カメレオンシートと激しい怒り
華琳と喧嘩して魏から飛び出した一刀はある街へ行き、そこで彼は燈と喜雨親子と出会う
そんななか、一刀がいる街に盗賊が襲来し、追い払おうとする一刀であったが、魔法使いに必要な杖、マジックバッグ、いくつかの召喚リングを置き忘れてしまい窮地に追いやられ、その場から逃げ出したのだった。
一刀「逃げたんじゃない!戦略的撤退だ!! 」
そして
盗賊頭領「ちくしょー!!あの野郎、何処へ行きやがった!!散々人を馬鹿にしやがってブッ殺してやる!! 」
盗賊達が血眼になって一刀の行方を探すなか
一刀「フッフッフッ!凪達警邏隊からも隠れきれる俺を見つけられるものか 」
一刀達は屋根の上に上って隠れていた。
喜雨「こんなとこに隠れてどうするの!! 」
燈「すぐに見つかってしまいますわ 」
一刀「大丈夫。大丈夫だって 」
やけに自信がある一刀であったが
盗賊「奴め、何処へ行きやがった? 」
盗賊が一刀達が隠れている近くに迫るも
盗賊「次はあっちだ! 」
まったく見つからずに助かった。
一刀「フッフッフッ!隠れるためだけに開発したこの『カメレオンシート』を懐に入れといてよかったぜ 」
カメレオンシート
被せると保護色となって回りの風景と一体化するため動かなければ見つかることはない
隠れるためだけにグレムリンに作ってもらった一品だが、少しでも動いてしまうと見つかってしまう欠点がある。
これにより一刀達は見つからなかったのだった。
一刀「俺って天才でしょ♪ 」
どこがだ
一方
盗賊「頭、奴の姿がどこにも見えません。もしかして街を出たのでは? 」
盗賊頭領「んなわきゃねぇ!ここから街の入り口までかなりの距離がある。馬に乗ったならともかく走って逃げ切れるわけが…そうか! 」
盗賊「どうしました頭? 」
盗賊頭領は何かを閃くと
盗賊頭領「おい、街の奴ら数名集めて広場に集まるよう皆に伝えな 」
盗賊「何する気です? 」
盗賊頭領「奴が見つからねぇなら奴自身に来させるまでよ 」
何かを企む盗賊頭領であった。
それから数時間が経過し
ザッザッ!!
一刀「んっ?奴ら、街の人を広場に集めて何する気だ? 」
盗賊達は捕らえた街の人々を広場に集めると
盗賊頭領「おい!俺に恥をかかせた馬鹿野郎、よく聞きやがれ!今すぐに出やがれ!出てこねぇなら 」
すると
ドカァッ!!
男「ぐふぅっ!? 」
盗賊頭領はいきなり街の男を殴った。
盗賊頭領「テメェの代わりに街の奴らに被害が及ぶだけだ!ほら、お前らもやりな 」
盗賊「へいっ! 」
ドカドカァッ!!
頭領の指示に従い、盗賊達も次々と街の人々を殴り出した。
老人、大人はもちろんのこと
盗賊「おらぁっ!! 」
ドカァッ!!
子供「きゃっ!? 」
子供にまで暴行し、老若男女問わず傷ついていった。
燈「酷すぎますね 」
喜雨「ボク達が出ていかないから代わりに街の人々が… 」
もう黙って見てられないと喜雨が飛び出そうとしたその時
バッ!
一刀が喜雨の前に手を出した。
喜雨「何をするの! 」
すると
一刀「二人はここにいてくれ、あいつの相手は俺がする 」
いつもはすぐに逃げることを考える一刀が自分から向かうと言い出した。
喜雨「君に何ができるって… 」
先程のくだらないやり取りを見て一刀はあてにならないと思う喜雨であったが
この時の一刀は
一刀「奴ら、ブッ殺してやるよ 」
ゴォッ!!
喜雨「えっ? 」
何故か怒りに燃えていた。
そして
盗賊頭領「まだ奴は現れねぇ街の奴らは自分には関係ないから出ないってか、こうなったら殴るだけじゃなく殺してやるか 」
盗賊頭領が街の人々を殺そうと企んだその時
盗賊「頭、奴が出てきやした 」
盗賊頭領「やっとか、待ちくたびれたぜ 」
一刀が現れたと聞き、盗賊頭領が一刀の前に現れると
一刀「テメェら、もう許しちゃおけねぇ!俺がブッ殺してやる!! 」
バァンッ!!
そこには怒りに燃える一刀がいた。
盗賊頭領「プッ!はったりと逃げることしかできない野郎が何を言いやがる。返り討ちにしてやるぜ 」
ジャキンッ!!
一刀に対して盗賊達が一斉に武器を構えた。
一刀「確かにろくに魔法が使えない今の俺じゃお前らには勝てねぇ。だから、こうするんだよ!! 」
バチバチィーーッ!!
盗賊頭領「な…何だ!? 」
一刀は魔力で黒い鍵を作り出すと
一刀「今日は魔力たっぷりだ!頼むぜもう一人の俺!オープン・ザ・ゲート!! 」
ガチャァッ!!
自分の胸に鍵を当て、改変呪文を叫びながらそのまま鍵を回した。
すると
ジャキンッ!!
一刀の髪が急に伸びて長髪になり、フランチェスカの制服が黒へと変わって肌の色が若干黒くなり、体に妙な模様が出現し、背丈も若干大きくなった姿へと変わった。
これは一刀が持つ個人魔術・『魔導剣聖』である
剣聖一刀「もう一人の俺がここまで怒るだなんてな、お前ら、覚悟しとけよ 」
ビシィッ!!
盗賊達に向けて指を指しながら剣聖一刀がそう言うと
盗賊頭領「ふ…フンッ!姿がちょっと変わったからって何だ!野郎共、やっちまえ!! 」
盗賊達『うぉーっ!! 』
ドドォッ!!
盗賊達が一斉に剣聖一刀目掛けて襲いかかった。
だが剣聖一刀は避けようとせず
剣聖一刀「もう一人の俺が使えない召喚獣も俺が使えば役に立つのさ 」
シュッ!
『スライム・パワー』
剣聖一刀がスライムの召喚リングを剣にかざした瞬間
ザシュザシュシュッ!!
喜雨「あぁっ!? 」
盗賊達の斬撃が剣聖一刀を襲った。
盗賊「何だよ。口ほどにもね… 」
ところがだ
ぶよよんっ
盗賊「へっ? 」
何と!?剣が直撃したというのに剣聖一刀の体は切られず、ぶよぶよしていた。
スライムのパワー
それは体を軟体と化する
攻撃の威力は弱まるが打撃、斬撃を無効化する力があるのだ。
盗賊「ば…化け物だぁーっ!! 」
ドドォッ!!
剣が通じないという摩訶不思議な現象を前にし、盗賊達は皆一刀の前から去ろうとするが
剣聖一刀「逃がすかよ 」
シュッ!
『ケルベロス・パワー』
剣聖一刀はケルベロスの召喚リングを剣にかざした瞬間!
ウオオオォォォーーンッ!!
剣聖一刀が物凄い声で吠えたのだが
バタバタンッ!!
盗賊頭領「えっ!? 」
被害に遭ったのは盗賊頭領以外の盗賊のみで、頭領や燈達や街の皆に犠牲者はいなかった。
ケルベロスのパワー
嗅覚強化と雄叫びの力
雄叫びは波長を変化させることにより対象の人物のみに聞こえ、気を失わせることができるのだ。
しかし
盗賊頭領「お…俺だけ助けてくれたのか!?ありがとよ! 」
何故剣聖一刀は盗賊頭領を標的にしなかったのか
その理由は…
剣聖一刀「助けただと?ふざけるな!お前は… 」
盗賊頭領「へっ? 」
ズバァッ!!
剣聖一刀「俺自身の手で殺したかったからだよ 」
剣聖一刀は一瞬で盗賊頭領を斬殺した。
喜雨「(さっきまであんなに馬鹿だった人がすごい変わりようだね) 」
燈「あらあら 」
一刀の変化は見ていた燈達が驚くくらいであった。
剣聖一刀「おっと、次は皆の治療をしなくてはな 」
シュッ!
『エルフ・パワー』
剣聖一刀はフィーネの召喚リングを剣にかざすと
パアァーーッ!!
男「き…傷が治っていく!? 」
剣から放たれた光が傷ついた街の人々を癒していった。
フィーネのパワー
それは回復能力であった。
剣聖一刀「まだ魔力は残っているがここまでのようだな 」
シュパンッ!!
そして一刀の姿が元に戻ったのだった。
一刀「(しかし何だったんだ?確かに盗賊の行為に怒りはしたが殺す気はなかったはずなのに…) 」
自分の中に何か別の感情が芽生えている。
この時の一刀はそう思っていた。
するとその直後
パカパッ!
後ろから馬の蹄の音が聞こえ
一刀「んっ? 」
一刀が振り向くと
華琳「あら、盗賊が現れたと聞いて急いで迎撃しに向かえばまさかあなたがいるなんてね 」
バァンッ!!
そこには華琳がいた。
一刀「(か…かかか…華琳!?) 」
さっきまで考えていたことを忘れ、自分が華琳と喧嘩していたことを思い出す一刀
一刀「(まさか俺を殺しに来たのか!?華琳ならあり得る!こうなったら…) 」
そして
華琳「ごめんなさい! 」
頭を深く下げる華琳
一刀「すいませんでした!! 」
土下座で謝る一刀
つまり二人は同時に謝ったのだ。
一刀・華琳『へっ? 』
一刀「何で華琳が謝るの? 」
華琳「た…確かに今回は仕事をサボっていたあなたが悪いけど、私も少々大人げなかったわ。許してあげるから帰ってきなさい。勘違いしないでよね!ライラからの罰が怖いだけなんだから!! 」
ツンデレだ
華琳「そっちこそ何で謝ったのよ!! 」
一刀「うっ!? 」
ここで華琳の名でつけをしたなんて言ったらボコられてしまう
そう察した一刀は
一刀「へ…へぇ、お前が謝るだなんて明日は大嵐だな 」
華琳「何ですって!! 」
誤魔化すことにした。
そして許された一刀は魏に戻ったのだが
燈「親子共々、曹操様に仕えさせてもらいます 」
喜雨「お世話になります 」
その際、新たに燈と喜雨が仲間に加わったのだった。
燈「そういえば一刀様がおっしゃってましたが曹操様は一刀様の愛玩動物… 」
一刀「わぁーわぁーっ!! 」
召喚獣ファイル
アイアンゴーレム
属性:地属性
リングの色:茶
所有者:北郷一刀
球体の体を持つゴーレム族の亜種
更に一族のなかで鋼鉄の体を持つため仲間外れにされていたところを一刀に救われた。
体が大きく力が強い




