#5 泣いた
検査結果が出た。
残りの夏休みすべてを返上し、ありとあらゆる検査を行った結果わかったことは、まず、それこそもげてしまった時と同じように説明できないナニカに頼るしか、ちん子が俺と復縁することはないということだった。
他にも、全生殖機能が欠如していることもわかった。体内にあるべき前立腺やらなんやらもなくなっているらしい。
まあ前立腺が無いですよ、と言われても、普段前立腺を意識する生活を送っていたわけではなかったので、あまりなんとも思わなかったのはあくまで余談である。前立腺というならむしろ、その検査過程の方が大変だった印象だ。レントゲンだかCTだかの検査結果に不服であったらしい桜子女史が肛門鏡やらなんやらいろいろ持って病室に……これ以上は思い出したくもない。
「……と、以上が検査結果となります」
こちらの気を知ってか知らずか、なんでもないような顔をして桜子先生は言う。
この人はいつもそうだ。まるで俺が実験動物でもあるかのように、仮面でも貼り付けたような真顔で話す。笑顔どころか、顔面筋が表情を作るシーンというものを見たことがない。
ちん子なぞ見慣れている。……そういうことか。今更俺のちん子ごときでは動じもしないのだ。若いし綺麗系の美人なのだから、少しくらい頬を染めたりとかしてくれたら俺の中での好感度があがるのに。
ちなみにちん子が独立した影響として、俺がどれだけ性的興奮を覚えようが勃起はしないようになった。ちん子に直接刺激を与えると勃起する。安置してある状態だと、いくら俺がエロ本を読み続けても反応はしない。酷い実験だが、驚くなかれ、実際にやったのだ。
「忠邦くん、君はもう退院してもいいよ。明日から学校でしょう」
桜子女史は諸々の検査結果を俺と両親に説明し終わった後、そう言った。年が近い(といっても十歳弱くらい年上)先生を俺が桜子先生と呼ぶようになったみたいに、先生も俺に対する口調は砕けたものに変わっていた。
そう、明日から学校なのである。三年生にもなって、今更夏休みの宿題なんてものはないが、受験勉強はちっとも進まなかった。そろそろ本気にならないとマズイ、というラインを四歩も五歩も通り越してしまっている。
「あの、俺のチ○コはどうするんでしょうか、先生」
「それなんですけど、忠邦くん、おちんちん、要る? 持って帰りたい? 忠邦君さえ良ければ、いろいろな実験のために、病院に寄付してほしいなーって、思ってるん、だけど……」
い、要るよ! と、思ったが口には出さなかった。本当に要るのか? 持って帰るべきか? その疑念が、脳をよぎったからだ。
俺の元に持って帰り、暮らしを共にしていくうちにもげた時同様自然に元に戻るのと、このまま桜子女史の元において帰り、実験中に少しでも元に戻る可能性を模索するのとでは、どちらが有意義か?
「ちゃんと俺の股間にチ○コが帰ってくるように努力してくれるなら……寄付、はちょっと無理ですけど、先生に貸し出しはできます」
不承不承、首を縦に振らざるを得なかった。両親は何も言わなかったが、まあそりゃそうだと思う。
恐らく人類史上初めての出来事に直面して、正しい判断など、存在しないのだから。
かくして、俺とちん子の別居が決まった。
……言うな。
ちなみにタイトルですけど、略称系は「チ○もげ」でどうでしょうか。「き○モザ(諸事情により伏字)」とそっくりですね!!!!!!
すいません落ち着きます。
ところで、これを書いたのが9/14、ちょうど一話が投稿されてから30分後くらいですね、今。つまり、かなり「滞って」ます←
いきなり更新が途絶えたら、受験勉強に本気になったんだなとでも思って許してください(>△<)