#4 調べた
「事故やなんかでペニスが切断されてしまった男性が、手術でペニスを縫い付けてもとに戻った、なんて例はあります」
銀縁眼鏡が放ったその言葉。
「でも、今回の場合、どう考えても切断されたとか、そんな感じの断面じゃありません。まるで最初からそうであったかのような、綺麗な断面が形成されてしまっている」
公平かつ無慈悲な宣告が、冷たく俺たち(俺+ちん子)に突き刺さる。
「しかもそれは一夜のうちに起きていて、出血や痛みもない。すなわち神経や血管は傷付いてない、と考えられます」
つまり、
「縫合などで再びもげたペニスがもとに戻るという可能性は低いんじゃないかと……私は思います。医者として申し訳ないんですが、忠邦くんの陰茎がなぜもげたのか、専門的な理由すら思い付きません」
佐藤忠邦というのが俺の名前だ。忠邦くん、という医者の呼び方が、まるで実験動物の呼称かのように聞こえてゾッとした。もちろん気のせいに違いないが、なぜかそんな気がしてしまったのだ。
銀縁眼鏡の医者は、そうして俺たち家族に提案した。この病院よりさらに大きい病院に移り、いろいろな検査をすることを。銀縁眼鏡の医者は色々説明してくれたが、ちん子との離別がほとんど確定してしまった俺はそれどころではなかった。
♂
大学病院、と言った気がしたが定かではない。とにかく俺は、銀縁眼鏡の書いてくれた紹介状を持って、県内最大レベルに大きな病院へやってきていた。
両親にはこんなわけのわからない症状で日曜日の真昼間から連れ回して申し訳ないと思うが、もう少しだけ付き合ってもらう。
少しだけ待った後、診察室に通され、俺は検査のため入院、という形になった。
「見たことも聞いたこともない病状ですね。いや、そもそも病気ですらないのかもしれない。思いつく限りありとあらゆる検査をしてみましょうか」
若い女の先生の手に渡った俺のちん子は、俺の意思に反して戦闘体勢だった。
しかし須藤桜子と名乗ったその女医は気にしていないらしく、無造作に思える動きで俺のちん子を銀色のお盆みたいなやつに乗せて看護婦に渡す。
俺はその日のうちに病室に入れられることになり、両親は俺の着替えを取りに帰った。
全体的に白っぽいイメージの病室に入る。
ちん子は検査のためだと取り上げられてしまい、一人になった俺は不安に押しつぶされてしまいそうだった。
……言うな。わかってるとも←
ちなみにちょっと調べてみたんですけど、実際にチ○コが切断された時は、切れた陰茎を冷却して速やかに医者にかかれば、縫合手術でもとに戻る可能性があるみたいです。
あ、それと、医者の見解は専門的な知識のある人間が書いてあるわけではありませんので、実際にチ○コがもげた際の対応とは違うかもしれません。ご了承ください。