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眼帯と奸雄

今回は魏編序盤に起きたイベントがもとになっています


一刀「まぁ、西森がそういうことにするのを忘れていただけなんだけどね 」


華琳「そういうことは言わなくていいの!! 」

ある日のこと


華琳「一刀!ちょっと来なさい!! 」


華琳の居城である陳留の城の玉座の間にて華琳の怒鳴り声が響いていた。


一刀「朝から何だよ華琳?高いとこに手がとどかないのか?それとも胸を大きくしろってか?それなら無理無理!華琳の胸は五年十年経っても大きくならな… 」


ドガバキンッ!!☆ミ


華琳「そんなわけないでしょ!! 」


一刀「は…はい!? 」


余計なことを言って華琳にボコられる一刀であった。


そして一刀は華琳、秋蘭、桂花のいる玉座の間に連れてこられると


華琳「そんなことより一刀、報告書はどうしたの!! 」


一刀「報告書? 」


報告書という言葉に?を浮かべる一刀


華琳「今日の軍議で必要な報告書よ!あなたが担当だったわね! 」


一刀「えっ!? 」


華琳にそこまで言われ、ようやく思い出した一刀


読者も予想していると思うが当然のごとく忘れていた。


だが一刀は


一刀「華琳、俺が今日中に仕上げるなんていつ言った? 」


華琳「は? 」


一刀「何時何分何秒?地球が何回回った時? 」


時計すらなく、地球が丸く、回っていることすら知らないこの世界で無茶苦茶を言う一刀


華琳「訳のわからないこと言わないの!!いいわよ。あなたのことだからどうせサボると思ってたし 」


さすが華琳


一刀のことをよくわかっている


華琳「だけど今日中に仕上げなさい!!終わるまで一切の外出と睡眠を禁じるわ!! 」


ビシィッ!!


一刀を指さしながらそう言う華琳であったが


一刀「やなこった! 」


ビュンッ!!


華琳「あっ!! 」


一刀は華琳の前から逃走した。


華琳「待ちなさい一刀! 」


一刀「待てと言われて待つ奴なんていない!今日の俺のスケジュールはばっちし埋まってるんだい! 」


華琳から逃げようとする一刀であったが


春蘭「華琳様、おはようございます! 」


一刀の前に遅れてきた春蘭が現れた。


華琳「春蘭、一刀を止めなさい! 」


春蘭「わかりました華琳様!北郷、ここから先は行かせは… 」


一刀を通すまいと構える春蘭であったが


フッ!


春蘭「き…消えた!? 」


突然一刀が消えてしまった!?


…というわけではなく


桂花「お馬鹿ーっ!!あんたの左側に向かって走っただけじゃないの!! 」


春蘭「へっ? 」


そう。一刀は消えたわけではなく


春蘭の死角になっていた左側を通り抜けただけであった。


何故春蘭の左側が死角になっていたのかというと…


桂花「しゅ…春蘭、あんたどうしたのよ!?その… 」


華琳「左眼は!? 」


バァンッ!!


春蘭が左眼部分に蝶をあしらった眼帯をつけていたからだ。


秋蘭「まさか姉者!?何者かに矢で眼を射ぬかれ、兵の気合いを落とすわけにはいかぬと思って矢を抜いて、左眼を食ったのか!? 」


と思う秋蘭であったが


春蘭「そんなことするか!大丈夫。ちゃんと左眼は健在だ 」


ぺろっ!


と言って眼帯をめくって左眼が無事なのを見せる春蘭であった。


秋蘭「姉者よ、心臓に悪いぞ!? 」


華琳「何でそんな眼帯つけてるの? 」


春蘭「実は数日前に北郷が『眼帯をつければ強さが増すぞ』と申しまして、さすがの私もそんなはずはないと思って近くにあった岩へ剣を振るったところ、見事割れました。眼帯の力ってすごいんですね! 」


当然ながら春蘭は眼帯をつけなくても岩くらい軽く切れたりする。


華琳「まったく、あの馬鹿は… 」


桂花「華琳様!前から聞こうと思ってましたが何であんな馬鹿を追い出さないんですか!!いくら魔法使いや天の御遣いだからって 」


もし桂花が華琳の立場だったなら一刀は即座に追い出されたであろう。


華琳「理由はそれだけじゃないのよ 」


桂花「えっ? 」


華琳「数ヵ月前、ある人物に言われたのよ 」


華琳が一刀を追い出さない理由


それは数ヵ月前に遡る。


数ヵ月前、一刀が華琳達に連れられ街を見回った帰りの時


※16話『竹籠売りと竹籠編み機』参照


華琳が城に帰ろうとすると


?「もしもし、そこの御方 」


華琳「んっ? 」


黒の外套を着た謎の人物が現れた。


華琳「あなた、私に何か用なの? 」


謎の人物「いや、私は占い師でしてな、ふとあなたを見れば珍しい相でしたので 」


華琳「へぇ、おもしろそうじゃない。言ってみなさい 」


華琳がそう言うと


謎の人物「それでは 」


謎の人物は語り出した。


謎の人物「力のある相じゃ、兵を従え、知を尊び・・・・・・。


お主が持つは、この国の器を満たし、繁らせ栄えさせる事のできる強い相・・・・・・。


この国にとって、稀代の名臣となる相じゃ 」


春蘭「ほぉ、貴様、よくわかっているではないか 」


珍しく誉める春蘭


だが


謎の人物「・・・・・・国にそれだけの器があれば・・・・・・じゃがの 」


春蘭「へっ? 」


謎の人物「お主の力、今の弱った国の器には収まりきらぬ。


その野心、留まるを知らず・・・・・・


あふれた野心は国を犯し、野を侵し・・・・・・


いずれ、この国の歴史に名を残すほどの、たぐい(まれ)なる奸雄となるであろう 」


謎の人物がそう語った直後


秋蘭「貴様っ!! 」


バッ!


いつもは冷静な秋蘭が謎の人物目掛けて向かっていった。


一刀「華琳に対して奸雄呼ばわりだなんて!?あの人、馬鹿だねぇ!? 」


普段華琳に対して馬鹿呼ばわりしている一刀にだけは言われたくない


だが


華琳「やめなさい秋蘭! 」


華琳自身が秋蘭を止めた!


秋蘭「しかし華琳様! 」


華琳「私に向かって奸雄呼ばわりだなんて、そんなこと言うのは一人しかいないと思ってたけどね 」


一刀「誰だそりゃ? 」


一刀のことである。


謎の人物「ちなみにもう一つ占うと、


その男を手放す際はよく考えなされ


さもなくばお主は必ず後悔するであろう 」


華琳「へぇ 」


一刀「? 」


自分が言われたことに気づかない一刀


華琳「面白いこと言うじゃない。秋蘭、この者に金を渡しなさい 」


秋蘭「華琳様! 」


華琳「いいから渡しなさい 」


秋蘭「うっ!? 」


秋蘭だって華琳を奸雄呼ばわりするこの人物に金なんて渡したくないが華琳の命令には逆らえず、渋々金を渡すのだった。


華琳「さぁ、みんな、戻るわよ 」


秋蘭「ぎょ…御意 」


春蘭「わかりました 」


スッ…


そして華琳達が去ったあと


謎の人物「そこの御主、ちょっと待ちなされ 」


一刀「えっ?俺? 」


今度は一刀が呼び止められた。


一刀「悪いけど、俺は占いなら自分でできるし… 」


謎の人物「黙って聞きなされ


心の奥深くに眠る闇を目覚めさせてはならぬ


さすれば御主に待ち受けるは生か死のどちらかじゃ 」


謎の人物が一刀にそう語ると


一刀「いやぁ、何を言ってるのかまったくわからんな、あばよ占い師さん! 」


一刀はよく考えず、その場から立ち去っていった。


そして帰り道にて


一刀「そういえば春蘭、よく暴れなかったな 」


春蘭「えっ? 」


秋蘭「まったくだ。姉者が一番飛び出しそうだったのだが、姉者よ、大人になったな 」


飛び出さなかった春蘭を誉める秋蘭であったが


春蘭「何で飛び出す必要がある?何だかよく知らぬが奸雄とはすごい誉め言葉なのだろう。華琳様にぴったりではないか 」


ただ単に奸雄という言葉の意味を理解していなかったからであった。


華琳「・・・ 」


秋蘭「・・・ 」


あまりの頭の悪さに華琳と秋蘭は呆気にとられてしまい


一刀「あのなぁ春蘭、奸雄ってのは奸知(かんち・ずる賢く、狡猾な)に長けた英雄なんだよ。わかったか? 」


一刀が奸雄について説明した直後


ジャキンッ!!


春蘭「北郷!貴様、華琳様がずる賢いだと!! 」


一刀「お…俺が言ったんじゃねぇ!?言ったのはさっきの占い師だろ!? 」


春蘭「問答無用!貴様を斬る!! 」


一刀「何でそうなるんだよーっ!? 」


ということがあったのだ。


春蘭「あったのか? 」


秋蘭「あったぞ姉者 」


お馬鹿な春蘭が忘れているだけである


華琳「あれから随分経つけど一刀はあれでいざというときは役に立つし、捨てられないものなのよね 」


桂花「役に立つですか 」


桂花にとっては一刀が役に立つだなんて考えられなかった。


華琳「でも、それと仕事をサボるのは別よ 」


スッ!


桂花「それは!? 」


華琳は前回にて桂花が一刀に恥をかかせるためだけに用意した艶本を取り出すと


華琳「あーっ!!こんなところに艶本が! 」


ぽいっ!!


と叫んで艶本を投げた瞬間!


バビュンッ!!


一刀「艶本〜♪ 」


バシィッ!!


目にも止まらぬ物凄い早さで一刀が駆けつけ、艶本をキャッチした。


だが同時に


華琳「罠にかかったわね一刀 」


一刀「はっ!? 」


一刀は罠にかかってしまった。


華琳「寝ないで今日中に仕事を終わらせなさい!!さもないと一年間給金無しと女に触れるの禁止だからね! 」


一刀「ひ〜ん!? 」


どちらも一刀に対して酷だったりする。


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