#8 忘れた
女子は七月、男子は八月から九月にかけて、体育の授業では水泳が行われる。男女一緒にやればいいのに、というのはきっと男子の誰もが思っていることであった。
ちなみに今のスクール水着は昔のものと比べて本当に、本っ当に地味で色気のないものに変わってしまっているが、それはそれ。
周りに野郎しかいないというのに、無駄毛の処理をしてくる奴は意識が高いのかホモなのか、腋毛や乳首に生えた毛を処理したとか宣言している奴もいる。処理したことって言わない方が良いんじゃなかろうか?
臍の下の毛なんかを剃ってきた奴もいるそうだ。だからなぜ宣言するというに。ちなみに見回してみても、さすがに隠毛まで処理した奴はいないみたいであった。
……ここに陰茎まで処理した奴ならいますけど?
「小学生かよ」
声を発したのは俺のすぐ隣、帰宅部の山城だった。山城智樹。二年の時に同じクラスになって以来、なんとなくつるむようになった奴だ。
およそ名前のなさそうな髪型。ゆるいウェーブすらない直毛、こだわりらしいその髪は、きっとツーブロックだとかアシンメトリーだとか、一言床屋に告げれば完成するようなものではない。
うっせー、持ってくるの面倒だろ、と返事。まあ確かに、と山城。ちなみに彼は特に隠すでもなく、普通に自然に脱いで履いていた。あんまり観察してるとホモみたいに思われないだろうか。今、ないんだけど。大丈夫かな、夏休みに手術して取ったんだと思われないだろうか。
自分が気にするほど周りが俺の、というか男が男の着替えてるところをジロジロ見たりするわけはないが、とにかく俺が家から水泳パンツを履いてきたのに気付いたのは山城だけだった。
適当に会話しつつ、プールサイドに出る。真っ青な空、烈日赫赫はさすがに言い過ぎだろうか、肌に刺さる日差しが痛い。
「プールに入ってる白い奴あるじゃん、タブレットみたいな奴」
「ああ、塩素だっけ」
「あれ、実は次亜塩素酸ナトリウムっていうんだぜ」
「へー」
山城は水泳が得意だというからともかく、俺は水泳はあまり得意ではないのでこの時期の体育は好きではない。今年は特に、ちん子の不在問題もある。だから余計に不安で、山城につい意味のわからないことを言ってしまった。
なんだ次亜塩素酸ナトリウムって。そんなん知ったところでなんだというのだ。
「そんなことより、俺に泳ぎを教えてくれ」
「浮け、そして手を掻いて足で蹴れ。さすればお前でも泳ぐことができるだろう……」
「それができねーって言ってんだろぉ……」
山城センセーに泳ぎ方を乞おうとしているうちに、五時間目開始のチャイムが鳴る。
それは、水着を履いていくことにいっぱいになって、肝心の着替えのパンツを持ってきていなかったことに気づくまで、あと五十分を示すチャイムでもあった。
……言う……ことないでしょ今回は!
そんなに酷くないですよね!?
次回に続く接続部の部分ですし、ちん子ちゃんの出演は一回だけですし(顕著な感覚の麻痺
ちなみに僕は水泳はめちゃくちゃ得意です←
……1000文字だと会話があんまり入れられねーよー(小声)
……なんだこの中身のない会話、と思いつつも、実際似たような会話をリアルに水泳の授業でやってましたから、きっと高校生の無駄話なんてこんなもんです(引き続き小声)
【告知】エターナルフォースブリザード! 作者は死ぬ!
※ちょっと学力がアレなんで、受験終わるまで完全に活動停止します。
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