見た瞬間
華琳「ぶふっ!! 」
春蘭「ぶほっ!! 」
秋蘭「ぷっ!! 」
桂花「ギャハハッ!! 」
盛大に四人が笑いだした。
一刀「みんなまで笑うだなんて、そんなにすごい寝癖なのか? 」
みんなが笑っているのは寝癖だと思う一刀であったが
華琳「か…一刀、その顔は何よ 」
一刀「顔? 」
スッ!
顔を指摘された一刀が鏡で顔を見てみると
『私は大変態!!』
と墨で大きく書かれていた。
一刀「な…何じゃこりゃーっ!? 」
もちろん明命が書いたものであるが
桂花「ギャハハッ!!自分で変態と認めるなんて馬鹿じゃないの!! 」
桂花が一番大笑いしているのを見て
一刀「さては桂花!昨日、落とし穴に落とした仕返しにお前がやったな!! 」
桂花「何で私がそんなこと…っていうかあれはあんたの仕業だったのね!! 」
桂花が犯人だと決めつけ、騒動が発生するのだった。
一方その頃、建業では
明命「ただいま戻りました 」
雪蓮「お帰り明命、北郷一刀はどうだった? 」
帰ってきた明命に雪蓮が聞くと
明命「さいっていな男だったのです!! 」
雪蓮「えっ? 」
明命「では失礼します 」
雪蓮「一体何があったの? 」
わけのわからない雪蓮であった。
北郷一刀観察帳
最終、最低な男!!




